TomoChainのトークンTOMOの投資分析について

今日は、TomoChainのファンダメンタル分析についてお話しします。

早速、はじめていきましょう。

 

 

 

まず、僕のポートフォリオ戦略における、TomoChainの該当カテゴリはこちらのBaaSです。ブロックチェーン産業において、もっともプレイヤーが多い市場の一つです。僕のポートフォリオ戦略の詳細は、「こちらの記事」にまとめています。

分析視点は、いつもの6つの視点、つまり、ペインポイント分析、プロダクト分析、チーム分析、チームの実行力、トークンエコノミー 分析、そして、ハイプサイクル分析です。詳しくみてきましょう。

ペインポイント分析

一つ目、ペインポイント分析です。

ブロックチェーンアプリ開発者にとって、事業の初期段階でP2Pのコンピューターリソースを獲得するのは大変な作業であると言うこと。

詳しくお話しします。

まず、現在のインターネットのインフラは、GAFAに代表される巨大IT企業が全て支配しています。これらの会社は、P2Pコンピューターネットワークでは運営されていないので、ブロックチェーンの思想と真逆のシステムです。

ですから、これからブロックチェーンを使ったアプリ開発をしたいと考えているプログラマはどうしなくてはならないか?

こちらのトークンエコノミー のマトリックスで示しているように、リワード経済や証券経済、ネットワーク効果など様々なことを考えなくてはならず、その上で、DAO型のP2Pコンピューティングネットワークも自前で構築するとなる大変すぎるのですね。

この裏方の仕事、つまり、DAO型のP2Pコンピューティングネットワークのリソースを提供してくれるのがBaaSです。

実は、これは、インターネット産業の発展においても同じことが起きているので、とても参考になります。

それは、2006年から2007年にかけておきた「コンピューティングビックバン」と言われる現象です。このときから、アプリが大量に市場に出回るようになったのですね。このお陰で、インターネット産業は、一気に大きく成長しました。非常にインパクトのある出来事でした。

そして、そのキッカケとなったが、中央集権型クラウドのアマゾンのAWSと、アップルのiPhoneです。BaaSと関連しているのは、前者です。

AWSが普及する前は、アプリ開発者は、データセンターを借りる必要がありました。毎月、最低、数十万円は支払う必要がありました。お金がとてもかかったのですね。

だから、なかなか簡単にアプリを作ってリリースすることができませんでした。

しかし、AWSがこの問題を解決してくれました。なんと秒単位で課金してくれたのです。この場合、ユーザーが少ない段階であれば、毎月数千円の支払いですみます。このお陰で、たくさんのプログラマがアプリを開発するようになったのですね。

BaaSは、このAWSのブロックチェーン版です。ブロックチェーンの世界では、AWSのようにサーバーはアマゾンが中央集権的に管理しているのではなく、ビットコインのマイナーと同じで、みな自分の自由意志でネットワークに参加して来ますから、BaaSは、このマイナー達をアプリ開発者に変わって大量に集めてくることで、その上で、誰でも簡単にブロックチェーンを使ったアプリを提供できる世界を作り出しました。

つまり、このペインポイント解決は、ブロックチェーン産業の発展にとって、とても重要ということです。

 

プロダクト分析

では、ここからこの点を踏まえてプロダクト分析を進めていきます。

まず、TomoChainのシステム全体像について理解を深めましょう。

こちらの図を見てください。

 

BaaSの下に、マイナーたちがいます。彼らは、コンピューター資源とネットワーク資源を提供してくれています。

そして、上でブロックチェーンアプリが動いています。

TomoChainは、BaaSとしては、パーミッション型でかつDPoSというコンセンサスアルゴリズムモデルで動いています。

そして、BaaSを理解する上で、もう一つ重要なのが、こちらのスライドです。

 

中央集権型クラウドとBaaSと言う非中央集権型クラウドを比較したものです。クラウドコンピューティングシステムは、一般的に3つの機能を持っています。トランザクション処理システム、ストレージシステム、そして分析システムです。

そして、BaaSと言うのは、この図でいうとトランザクション処理システムのことを指します。ブロックチェーン自体が、トランザクション処理システムの技術だからです。ストレージ機能や分析機能は持っていません。

なので、ブロックチェーンの技術を拡張してそれらの機能性を持たせていく必要があります。

この点が、TomoChainと他のBaaSを比較する上でのヒントにもなります。

では、いつものバリューカーブ・プロポジショニング分析をしていきましょう。

3大BaaSであるイーサリウムとTRON、EOSと比較します。まず、TomoChainは、世界初のBaaSではないため、イーサリウムが持つ1st Mover Advantageは持っていません。ですから、的確な差別化戦略が求められます。

また、EOSに比べるとまだストレージ機能などを持っていないのでBaaSの機能性で劣り、DliveやBitTorrentなどのキラーアプリを持つTRONに比べると自前の強力なアプリを持っていないので、垂直統合戦略で劣ります。

まず、イーサリウムの持つ1st Mover Advantageについて、理解を深めておきましょう。こちらをご覧ください。

BaaSのTop10を比較したものです。2019年のデータです。

オレンジが各BaaS単体の時価総額で、ブルーがその上で稼働するブロックチェーンアプリの時価総額の合計です。イーサリウムが、圧倒的ですね。

TomoChainはここにはランクインはできていません。

今後のTomoChainの展望を知る上で、ヒントになるのは、クラウドコンピューティン市場での勢力図です。

こちらの図を見てください。

2019年のクラウドコンピューティングの市場シェアです。

この市場は、大きく、B2Cアプリを顧客に抱えるプレイヤーとB2Bアプリを顧客に与えるプレイヤーで勢力図がわかれています。

まず、B2Cアプリにフォーカスしている、AWS、MicrosoftのAzure、そして、GoogleとAlibabaの4社で、合計約65%と市場の過半数をしめています。

一方、B2BアプリにフォーカスしているSalesForceやIBMは弱小プレイヤーです。

なぜか?

これを理解するヒントは、テクノロジーマーケティングの世界では、常識中の常識と言われる「キャズム理論」から見えてきます。

キャズム理論は、一般的には、新技術のB2Bマーケティングに使われる理論ですが、BaaSは、B2B2Cビジネスになるので、十分応用できると考えています。

Amazon, Microsoft,Google,Alibaba、この4社のクラウドコンピューティングサービスに共通して言えることは、B2C向けの強力なサービスを自前で持っているということ。

AmazonはEコマース、MicrosoftはOffice Cloud、そして、Googleは、検索エンジンやYouTubeなどです。新しいテクノロジーはなんでもそうなのですが、B2BよりB2C市場の方が、先に立ち上がります。なぜか?

B2C市場は、「消費者一人一人が意思決定者だから」です。使うか使わない方は、すぐに決めることができます。そして、その中で、このキャズム理論でいうところのイノベーターやアーリーアダプターといった、新しい技術を積極的に使っていく人が自然と取り入れてくれるので、クラウドコンピューティングのお客さんであるB2Cアプリのユーザーベースはすぐに伸びていくのですね。

ですから、Amazon、Microsoft、そしてGoogleの顧客ターゲットも、基本、B2Cアプリを提供していいる会社です。具体的にはNetflixやUberなどですね。

一方、B2Bアプリは、会社内で導入するかしないかの意思決定がされるため、時間がかかります。組織の中には、イノベーターやアーリーアダプターは一部ですから、キャズムにおける、アーリーマジョリティやレイトマジョリティの意見に押されてしまい、なかなか導入が進みません。

この結果が、このクラウドコンピューティングの市場にも出ています。

SalesForceやIBMのクラウドコンピューティングは、全てB2Bアプリが中心です。SalesForceは自分たちが、B2B顧客をターゲットとするCRMですし、クラウドサービスの顧客ターゲットもB2Bアプリを提供している会社です。つまり、アプリ側の顧客開拓に時間がかかるため、強力なB2Cアプリを持つAmazonやGoogleのクラウドサービスに差をつけられてしまうわけです。

今、強力なB2Cアプリを持つBaaSは、イーサリウムとTRON、そしてEOSです。ですから、TomoChainは、現在は、B2Cアプリ市場にフォーカスしていますが、ここで、3大BaaSと互角に戦うのは難易度が高すぎます。

対策の一つは、地域特化型ですね。この点は、次のチーム分析から見えてきます。

チーム分析

次にチーム分析です。

僕がキーメンバーと見ている5人です。いずれも、ベトナムベースです。

共同創業者でCEOのLongは、マサチューセッツ州立大学アムハースト校で、経済学の博士号を取り、直前は、GrouponとYelpの機能を組み合わせたCityMというベンチャーを立ち上げていた連続起業家です。

同じく共同創業者でCTOのNguyenも、ベトナムのハノイ大学でコンピューターサイエンスの修士号をとったのち、IoTスタートアップを起業していた連続起業家です。

そして、同じく共同創業者でCFOのLeは、直前は、ベトナムの投資ファンドのシニアマネージャーをやっていた人物です。

創業メンバー
はとてもバランスの取れたよいチームですね


。

さらに、リードブロックチェーンリサーチャーをやっているVanは、フランスにあるUniversity Paris-SaclayでコンピューターサイエンスのPh.Dを取っている優秀な人物です。

最後に、コミュニティマネージャのLeは、直前も、ハノイにある音楽コンテンツ系ベンチャーのセールス・マーケティングのスペシャリストでハダーフィールド大学でマーケティングコミュニケーションの修士号をとっています。

ベトナムや近郊のSEA市場に特化した事業展開をする上では、とてもバランスの取れた経験豊富なチームとして期待が持てます。

チーム実行力の分析

次に、このチーム構成を踏まえた上での実行力の評価ですね。

こちらは、dapp.comからのデータです。

TomoChainは、アプリ数は、31です。やはり、三大BaaSに比べるとかなり数字は落ちます。

カテゴリも同様です。

強いていえば、ギャンブル系が強いですが、このカテゴリは市場の持続性が低いで、他のカテゴリを強化する必要があるでしょう。

トークンエコノミー分析

次に、トークンエコノミーです。

BaaSは、こちらが該当します。証券経済とDAOが特に重要ですね。

こちらを見てください。

これは、TRONのネットワーク効果をまとめたものです。TRONは、イーサリウムに対抗するため、DliveとBitTorrentを自前でもつことで、イーサリウムに比べて弱いゲームカテゴリの対策を打つことができます。このネットワーク効果にフォーカスすることで、強力な成長が得られるわけです。

一方、TomoChainは、対イーサリウムや対TRONに対しても、これがないのが弱みです。EOSにも比べても、VCの資金力で劣るため、なかなか厳しい戦いです。

最後にDAOですが、ここは、イーサリウムが最も進んでいるため、TomoChainにとってもますます重要になりつつあります。ただ、まだ顧客開拓が十分進んでいない点を踏まえると、しばらくは、ある程度、財団メンバーが主体となって動いていく必要があると考えています。

ハイプサイクル分析

最後に、ハイプサイクル分析ですね。

いつものガートナーのブロックチェーン産業のハイプサイクルの最新マップをベースに話をします。BaaSとしては、まず、この本格的な成長期に入りつつある「DLT」の領域や「Blockchain」領域が該当します。

しかし、他のBaaS同様に、エコシステムの作り方次第では、「DAO」や「SmartAsset」にも該当することもできるため、その方向性を強化していければ、ポテンシャルのあるプロジェクトになる可能性があります。イーサリウムがかなり先に進んでいるので、相当フォーカスして開拓しないと全く追いつけないでしょう。

総合評価

そして、最終的な総合評価は以下の通りです。

まず、ペインポイントは5.0です。BaaSは、ブロックチェーン産業の発展の不可欠と言えます。

次にプロダクトは、4.0にしました。1st Mover Advantageはイーサリウムが持ち、BaaSとしての完成度ではEOSに劣り、垂直統合戦略ではTRONに劣ります。

次にチームですが、ベトナムを中心としたSEA市場にフォーカスした市場開拓を進める分には、バランスもよく取れた良いチームなので、4.0にしました。

チーム実行力は、現状のDapp.comのデータと、ベトナム市場以外に出ていくことの難易度などを配慮し、3.0と評価しました。

トークンエコノミーも3.5です。イーサリウムやTRONと比較して、強力な差別化ができておらず、ネットワーク効果がまだ見えてきていないためです。

ハイプサイクルは、すでに本格成長段階に入りつつあるBaaS市場と言う視点がメインになってしまうのが現状で、すると、安定的な成長が見込める銘柄にはなりますが、イーサリウムとTRONやEOSと比較した場合、ビジネス開発が十分進んでいないため4.0にしました。

合計点は、23.5です。

僕の投資基準の裁定は25.0以上なので、残念ながら基準クリアならずです。ただし、僕はグローバルに展開可能なプロジェクトのみに投資しているため、彼らに厳しい評価を下していますが、ベトナム市場や近隣市場で活動している投資家にとっては、投資する価値はあると思います。

以上、みなさんの参考になれば幸いです。

注記:最終的な投資判断は自己責任です。

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