CurveFinance(カーブ・ファイナンス)のトークンCRVの投資分析・評価について

今日は、Curve Finance(カーブ・ファイナンス)のトークンCRVの投資分析についての話です。

早速、はじめていきましょう。

まず、僕のポートフォリオ戦略における、CRVの該当カテゴリは、こちら4つ目のT2T DEXの領域ですね。

DEXは、仮想通貨市場にとって非常に重要な役割を果たす領域だけに、競合も多いです。現在、仮想通貨の売買は、中央集権型取引所が主流ですが、5年以内には、DEXが主流になると見ています。僕のポートフォリオ戦略について詳しく理解したい方は、僕の「ポートフォリオ戦略」に関するブログを参考にしてください。

分析視点は、いつもの6つの視点、つまり、ペインポイント分析、プロダクト分析、チーム分析、チームの実行力、トークンエコノミー 分析、そして、ハイプサイクル分析です。

ペインポイント分析

一つ目、ペインポイント分析です。ここは2つあります。

まず、一つ目のペインポイントです。

それは、ユーザーは、一つのアカウントで、たくさんのアルトコイン投資をやりたいということですね。

わかりやすい事例として、ブロックチェーンはインターネットの次の破壊的テクノロジーとして話に登ることが多いので、インターネット企業を見てみたいと思います。

現在、インターネット産業には、グーグル、フェイスブック、アマゾンなどをはじめ、1,000億円の時価総額を超える会社が、世界に数百社います。

単純に考えれば、ブロックチェーン市場にも同じぐらいのプロジェクトが出てきても全く不思議ではありません。

しかも、創業間もないベンチャーに投資できるのが仮想通貨投資の魅力の一つなので、将来的に生き残る会社が結果的に数百社に絞られてくることを考えれば、母集団のベンチャーの数は数千から数万に登ることは想像に難くありません。ベンチャーはたくさん倒産しますかね。

しかし、今の仮想通貨取引所は、使っている人はわかっていると思いますが、取引所によって上場されている銘柄に違いがあったりします。二つの取引所にそれぞれアカウントを持つならまあガマンできますが、これが4つとか5つとかになってくると正直、かなり不便です。ですから、DEXにはこの問題をきちんと解決することが求められているわけです。

そして、二つ目のペインポイントです。それは、中央集権型取引所のハッキングリスクの高さです。

中央集権取引所は、ハッカーに狙われやすいです。仮想通貨取引所は、過去、合計で1500億円近いハッキング事故を起こしており、すべて、中央集権型の取引所で発生しています。なぜか?

こちらは、DEXプロトコルの一つ0xのホワイトペーパーからの抜粋ですが、要するに、中央集権取引所は、一つのシステムにユーザーが保有・または売買する仮想通貨をプールして持っているため、一度のハッキングで、何十億という規模のお金が手に入る可能性があります。だから、ハッカーは狙うインセンティブがあるのですね。

一方、DEXはこれとは全く異なります。ユーザーのウォレット単位で保有する仮想通貨が、分散しています。

このレベルまで分散していると、ハッカーにとっては、ハッキングする意欲が損なわれます。なぜなら、一つのウォレットアカウントをハッキングする労力は、一つの中央集権型取引所をハッキングする労力と同じなのに、手に入る可能性通貨の量が個人保有レベルだからですね。しかも、どのウォレットのどの仮想通貨がどれぐらい保有されているかは、アタックしてみないとわかりません。

このような状態にあるDEXを「Non-Custodian」型、つまり、カストディーサービス(保管サービス)を持たない取引所システムと呼んでいます。

ですから、DEXに求められるペインポイントをまとめると、

1つは、ユーザーは、一つのアカウントで、豊富かつ流動性の高いアルトコインの売買ができる環境を求めている。

もう一つは、カストディーサービスを持たないシステムである。

ということです。

この点を踏まえて、次のプロダクト分析に移っていきます。

プロダクト分析

まず、詳細の話に入る前に、簡単に、CurveFinanceの創業からの歴史を話します。

2020年1月に、スイスを本社に立ち上げられています。

UniswapのDEXデザインを参考にして作られている一方で、扱うトークンペアは、ステーブルコインペアに限定することで、スリップページやインパーマネントロスリスクを抑えていることが特徴です。

また、CRVトークンは、ICOは実施しておらず、流動性プロバイダへのインセンティブとして提供されることで市場に供給されていきます。ビットコインと同じ供給モデルですね。

また、2020年8月に、Curveの創業者でCEOのミカエルが、発行済みトークンの71%以上を手に入れたことで、実施、彼がガバナンスを中央集権的に支配する状況が確立されています。

では、ここから、いつものバリューカーブ分析に入っていきましょう。

比較対象として、Curveがアーキテクチャの参考にしたUniswap、そして、同じタイプのDEXのBalancer、そして、少し系統の違うDEXの0x、最後に、中央集権型取引所のNo.1のBinanceを入れています。

まず、Curveの最大の特徴は、スリップページとインパーネントロスリスクが低い点です。ただし、この強みを手に入れるため、Uniswapのように、ユーザー側が、自由にトークンペアをリストできるようにはしておらず、ステーブルコイン限定です。ですから、NFTにも対応していません。

また、DAOが、現時点で、中央集権的である点も特徴です。

この表の中で、特に注目したいことは、スリップページとインパーネントロスリスクが低い点で、詳しくお話します。

まず、理解して欲しいことは、Curve Financeにおける仮想通貨のペア同士の価格を決めているか?です。この仕組みは、Uniswapと同じです。

これは、中央集権型取引所の価格決定メカニズムと比較すると分かりやすいです。

こちらをご覧ください。

中央集権型取引所は、この左図にあるように、シンプルにいうと、買いたい人と売りたい人が、それぞれの希望売買価格と希望売買量を注文し、それを売買板に登録し、この中央値が最新値段として決まっていくシステムです。注文は、指値と成行の両方を出すことができます。

一方、Uniswapの場合は、成行しか出すことができません。そして、価格の決定は、以下のようにして決まります。

例えば、ETH/DAIのペアがある場合、当然、そこには、2つのトークンの流動性供給者が存在します。

その総合計が、ETHのプールが10,000ETH、DAIが、1,000,000DAIとします。

すると、シンプルには、価格は、このプールサイズの比較で決まります。ですから、1ETH=100DAIとなります。

ただし、プールに預けられているそれぞれのトークン量は常に、ユーザーの活動に応じてダイナミックに変化していいくため、価格もダイナミックに動きます。

この価格決定メカニズムであるからこそ、オーダーブックが存在しないので、指値ができないのですね。

いずれ、指値を可能にするイノベーションも起きる可能性もあるとは思います。

ただし、この価格決定メカニズムであるからこそ、Curve Financeに参加する流動性供給者が抱える潜在リスクが存在します。

インパーマネントロス(未確定損失)と呼ぶものです。流動性供給者は報酬として、CRVトークンがもらえます。

しかし、そのインセンティブも、インパーマネントリスクを理解した上でないと実際には実質儲かっていない状況に陥ることがあります。

詳しい理解は、数字ロジックのリテラシーが一定レベル以上ないと無理なので、ここでの説明は省きますが、このリスクが生まれる波形には、先ほどの価格決定メカニズムの影響があります。

このプールサイズの比較による価格決定アルゴリズムは、流動者供給者が、実際に自分の保有する仮想通貨資産を流動性プールに預けてから、価格が、変動するほど大きくなります。

実際の想定値は、こちらのUniswapのホワイトペーパーの抜粋にまとめられています。

例えば、流動性を提供してから価格が、1.25倍%以上変化すると、流動性プールに預けずに、ただホールドしている状態に比べて、追加で0.6%の損失が発生します。

これはまだ小さい方で、仮に価格が5倍以上に下がるか上がるかした場合、25.5%の追加の損失が発生します。

最も理解しておくべきことは、この追加損失リスクは、価格が上昇しても下落しても発生することです。

ただし、誤解してはならないのは、この損失が確定するタイミングは、あくまで、あなたが、自分のトークンをCurveFinanceのプールから引き上げるタイミングで確定します。

ですから、現物を預けているわけですから、価格が実際に上昇している場合は、損失自体は生まれていないものの実際にETHを保有してるよりは損をしていますから、この損失分を上回るだけのインセンティブがもらえないと、ユーザーがCurveFinanceに流動性を供給しようとは思わないという理解が必要です。

ですから、CurveFinanceは、そのインパーマネントロスの性質を踏まえて、ステーブルコイン同士のペアであるDAI/USDTなど、ボラティリティの低いペアのみに限定することで、最もリスクが低く、収益性の高い流動性マイニングを投資家に提供するというプロダクト戦略を展開しています。

この性質は、スリップページにとっても同じです。ボラティリティがそもそもステーブルコイン・ペアは低いで、約定価格が極点にブレることがまずないということです。

以上の理解を踏まえた上で、Curve Financeが、中央集権型取引所を完全に凌駕する上で、重要となる課題についてまとめておきました。

こちらのご覧ください。

まずは、スケーラビリティとトランザクションコストですね。

これが課題に上がる原因は、現状のCurveFinanceは、イーサリウムの上で動いており、イーサリウムで発行されているトークンのみ(NFT含む)が、売買対象になっているからです。

イーサリウム2.0に移行が完了すれば、マイニングアルゴリズムが、PoWからPoSになるため、トランザクションコストも下がり、1秒間あたりの処理可能件数も現在の15件から、3千件から5千件ぐらいまでは上がると見ており、かつ、1件あたりの処理コストも、ビットコインと同じPoW時代に比べて、かなり下がると見ています。

次に、クロスチェーンの取引ですね。アトミックスワップと呼ぶこともあります。

僕が一番気にしているのは、NFT市場です。間違いなくNFTは、ブロックチェーンゲーム市場から立ち上がると見ています。現時点で、ゲームNFTに強いのはイーサリウムです。圧倒的にNo.1です。

しかし、先にのべた特にトランザクションコストがPoWである限り高騰化は避けられないので、大型の仮想通貨なら1回あたりの取引額もそれなりの規模が期待できるので、高いガス代でもユーザーは妥協してくれる可能性もありますが、一つのトークンあたりの売買高が小さくなること必須のNFTの売買では、このガス代ではユーザーから毛嫌いされるリスクがあります。

そうなってくると、新興のゲームNFTに特化したFlowなどの新型BaaSが、その市場の隙間を埋めてくる可能性が高いと見ています。NFTは、物凄い規模の潜在市場がある可能性が大きいからです。

これが現実化、クロスチェーンのトークン売買するテクノロジー開発が間違いなく重要になってくると見ています。CurveFinanceは自社技術でやり切ることができれば、更なる大きな成長が待っています。

そして、最後が、先ほど話をしたインパーマネントロスです。僕は、Yearn.Financeなどのアグリゲーション・サービスを提供するプレイヤーが埋めてくると予測しています。

ただし、上のリスクが解消される見込みが立たないと、CurveFinance含めたDEXが、巨大な成長トレンドに乗ることはないと見ています。なぜか?

こちらを見てください。

よく話をするキャズム理論です。

ユーザーが5つのカテゴリに分類されており、イノベーターから新技術の利用が開始し、最後、最も保守的なレイトマスに使われるようになって、プロダクトとしての商品ライフサイクルが終わりを迎えます。

重要なのはこのキャズムを超えるための条件で、CurveFinanceは、この点を踏まえて、あえて、ステーブルコインペアに現状は扱う銘柄ペアを限定し、他のアルトコインについては、投資家の数が増えてボラティリティが下がる状態になることを待っているのではないかと見ています。

ただし、インターネット業界に比べると、よりワイルドな技術挑戦を好む傾向にあるブロックチェーン業界で、この少し保守的なプロダクト戦略が支持を受けるか?と言われると、疑問が残ります。

チーム分析

次にチーム分析です。

まず、創業者でCEOのミカエルで、彼は、オーストラリアにある工科大学で、物理学のPh.Dを取得した後、Linkedinのシニアソフトウェアエンジニアになり、そこから、NyCypherというデータベーステクノロジーのベンチャーを起業して、シリコンバレーの著名インキュベーターのY-Combinatorにも採択されています。そして、その後、CurveFinanceを起業しています。

彼以外のメンバーについては、現状情報がネット上には見当りません。

ミカエルは、優秀な起業家だと思います。

チームの実行力の分析

次に、このチームの実行力の評価ですね。

中央集権取引所とDEXの売買高を比較したものです。

CurveFinanceは、ステーブルコインペアしか現状扱っていない中で、中央集権取引所のKrakenと同じレベルの売買高を達成しているので、実行力はかなり高い方だと思います。

トークンエコノミー分析

次に、トークンエコノミーです。

DEXは、こちらですね。

DEXの仕組みは、どちらからというとB2Bモデルなのですが、最終的には、ユーザーが、売買してくれないと流動性は上がりませんから、その点で、リーワード経済からネットワーク効果まで幅広く対応していく必要があるレイヤーです。

最重要のネットワーク効果について、CRVのパターンをまとめました。

まず、最重要なことは、流動性プールを大きくするほど、CRVのネットワーク効果は強化されます。

まず、仮想通貨の投資家でイールド・ファーミングや流動性マイニングに興味の投資家が、保通している仮想通貨をCurveFinanceにロックアップしていきます。

彼らが参加するモティベーションは、CRVでもらえるのトレーディングフィーのリベニューシェアです。

こうして、CurveFinanceで登録されているトークンの量と種類が豊富になっていき、顧客体験が改善されていきます。しかし、Curveの方は、ここで、Uniswapと違い、トークンペアをステーブルコインに限定しているので、流動性の成長メカニズムとしては、Uniswapに比べて劣ります。

また、インセンティブを生み出す元になる売買高、つまり、トランザクション量が増えなければなりませんが、CurveFinanceの価格決定メカニズムは、中央集権型取引所の価格決定とは、確実に価格差を生み出すので、これが、アービトラージの絶好の機会になります。

これを狙ったトレーダー達が、CurveFinanceで活発に活動することで、トランザクション量が成長するため、流動性供給者達は、豊富な収益機会を得ることができ、これが、また、新たな流動性供給者を市場に引きつけることなります。

この二つの成長スパイラルでグロースしていくのが、現状のCurveFinanceです。いずれ、DEXのトランザクション量が中央集権取引所を超えるようになると、中央集権取引所とのアービトラージ機会に依存しない成長モデルが必要になってくるでしょう。

最後にガバナンスです。

CurveFinanceは、ここに一つ課題を抱えています。創業者のミカエルが、ガバナンストークンとしても発行されているCRVの71%以上を保有しているのですね。この点は、コミュニティからも批判を受けています。

おそらく、彼の意図としては、現状はステーブルコインペアにフォーカスすることで、Uniswapとの差別化を図りたいなどの戦略を忠実に実行していきたく、そこをコミュニティの意見に左右されたくない意図があると見ていますが、あまり、この業界ではウケのよい考え方ではないですね。多少、ワイルドでもコミュニティに任せるというYean.Financeなどのやり方の方が支持される傾向にあります。

 

ハイプサイクル分析

最後に、ハイプサイクル分析ですね。

いつものガードナーのブロックチェーン産業のハイプサイクルの最新マップをベースに話をします。

DEXのプロジェクトは、ブロックチェーンを利用したAHC(Automated Clearing House)Paymentが該当します。ACHは、分散型の銀行間送金ネットワークで、DEXもこれをブロックチェーンを利用することで、送り手と受け手の間でよりセキュアで高速な送金を実現しようとしていることと本質的には同じです。目的が送金ではなく、投資の売買であるということですね。なので、まだ黎明期の段階です。

また、DEXはプラットフォーム型のプロジェクトですから、当然、DAOが中長期で重要になってきます。ただ、先ほど指摘したように、現時点では、CRVは、中央集権的なガバナンスモデルで運営されているため、ここはマイナス評価です。中長期では、改善されると思いますが、これ原因で一部の仮想投資家から嫌われる可能性はあるでしょう。

投資に関する最終的な総合評価

そして、最終的な総合評価は以下の通りです。

まず、DEXはこの業界にとって非常に重要なカテゴリの一つになり、ペインポイントの内容もクリアになっているので、5.0です。

そして、プロダクトは、ほぼUniswapに近いアーキテクチャでありつつ、ステーブルコインにフォーカスしている点や、ICOをやらないモデルを採用している点など踏まえて、3.5にしています。

チームも、小さいチームをキープしていながらも、なかなかの技術力と実行力を発揮しており、4.0です。

チームの実行力は、2020年1月のローンチより、短期間で、Uniswapに注ぐ売買高を達成しているので、文句なしの5.0です。

トークンエコノミー は、ネットワーク効果のところで、Uniswapより少し劣る点と、やはりDAOで中央集権性が現状強い点を考慮し、3.5としました。

最後にハイプサイクルは、DAOの領域は、最終的には、非中央集権を高める方向に動いていくとは思いますが、現状は、マイナス評価せざるを得ず、4.0としました。

合計点は25.0です。僕の最低の投資基準は25.0以上なので、投資推薦できる銘柄です。

以上、みなさんの参考になれば幸いです。

注記:最終的な投資判断は自己責任です。

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