UMAの投資分析・評価について

今日は、UMA(ウーマ)のファンダメンタル分析についてお話しします。

こちらの内容はYouTubeにもまとめています。日本語字幕付きです。合わせて参考にしてください。

早速、はじめていきましょう。

まず、僕のポートフォリオ戦略における、UMAの該当カテゴリは2つです。

まず、3のToken Collateralized DeFi、そして、4のToken to Token DEXも該当します。僕のポートフォリオ戦略について詳しく理解したい方は、僕の「ポートフォリオ戦略」に関するブログを参考にしてください。


分析視点は、いつもの6つの視点、つまり、ペインポイント分析、プロダクト分析、チーム分析、チームの実行力、トークンエコノミー 分析、そして、ハイプサイクル分析です。詳しくみてきましょう。

ペインポイント分析

一つ目、ペインポイント分析です。

DeFiプロジェクトにとって、Oracleの利用によるコスト負担は大きいか?

です。詳しくお話しします。

まず、理解して欲しいことは、DeFiの担保評価におけるChainLinkやBandのオラクルサービスを利用した「真正価格」の必要性です。

例えば、MakerDAO、Compound、AAVEなどでは、ユーザーは自分の保有している暗号資産を担保として預け、その担保評価に応じて、お金を借りることができます。この担保評価の基準は、預ける暗号資産のボラティリティによって変わります。ボラティリティの低い資産ほど、預けた担保の時価評価額に近い額の金額を借りることができ、逆に高い資産は、相当少ない額しか借りることができません。

では、その際の評価額をシステム側がどうやって決めているか?というとChainLinkやBandなどのオラクルサービスの価格を参照します。複数ある仮想通貨取引所は、DEXも含めて、一つの暗号資産、例えばBitcoinの価格には、バラツキがあるため、担保評価に不公平感が生まれないよう、真正価格を利用するわけです。

担保評価は、時価でリアルタイムに変化するのがDeFiの特徴です。ですから、参照する度に、MakerDAOなどのプラットフォーム側は、ChainLinkなどに参照のための利用手数料を払うわけです。

この点を踏まえて、UMAのプロダクトのペインポイントを定義するとシンプルにこういうことになります。

DeFiプラットフォーム側が、ChainLinkなどのオラクルサービスを利用する費用を100とした場合、UMAを使うことで、その利用コストを最小化し、更にそこにUMAの利用費用を足しても、例えば50であれば、これはプラットフォーム側やユーザーにとっては利用コストが下がるわけですから、十分利用価値が出てくるということです。

これが、UMAがターゲットしているペインポイントです。

では、これらの理解を元に、UMAのプロダクトを見ていきましょう。

 

プロダクト分析

まず、詳細の分析に入る前に、UMAのおさらいです。

UMAは、2018年1月に、アメリカのシカゴで、Allison LuとRIks LabsのCEOであるHart Lamburによって立ち上げられました。

2020年5月に、Bitcoinのラッピングトークンをイーサリウムを使って発行し、この仕組みをベースにChainLinkなどのオラクルサービスの利用を下げるためのサービスを提供開始します。

その後、UMAの開発をリードするRisk Labsが中心になって、UMAトークンを発行し、DAOガバナンスの開発が開始します。

そして、UMAのプロダクト概要です。

まず、UMAの仕組みを理解するには、DeFiの仕組みの基本を理解する必要があります。CompoundやAAVEの例が分かりうやすいと思います。

利用にあたって大きく二つのプロセスが存在します。一つは、「担保化」。もう一つは「清算」です。

ユーザーは、自分の持つ暗号資産を預け入れて、それを担保にDAIなどのステーブルコインを借りたりするわけです。

そして、この担保評価にあたって、UMAは、ChainLinkなどを利用せずに済むサービスを提供しています。

彼らは、”Priceless” シンセティック・トークンと名付けているのですが、コンセプトは、Uniswapのプール・トークンと似ており、実際預けた資産の対にトークンをイーサリウム上に発行し、これが実際の資産と価格連動することで、担保評価を行うという仕組みです。

この時点で、ChainLinkは一切使っていません。

そして、ここに清算者という別のユーザーがいます。彼らは、担保評価額が割れていると自分で判断し、清算行為を行うことで、UMAから報酬をもらいます。

ただ、ここにこの清算行為は不当だと主張するDisputerがおり、彼らは抗議します。

この抗議の際に、彼らは、CainLinkの価格をベースに主張してくるわけです。実際に不当だと判断された場合、清算者は報酬を失い、この報酬はDisputerのものになります。

逆に、Disupterの主張が不当だと判断された場合、Disputerは、予めデポジットしておいたUMA残高からペナルティを没収されます。

端的にいうと、先ほど話をした「担保化」と「清算」の二つのプロセスのうち、清算のみでChainLinkなどを使うことで、オラクルサービスの利用コストダウンを図るサービスということです。

次に競合と比較したバリューカーブ・プロポジション分析に移ります。

現時点では、UMAは、直接競合はおらず、間接競合として、オラクルサービスのChainLinkやBandProtocolがいるということになります。

そして、このオラクルサービス自体は、強力なChainLinkが1st Mover Advantageを持っています。

また、現時点では、UMAを利用すると、CainLinkなどを直接利用するに比べてどれぐらいコストダウンが図れるかはまだ証明されていないので、「?」としています。

ですから、この点を踏まえると、まず、投資検討にあたって考えるべきは、ChainLinkのネットワーク効果にUMAがどこまで挑めるか?になります。

こちらをご覧ください。

ChainLinkは、すでに合計315のプロジェクトが関わっており、DeFiについては98のプロジェクトがChainLinkを利用しています。当然、UMAに対抗するため、オラクルサービスの利用コストを下げることもChainLinkは考えるでしょう。

ただし、僕がもう一つ考慮しているのは、「真正価格」の需要自体があまり大きくならない可能性です。これは、DEXですでに顕在化しつつある視点です。

こちらをご覧ください。

これは、DEX最大手のUniswapの価格決定システムです。

まず、既存の中央集権型取引所のオーダーブックは、左図にあるように、参加している投資家から、売り買いの欲しい価格と注文数を集めてマッチングし、最新のマッチング価格が現在価格となる決定メカニズムですが、Uniswapにおいては、流動性プールサイズに応じて価格が変動するモデルになっています。中央集権性のあるオーダーブックを不要にするためです。

簡単にいうと、例えば、ETHのプールサイズが10,000トークンあって、DAIのプールサイズが、1,000,000あると、1ETHの価格が、100DAIになるという価格決定モデルです。

このモデルがDEXが未来永劫成長していくと、DEXは、価格決定において、ChainLinkなどのオラクルサービスなどが不要になります。

ただ、現状のUniswapと同じ形態のDEXの売買の中心は、この価格決定モデルを利用した中央集権取引所との価格差によるアービトラージ取引がメインになっているため、ChainLinkによって深刻な驚異になっていません。

ただ、将来的にこの価格決定モデルがレンディング市場のコラテラル評価にも普及すると、かなりの脅威になるので注視しています。

しかし、この場合でも、引き続き、「担保化」と「清算」という二大プロセスは、レンディング市場からなくなることはありません。つまり、ChainLinkの役割はなくなっても、UMAの役割はなくならないわけです。

むしろ、UMAのモデル自体が、このプロセスにおいて、主流になる可能性もあるわけです。

まだ、ここは答えが出ていないポイントですから、継続的に注視しておく必要があると考えています。

 

チーム分析

次に、チーム分析です。

まず、共同創業者のアリソンは、Talaという金融企業で、債権分析チームのVPをやっており、その前は、ゴールドマンサックスでVPをやっていました。MITで経済学とファイナンスの学士をとっています。また、ファウンダー・プレッジというコミュニティのメンバーです。

同じく共同創業者のハートも、ファウンダー・プレッジというコミュニティのメンバーですから、二人はそこで出会ったのでしょう。彼が、UMAの開発をリードするRisk LabsのCEOです。彼も、ゴールドマンサックスで金利商品のトレーダーをやっていましたがら債権商品に詳しい人材です。

シニア・ソフトウェアエンジニアのニックは、Yコンビネーター卒業のCarbonー12の創業者であり、投資銀行バークレーのもと元トレーダーです。プリンストン大学でコンピューターサイエンスの学士号をとっています。

ソフトウェアエンジニアのパラサドは、元Googleのソフトウェアエンジニアで、スタンフォード大学で電子工学の修士号をとっています。

これに加えて、20名ほどの規模のチームです。DAOを作り上げるには、十分小さいチームですね。よいと思います。

チームの実行力

次に、チームの実行力です。

バリューカーブ分析で説明したように、UMAのコスト構造の優位性はまだ証明されたわけではありません。

2020年5月に、BTCのシンセティックトークンを発行し、サービスを開始したばかりです。

まだまだこれからのプロジェクトですね。

トークン・エコノミー分析

次にトークン・エコノミーです。

該当するのは、DEXとCollateralized DeFi の二つですね。

最重要のネットワーク効果の分析からみていきましょう。

スタートラインは、ChainLinkを直接使うよりUMAを使った方が安いというほぼここに尽きると言えます。

それが実現できれば、自然と顧客は流れてくるので、UMAをもらえる報酬機会が増えるため、清算者の参加者は増えるでしょう。

そうなれば、扱える案件数が自ずと増えますから、オラクルサービスへの依存度が下がるため、より顧客体験は改善されていきます。

また、第1の成長メカニズムがベースになって、UMAの売買参加者が増えることで、UMAの流動性が引き上がり、結果的に、ボラティリティが下がっていきます。

すると、UMAトークンに長期投資家が流れてくることになると、UMAの報酬をもらえる清算者などによっては、UMAのプラットフォームに労力を割くインセンティブが引き上がるので、第1の成長メカニズムが更に強化されることになります。

そして、もう一つ重要なことが、DAOのガバナンスですね。

ChainLinkが、かなり積極的に取り組んでいるため、UMAにも相応の努力が早期に求められるでしょう。

ハイプサイクル分析

最後にハイプサイクル分析です。

該当カテゴリは、スマートアセットとDAOになると思います。いずれも超長期でブロックチェーン産業にとって非常に重要な役割であり、かつ、まだ黎明期に相当するため、潜在力は非常に高いと言えます。

投資に関する最終的な総合評価

そして、最終的な総合評価は以下の通りです。

まず、ペインポイントは4.5です。オラクルサービス利用のコストダウンを狙えるというペインポイント定義に加えて、「申真正価格」に依存しないDeFi運用が実現できる可能性という破壊的イノベーションの側面を評価して、4.5としました。

そして、プロダクトは、まだ実績は十分には上がってきてませんが、論理的には成立する仕組みになっている点とポテンシャル踏まえて、4.5としています。

チームは、共同創業者含めてなかなか優秀なメンバーが揃っており、4.5です。

チームの実行力は、まだそれほど実績が上がってきてない段階で、市場のモメンタム形成もうまくやっている点を踏まえて、4.0としました。

トークンエコノミー 4.0にした背景は、まだDAOへの取り組みが遅れているためです。

ハイプサイクルもスマートアセット市場をどこまで取れるかが成長のカギと見ています。先ほど話をしたようにDEXがプライスフィードを必要としない取り組みを進めており、そこで生き残れる仕組みになる可能性がある点を意識しつつ、DAOの取り組みはまだ本格化していないので、4.0としています。

合計点は、25.5です。

僕の投資の最低基準は、25.0以上なので、投資推薦可能な銘柄です。

ChainLinkとUMAとのプロダクト・ポジショニングがどのように今後市場で変化していくのが注目しています。

以上、みなさんの参考になれば幸いです。

注記:最終的な投資判断は自己責任です。

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