Harvest Finance(ハーベスト・ファイナンス)のトークンFARMの投資分析・評価について

今日は、Harvest Finance(ハーベストファイナンス)のトークンFARM(ファーム)のファンダメンタル分析についてお話しします。

早速、はじめていきましょう。

まず、僕のポートフォリオ戦略における、FARMの該当カテゴリは3つです。

プロダクト自体はB2Cアプリなので、No.1のDappsが最も該当します。ただ、DeFiと関連しているプロダクトなので、3のCollateralized DeFiと4のDEXも該当します。僕のポートフォリオ戦略については「こちらのブログ」にまとめています。

分析視点は、いつもの6つの視点、つまり、ペインポイント分析、プロダクト分析、チーム分析、チームの実行力、トークンエコノミー 分析、そして、ハイプサイクル分析です。詳しくみてきましょう。

 

ペインポイント分析

一つ目、ペインポイント分析です。

まず、詳細のペインポイント分析に入る前に、しっかりと理解して欲しいことがあります。

僕の分析でよく使うキャズム理論です。大半の新しいプロダクトは、この理論をベースに、普及度合いを説明することができます。

5つのユーザーベースから構成されており、イノベーター、アーリー・アダプター、そして、キャズムを超えて、アーリーマジョリティ、レイト・マジョリティ、そして、レイトマスです。全てのプロダクトは、左側から右側に向けて普及していきます。

その点を踏まえて、インターネットの類似性からYFIについて考えましょう。Google、Facebook、Amazonは、世界最大のインターネット企業ですね。それぞれメインのプロダクトは異なります。Googleは検索エンジン、FacebookはSNS、そして、アマゾンはEコマースです。しかし、3つとも、このキャズム理論をベースに共通している点があります。

それは、5つのユーザーベース全ての人に使われるプロダクトを提供しているということです。

リスクを取ることを恐れず、新しいもの好きなイノベーターやアーリーアダプターだけでなく、リスクを怖がり、簡単に使えるものではないと使わないキャズムの向こう側にいるアーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、レイトマスまでも、簡単に使えるプロダクトを提供しているということ。

しかし、現状のDeFiはそうなっていません。その点から、ペインポイント分析をしていくと、Harvest Financeの価値が見えてくると思います。

まず、一つ目のペインポイントが、Collateralized DeFiにおける資産配分の最適化ですね。

例えば、こちらはレンディングプラットフォームのAAVEで今、ユーザーが貸し出しできる資産です。

現時点で30種類ぐらいですが、今後、NFTで発行されたゲームアイテム市場なども成長してくると、何百などにすぐ増えるでしょう。

それぞれにリスクとリターンのバラツキがあります。あなたは、これを自分で分析し、資産配分の最適化を考えるのは、かなり面倒です。

この場合に、いわゆるアグリゲーターと言われるプレイヤー(ロボット・アドバイザリーと言ってもよい)が、アルゴリズムで最適化してくれれば、かなり手間が省けますよね。それが、 FARMの重要な役割の一つです。

もう一つのペインポイントは、DEXに関わるものです。流動性プールにおけるインパーマネントロスリスクをどれだけ引き下げられるか?です。

まず、UniswapなどのDEXに参加するあなたのメリットの一つは、流動性プールに参加するだけで、報酬として、UNIトークンがもらえることです。あなたが、ETHなどの仮想通貨を長期保有しておくつもりなら、それを預けるだけで増えたお得ですね。これが、流動性プールに参加するあなたの動機です。そして、DEXは、この流動性プールのサイズが大きいほど、多くのトレーダーに収益機会を提供できるので、このサイズを増やそうと頑張ります。

しかし、あなたにとっては、この流動性プールに参加する上で、一つ重要なリスクを理解しなければなりません。それがインパーマネントリスクです。

詳しい理解は、数字ロジックのリテラシーが一定レベル以上ないと無理なので、ここでの説明は省きますが、このリスクが生まれる背景には、先ほどの価格決定メカニズムの影響があります。

このプールサイズの比較による価格決定アルゴリズムは、流動者供給者が、実際に自分の保有する仮想通貨資産を流動性プールに預けてから、価格が、変動するほど大きくなります。

実際の想定値は、こちらのUniswapのホワイトペーパーの抜粋にまとめられています。

例えば、流動性プールを参加してから価格が、1.25倍%以上変化すると、流動性プールに預けずに、ただホールドしている状態に比べて、追加で0.6%の損失が発生します。

これはまだ小さい方で、仮に価格が5倍以上に下がるか上がるかした場合、25.5%の追加の損失が発生します。

最も理解しておくべきことは、この追加損失リスクは、価格が上昇しても下落しても発生することです。

ただし、誤解してはならないのは、この損失が確定するタイミングは、あくまで、あなたが、自分のトークンをUniswapのプールから引き上げるタイミングで確定します。

ですから、現物を預けているわけですから、価格が実際に上昇している場合は、損失自体は生まれていないものの実際にETHを保有してるよりは損をしていますから、この損失分を上回るだけのインセンティブがもらえないと、ユーザーがUniswapに流動性を供給しようとは思わないという理解が必要です。

しかし、個人投資家が、参加タイミングも含めて自分でコントロールしながらやるのは大変です。

これもまた、FARMの存在価値の一つです。

プロダクト分析

では、これらの理解を元に、FARMのプロダクトを見ていきましょう。

まず、詳細の分析に入る前に、FARMのおさらいです。

YFIから2ヶ月遅れて、2020年8月に、不特定の開発チームによって立ち上げれました。

まもなくFARMのトークンも発行が開始され、これは2020年8月から四年かけて継続発行され、合計供給量の690,420に到達する予定です。これ以上は発行される予定はありません。

そして、2020年10月、不特定の開発チームメンバーの一人が、FARMのトークン保有者の一人に、FARMトークンの発行権限と、ユーザーが仮想通貨をFARMに預けているそのファンドプールから自由に資金を出し入れ可能な管理権限を持つ秘密鍵を渡してしまったことが明らかになりました。

更に、2020年10月26日に、24億円相当の仮想通貨が、FARMの顧客資産運用プールから盗まれ、renBTCに転換されるというハッキング事件が起きました。

後ほど、詳しくお話ししますが、僕は、この2点目の事件をとく問題しています。

そして、FARMのプロダクト概要です。

FARMは、現時点では、他のウォレットアプリに接続する形で、ユーザーから資産を預かり、そして、Uniswapの流動性マイニングや、AAVEなどのレンディングプラットフォームで運用して、収益をユーザーに配分。その際に、一部手数料をもらうというサービスモデルです。いわゆるアグリゲーターのプロダクトポジショニングですね。

ただ、現時点では、ウォレットアプリは出していませんが、いずれ出してくる可能性も十分あるため、その点もこの図には組み入れています。

次に競合と比較したバリューカーブ・プロポジション分析に移ります。

直接競合のYFIやREN、そして、DEXのUniswapや、レンディングプラットフォームのAAVEを入れています。

FARMは、現時点では、レンディングプラットフォーム向けのユーザーの資産最適化サービスや、DEXの流動性プールに参加におけるインパーマネントロスのリスク回避をした運用モデルについては、先駆者のYFIとほぼ劣らぬレベルのプロダクトを提供できていると評価しています。

劣っているのは、DAOの面ですね。こちらは後ほど詳しくお話しします。

ただ、僕が、DeFiアグリーゲーター市場で、重要視しているWBTCについては、RENの方が市場をリードしています。僕は、この点はとても注目しています。

こちらの図を見てください。

先ほども話をしたキャズム理論です。新テクノロジーのユーザー普及のフェーズ理論として最も普及し、確立された理論です。

まず、当然のこととして理解してほしいことは、仮想通貨で最大の時価総額であり続けるのは、ほぼ間違いなくビットコインですね。

詰まるところ、ビットコインの保有者が世界で最も多くなると言ってもよいです。つまり、キャズムの最後のユーザー層レイトマスまで持つであろう仮想通貨です。

この保有資産をうまく使って稼ぐのがDeFiの基本コンセプトです。イールド・ファーミングや流動性プールがそこに該当します。

ということは、WBTC市場で最大のシェアを取ったプレイヤーが、アグリゲーター市場でNo.1になる可能性が高いということですね。

ですから、DeFiアグリーゲーターとしては、FARMは先行しているものの、WBTC市場は、RENが先行しています。この点は、引き続き、注視した方が良いと考えています。WBTC市場を制したものが、DeFiアグリゲーターのNo.1になる可能性が高いと見ているためです。

チーム分析

次に、チーム分析です。

FARMは、不特定の開発チームによって運営されています。誰かという情報はわかりません。

しかし、YFIを作ったAndreのような一人ではFARMは開発されておらず、複数人のチームであることを証明する事実があります。

それは、このトークンの配布計画ですね。「総発行量の20%は、Harvest Financeチームに行く」ですから、明らかに複数メンバーで作っていることがわかります。

この点を、YFIのDAOのように、サトシナカモトがいないビットコイン同様に、非常に優れたDAO型のチーム体制かというと、僕は、疑問です。

似たような話に、Uniswapをソースコードをパクって、吸血鬼マニングを事項したSUSHI SWAPがあります。

SUSHI SWAPは、一応、このChef Naomiという人物が創作者と言われていますが、実際のリーダーは、SUSHIトークンを初めに上場させたFTXのCEOサムです。

彼は、吸血鬼マイニングを仕掛けた非難を受けることを避けるため、架空の人物を作り、彼に責任を転嫁しようとしたわけですね。

FARMも近いものがあります。YFIのプロダクトをほぼ完全コピーで出して、サイトのロゴなど飾り付けだけちょっと変えただけだからですね。

ビットコインは、これとは大きく異なります。サトシナカモトは実際に存在したことがマイナーの歴史からも分かっています。

一方、YFIのアンドレも実在しており、しかも、彼は、明示的にYFIプロジェクトから離脱することも名言し、その上で、現在、YFIは開発コミュニティがリードする形になっています。

ずいぶん、FARMとは違いますよね。名前を隠しているだけで、実際には、組織的に開発していることも十分あり得ます。もし、それが真実ならFARMの評価は下がらざるをえないですね。

チームの実行力の分析

次に、チームの実行力です。

DeFi Palseのアセット市場のデータです。

FARMは、業界1/1・2番手ですね。というのは、WBTCは、提供プレイヤーの合計値で、HarvestもYearnもRenVMも提供しているからです。先駆者でもありますから、実績が出ているのはある意味、当然なのですが、素晴らしい実行力です。

トークン・エコノミー分析

次にトークン・エコノミーです。

該当するのは、Dapps、DEXとCollateralized DeFi の3つですね。ただ、基本、B2Cアプリとして見ているので、Dappsがメインです。

まず、証券経済について、YFIとの比較です。

YFIは、すでに発行上限に達している一方で、FARMは、まだ四年弱残っています。つまり、その間もFARMのインフレが続くのです。その点を踏まえると、YFIに少し見劣りします。

次に、最重要のネットワーク効果の分析からみていきましょう。

まず、仮想通貨保有者で、イールド・ファーミングや流動性プールに興味があるけど、あまりリスクを取りなくないユーザーが、FARMに運用してもらうというのがスタートラインになるでしょう。

すると、FARMに参加するDeFi運用の”戦略”製作者は、どんどん収益機会が増えていきます。

そして、ここが最も肝心で、ここで、様々な”戦略”で高い収益率を上げると、顧客満足度は上がりますから、そのうわさを聞いて、更に多くの投資家がFARMに自分が保有している仮想通貨を預けるようになるわけですね。

これが、一番目の成長メカニズムで、資産運用のプール資金の成長になります。

次に、この第1の成長メカニズムが成立すると、より多くのウォレットアプリが、FARMに接続してきます。

すると、扱う資産対象の種類も、メインのビットコインのみならず、アルトコインやNFTなど豊富になっていき、FARMのイールド・ファーミングや流動性プールで稼ぐ収益機会も増えるため、より多くの個人投資家がYFIに流れてくることになり、顧客体験は改善されていきます。

そして、もう一つ重要なことが、DAOのガバナンスですね。


正直、FARMは不透明です。まず、YFIのような開発コミュニティのサイトも見当たらず、先ほどFTXが仕掛けたSushiswapの事例で示したように、名前を伏せているだけで、実際には組織的に開発している可能性もあるということです。

YFIのDAOは、非常に活発です。新規の投資”戦略”の提案だけでなく、様々n改良案の議論が活発にされており、投票に基づき、意思決定が行われています。

YFIは、非常にビットコインの立ち上がり経緯と似ています。

YFIは、Andreというプログラマーが立ち上げた後、Andreが完全に関わらないと宣言した後、開発コミュニティリードに切り替わりました。

そして、そこでの議論内容はこのようにとても活発です。

その上で、DAOの面できになっているFARMのリスクがあります。先

ほど話をした、例の秘密鍵をコアの開発コミュニティメンバー以外に渡してしまったことですね。

DAOモデル自体が、きちんと機能する土台が出来上がったいないリスクがあると見ています。

ハイプサイクル分析

最後にハイプサイクル分析です。

該当カテゴリは、スマートアセットとDAOになると思います。いずれも超長期でブロックチェーン産業にとって非常に重要な役割であり、かつ、まだ黎明期に相当するため、潜在力は非常に高いと言えます。そして、FARMは、この二つでトップクラスの実績を出しているプロジェクトですから、ポテンシャルも高い方だと言えます。

投資に関わる最終的な総合評価

そして、最終的な総合評価は以下の通りです。

まず、ペインポイントは5.0です。DeFiは、ブロックチェーン市場の基幹産業の一つであり、DeFiプロダクトが、キャズム理論における5つのユーザーベース全てに利用されることは、この産業の成功可否に関わるほど重要なことなので、非常に重要な問題に挑んでいるプロダクトと言えます。

そして、プロダクトは、正直、ほとんどソースコードをYFIをコピーして作っていると見ており、UIだけ変えた程度です。結果、ハッキング事件を起こしていますから、あまりレベルの高いプロダクトと言えません。3.0にしました。

チームは、どちらかというと、次の実行力ベースの評価ですが、高い実行力を証明しているので、4.0としました。しかし、あえて組織を隠しているだけで、実際の開発は組織的にやっているというDAOの思想と真逆を行くリスクもあるため、4.0としました。

実行力は、ほぼ言わずもがなですが、DeFiのアグリゲーターとしてTop3のプレイヤーとして活動している点を踏まえて、5.0です。

トークンエコノミー もネットワーク効果は、YFIと全く同じですが、証券経済ですでに発行上限に達しているYFI と比べると、四年後に発行上限に達することは、マイナス評価であり、かつ、DAOの面も疑問が残るため、3.5としました。

ハイプサイクルも、スマートアセットという非常に大きな潜在市場でかつリーディングプレイヤーになっている一方で、DAOは、進展がほとんど見られないので、4.0にしました。

合計点は、24.5です。僕の投資の最低基準は、25.0以上なので、投資推薦は不可能な銘柄です。

やはり、ハッキング事件も起こしている銘柄で、DAOの運用モデルに疑問もあるので、いますぐに投資したいとは考えておらず、様子を見ています。

以上、みなさんの参考になれば幸いです。

注記:最終的な投資判断は自己責任です。

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