今日は、Badger DAO(バジャー・ダオ)のトークンBADGERのファンダメンタル分析についてお話しします。

こちらの内容はYouTubeにもまとめています。日本語字幕付きです。合わせて参考にしてください。

早速、はじめていきましょう。

まず、僕のポートフォリオ戦略における、BADGERの該当カテゴリは3つです。

プロダクト自体はB2Cアプリなので、No.1のDappsが最も該当します。ただ、DeFiと関連しているプロダクトなので、3のCollateralized DeFiと4のDEXも該当します。

僕の「ポートフォリオ戦略」について詳しく理解したい人は、そちらのブログを参考にしてください。

分析視点は、いつもの6つの視点、つまり、ペインポイント分析、プロダクト分析、チーム分析、チームの実行力、トークンエコノミー 分析、そして、ハイプサイクル分析です。

また、それぞれの分析ポイントで何を重視しているかについては、詳しくは、「アルトコイン投資戦略のポイントについてのまとめ」のブログを参考にしてください。

ペインポイント分析

一つ目、ペインポイント分析です。

まず、詳細のペインポイント分析に入る前に、しっかりと理解して欲しいことがあります。

それは、何が、ブロックチェーン市場のキラーアプになるか?という理解です。

僕の分析でよく使うキャズム理論です。大半の新しいプロダクトは、この理論をベースに、普及度合いを説明することができます。

5つのユーザーベースから構成されており、イノベーター、アーリー・アダプター、そして、キャズムを超えて、アーリーマジョリティ、レイト・マジョリティ、そして、レイトマスです。全てのプロダクトは、左側から右側に向けて普及していきます。

その点を踏まえて、インターネット業界のキラーアプリを理解しましょう。

3つですね。検索エンジンのGoogle、SNSのFacebook、EコマースのAmazonです。時価総額もこの3者は、世界トップ10に入ります。と同時に共通しているのは、B2Cアプリである点。

このB2Cアプリという視点をキャズム理論をベースに言い換えると、

それは、5つのユーザーベース全ての人に使われるプロダクトを提供しているということです。

リスクを取ることを恐れず、新しいもの好きなイノベーターやアーリーアダプターだけでなく、リスクを怖がり、簡単に使えるものではないと使わないキャズムの向こう側にいるアーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、レイトマスまでも、簡単に使えるプロダクトを提供しているということ。

しかし、現状、ブロックチェーン市場のキラーアプリと言われるDeFiはそうなっていません。

その点から、ペインポイント分析を進めていきます。

まず、一つ目のペインポイントが、Collateralized DeFiにおける資産配分の最適化ですね。

例えば、こちらはレンディングプラットフォームのAAVEで今、ユーザーが貸し出しできる資産です。

現時点で30種類ぐらいですが、今後、NFTで発行されたゲームアイテム市場なども成長してくると、何百などにすぐ増えるでしょう。

それぞれにリスクとリターンのバラツキがあります。あなたは、これを自分で分析し、資産配分の最適化を考えるのは、かなり面倒です。

この場合に、いわゆるアグリゲーターと言われるプレイヤー(ロボット・アドバイザリーと言ってもよい)が、アルゴリズムで最適化してくれれば、かなり手間が省けますよね。それが、BADGERなどの DeFiアグリゲーターの重要な役割の一つです。

もう一つのペインポイントは、DEXに関わるものです。流動性プールにおけるインパーマネントロスリスクをどれだけ引き下げられるか?です。

まず、UniswapなどのDEXに参加するあなたのメリットの一つは、流動性プールに参加するだけで、報酬として、UNIトークンがもらえることです。あなたが、ETHなどの仮想通貨を長期保有しておくつもりなら、それを預けるだけで増えたお得ですね。これが、流動性プールに参加するあなたの動機です。そして、DEXは、この流動性プールのサイズが大きいほど、多くのトレーダーに収益機会を提供できるので、このサイズを増やそうと頑張ります。

しかし、あなたにとっては、この流動性プールに参加する上で、一つ重要なリスクを理解しなければなりません。それがインパーマネントリスクです。

詳しい理解は、数字ロジックのリテラシーが一定レベル以上ないと無理なので、ここでの説明は省きますが、このリスクが生まれる背景には、UniswapなどのDEX特有の価格決定メカニズムの影響があります。

このプールサイズの比較による価格決定アルゴリズムは、流動者供給者が、実際に自分の保有する仮想通貨資産を流動性プールに預けてから、価格が、変動するほど大きくなります。

実際の想定値は、こちらのUniswapのホワイトペーパーの抜粋にまとめられています。

例えば、流動性プールを参加してから価格が、1.25倍%以上変化すると、流動性プールに預けずに、ただホールドしている状態に比べて、追加で0.6%の損失が発生します。

これはまだ小さい方で、仮に価格が5倍以上に下がるか上がるかした場合、25.5%の追加の損失が発生します。

最も理解しておくべきことは、この追加損失リスクは、価格が上昇しても下落しても発生することです。

ただし、誤解してはならないのは、この損失が確定するタイミングは、あくまで、あなたが、自分のトークンをUniswapのプールから引き上げるタイミングで確定します。

ですから、現物を預けているわけですから、価格が実際に上昇している場合は、損失自体は生まれていないものの実際にETHを保有してるよりは損をしていますから、この損失分を上回るだけのインセンティブがもらえないと、ユーザーがUniswapに流動性を供給しようとは思わないという理解が必要です。

しかし、個人投資家が、参加タイミングも含めて自分でコントロールしながらやるのは大変です。

では、これらの理解を元に、次のプロダクト分析に進みましょう。

プロダクト分析

まず、詳細の分析に入る前に、BADGERのおさらいです。

2020年12月に立ち上がったプロジェクトで、メンバーの大k樹は、カナダのトロントです。プロダクトは、YFIのコピープロダクトのようですね。

また、BADGER DAOは名前の通り、DAOに力を入れることをアピールしています。しかし、実際にできるかどうかはまた別の話です。

そして、トークン供給モデルも、YFIと似ており、初めから2100万以上発行されない完全供給制限型です。

そして、BADGERのプロダクト概要です。

YFIと全く同じポジショニングです。

BADGERは、現時点では、他のウォレットアプリに接続する形で、ユーザーから資産を預かり、そして、Uniswapの流動性マイニングや、AAVEなどのレンディングプラットフォームで運用して、収益をユーザーに配分。その際に、一部手数料をもらうというビジネスモデルです。いわゆるアグリゲーターのプロダクトポジショニングですね。

次に競合と比較したバリューカーブ・プロポジション分析に移ります。

直接競合のYFIやREN、そして、DEXのUniswapや、レンディングプラットフォームのAAVEを入れています。

最大の競合であるYFIは、DeFiアグリゲーターの先駆者ですから、レンディングプラットフォーム向けのユーザーの資産最適化サービスや、DEXの流動性プールに参加におけるインパーマネントロスのリスク回避をした運用モデルも大変優れています。

そして、後ほど、詳しく触れますが、DAOもかなり優れた水準に到達しています。

ただ、僕が、DeFiアグリーゲーター市場で、重要視しているWBTCについては、RENの方が市場をリードしています。僕は、この点はとても注目しています。

こちらの図を見てください。

先ほども話をしたキャズム理論です。新テクノロジーのユーザー普及のフェーズ理論として最も普及し、確立された理論です。

まず、当然のこととして理解してほしいことは、仮想通貨で最大の時価総額であり続けるのは、ほぼ間違いなくビットコインですね。

詰まるところ、ビットコインの保有者が世界で最も多くなると言ってもよいです。つまり、キャズムの最後のユーザー層レイトマスまで持つであろう仮想通貨です。

この保有資産をうまく使って稼ぐのがDeFiの基本コンセプトです。イールド・ファーミングや流動性プールがそこに該当します。

ということは、WBTC市場で最大のシェアを取ったプレイヤーが、アグリゲーター市場でNo.1になる可能性が高いということですね。

ですから、DeFiアグリーゲーターとしては、YFIは先行しているものの、WBTC市場は、RENが先行しているので、まだ、YFIが、WBTC市場でも覇者になれるかは見えていないのが現状です。この点は、引き続き、注視した方が良いと考えています。WBTC市場を制したものが、DeFiアグリゲーターのNo.1になる可能性が高いと見ているためです。

以上の点を踏まえても、BADGERは、まだ強力な差別化ポイントが特にないので、なかなか苦しいポジションと評価しています。

もう1点。DeFiアグリーターは、ブロックチェーン業界においてGoogleのようなになる可能性があると考えています。なぜか?

こちらを見てください。

Googleは、インターネットに起こしたイノベーションは、インターネット上に無数にあるコンテンツの中から、あなたが欲しいコンテンツをキーワード検索で見つけてくる仕組みを作り上げたことですね。インターネットは、メディアの技術ですから、コンテンツ発見ツールにこそ価値があるのは当然ですね。

一方、ブロックチェーンは、金融の世界を相手にしている技術です。金融の世界の存在理由は、投資や融資、資産運用などです。つまり、YFIは、仮想通貨市場でみんなが手軽に稼げる仕組みを作り上げようとしているわけです。

Googleと似ていると思いませんか?

更に、噛み砕いて話をします。

Googleの最大の発明の一つは、ページ・ランクです。これは、インターネット上にあるコンテンツのリンク関係を分析するアルゴリズムで、記事の信頼度や検索キーワードとの関連性の高いページをスコアリングする仕組みです。このおかげで、ユーザーは、恐ろしく簡単に探している情報ソースの中でも最も信頼度の高いコンテンツに瞬時に辿りつけるようになりました。本当に便利なのですね。素晴らしいイノベーションです。しかし、アルゴリズム開発は中央集権的でした。

一方のYFIはどうしているか?というと、彼は、先ほどペインポイントで説明した個人投資家にとっては難易度が高すぎるイールド・ファーミングや、流動性マイニングを、様々なプログラマは自由にアイデアを出して、儲かるアルゴリズムを個人投資家に提供しています。しかし、その手法は、Googleとは真逆の非中央集権的です。

よい例は、yETHというプロダクトですね。これは、YFIの開発コミュニティメンバーが作ったものです。
あなたは、長期保有しているETHをyETHのVAULTs(=バーチャル金庫)に預けます。そして、yETHのアルゴリズムは、このETHを、MakerDAOで預けて、DAIを借ります。担保率は現時点で200%。そして、今度は、このDAIをCurve FinanceのDAIの流動性プールに預けます。Curve Financeはステーブルコインペアが得意なDEXですから、そこの流動性プールにDAIを預けて運用するわけです。また、ステーブルコインペアは、現状、インーパーマネントロスリスクが低いので、収益が上げやすいです。

すると、報酬として、CurveFinanceのトークンCRVがもらえます。そのCRVをDEXで、ETHに換金します。

最後に、このアルゴリズムは予め決めていた成功報酬を一部もらい、残りを預けたユーザーのバーチャル金庫に戻すわけです。

これで、ユーザーはYFIのプロダクトを使って、DeFiで儲けることができるわけですね。

YFIの開発コミュニティでは、日々、このような新しいアイデアの提案がされており、そのことを「戦略」と呼んでいます。投資戦略ということですね。つまり、アルゴリズム開発は全て内製化しているGoogleとは真逆で、戦略は、常に非中央集権的なDAO型モデルで運用しているということです。

チーム分析

次に、チーム分析です。キーと見ているのはこの4名です。

まず、オペレーション・リードのChrisは、仮想通貨投資のアドバイザリーの会社などを経営していた起業家で、インキュベーターのAngel Rockを運営しています。

次に、アドバイザリーのAmeerは、グロースマーケティングの会社を経営している起業家です。

次に、もう一人のアドバイザリーのAlbertは、NEM財団のメンバー一人です。

最後にアドバイザリーのAllbertoもまた、起業家です。

DAOをアピールするため、組織的な役割をあまりしいていない点は評価できます。

チームの実行力の分析

次に、チームの実行力です。

DeFi Palseのアセット市場のデータです。

Badgerは、2020年1月に入って急激に数字を伸ばし、現時点で、アセット市場でTVLでNo.1の実績を出しています。

なぜか?というと、こちらを見てください。

彼らのサイトに表示されている、個人投資家がロックアップしたアセットに対する年間の金利です。なんと、WBTC/BADGERのペアは、何と、3.5倍です。。。

ちょっと異常に高い数字ですよね。この背景を知るには、2020年8月後半、DeFiミニバブルが発生したときのビタリックのコメントが参考になります。

「DeFiが、流動性供給者に年間50%や100%を超えるようなリターンを提供できるのは、中央銀行が、通貨発行益を濫用して急激なインフレを起こしているのと同じ。」

要するに、BADGERの発行主体が、その値上がりをユーザーに報酬として提供することで、ビジネスが成り立っているわけです。これは、BADGERの発行主体が、全てのBADGERを保有し、これを売却しながら、ユーザーに報酬を割り当てているから、可能な仕組みなのですが長続きはしません。YFIなどは現にそのような報酬は提供していません。なので、僕は、BADGERのこの報酬モデルは持続しないと見ています。

トークン・エコノミー分析

次にトークン・エコノミーです。

該当するのは、Dapps、DEXとCollateralized DeFi の3つですね。

ただ、基本、B2Cアプリとして見ているので、Dappsがメインです。

最重要のネットワーク効果の分析からみていきましょう。

BADGERは、YFIと全く同じプロダクトなので、YFIを参考に話をします。

まず、スタートラインは、仮想通貨保有者で、イールド・ファーミングや流動性プールに興味があるけど、あまりリスクを取りなくないユーザーが、yEarnに運用してもらうというのがスタートラインになるでしょう。

すると、YFIに参加するDeFi運用の”戦略”製作者は、どんどん収益機会が増えていきます。

そして、ここが最も肝心で、ここで、様々な”戦略”で高い収益率を上げると、顧客満足度は上がりますから、そのうわさを聞いて、更に多くの投資家がyEarnに自分が保有している仮想通貨を預けるようになるわけですね。

これが、一番目の成長メカニズムで、資産運用のプール資金の成長になります。

次に、この第1の成長メカニズムが成立すると、より多くのウォレットアプリが、yEarnに接続してきます。すると、扱う資産対象の種類も、メインのビットコインのみならず、アルトコインやNFTなど豊富になっていき、yEarnのイールド・ファーミングや流動性プールで稼ぐ収益機会も増えるため、より多くの個人投資家がYFIに流れてくることになり、顧客体験は改善されていきます。

そして、もう一つ重要なことが、DAOのガバナンスですね。これも。YFIが参考になります。

YFIのDAOは、非常に活発です。新規の投資”戦略”の提案だけでなく、様々な改良案の議論が活発にされており、投票に基づき、意思決定が行われています。

一方、BADGERはまだまだこれからです。一応、DAOに力を入れることはうたっていますが、DAOコミュニティをどこまで活性化できるかはまだ未知数です。

ハイプサイクル分析

最後にハイプサイクル分析です。

該当カテゴリは、ブロックチェーン・アセット・トークないゼーションとDappsの二つです。いずれも、非常にポテンシャルの高い領域です。

投資に関わる最終的な総合評価

そして、最終的な総合評価は以下の通りです。

まず、ペインポイントは5.0です。DeFiは、ブロックチェーン市場の基幹産業の一つであり、DeFiプロダクトが、キャズム理論における5つのユーザーベース全てに利用されることは、この産業の成功可否に関わるほど重要なことなので、非常に重要な問題に挑んでいるプロダクトと言えます。

そして、プロダクトは、3.0としています。直接競合のYFIとの強力な差別化ポイントが、現時点で特にないためです。

チームは、DAOを効果的に立ち上げているAndreのYFIに比べると、まだまだ未知数なところが多いですが、アセット市場でそれなりに実績を上げてきている点を評価し、4.0としました。

チーム実行力は、先ほど指摘したようにアセット市場で、YFIを超える実績を出している点を評価しています。しかし、その持続性がどの程度発揮できるかは非常に不透明なので、4.0としています。

トークンエコノミー は、強いていえば、WBTCの報酬に力を入れることで、YFIとの差別化を実現していますが、DAOは未知数なので、3.5としています。

ハイプサイクルは、ブロックチェーン・アセット・トークナイゼーションと、Dappsという高いポテンシャルの市場に該当していますが、YFIとの強力な差別化ポイントがまだ見えてこないので、4.0としています。

合計点は、23.5です。

僕の投資の最低基準は、25.0以上なので、現時点で、投資推薦は不可能です。

やはり、彼らが現時点で提供している金利が正直、1年間以上維持できることが確認できないとプロジェクトの持続性は低いと見ているので、様子見です。

以上、みなさんの参考になれば幸いです。

注記:最終的な投資判断は自己責任です。