今日は、Celsius Network(セルシウス・ネットワーク)のトークンCELのファンダメンタル分析についてお話しします。

こちらの内容はYouTubeにもまとめています。日本語字幕付きです。合わせて参考にしてください。

早速、はじめていきましょう。

まず、僕のポートフォリオ戦略における、CELの該当カテゴリは, 3つ目のToken Collateralized DeFiであり、かつ、自前でウォレットアプリも提供しているので、統合型のプロダクトにもなるので1つ目のB2C Dappsも該当します。

僕の「ポートフォリオ戦略」について詳しく理解したい人は、そちらのブログを参考にしてください。

分析視点は、いつもの6つの視点、つまり、ペインポイント分析、プロダクト分析、チーム分析、チームの実行力、トークンエコノミー 分析、そして、ハイプサイクル分析です。

また、それぞれの分析ポイントで何を重視しているかについては、詳しくは、「アルトコイン投資戦略のポイントについてのまとめ」のブログを参考にしてください。

ペインポイント分析

一つ目、ペインポイント分析です。

銀行ビジネスに関わる点です。

銀行の融資モデルは、非常に問題が多いです。期限、金利、担保などの条件を色々と細かく決めて行うからです。この背景は、銀行が、金融システムにおける「中間搾取者」になっているからですね。

こちらの図を見てください。

銀行のビジネスモデルは、とてもシンプルです。お金が余っている人は、銀行に預ける。そして、金利収入を得る。一方、お金が欲しい人は、その銀行に預けられているお金を借りにくる。この仲介役の役割として、銀行員が存在します。銀行員は、お金を必要としている借り手から、「審査」して、お金を融資して、金利という形で支払ってもらい、その手数料の一部を預金者に還元します。

しかし、だれに融資するかは、銀行員が決めてますよね?これが、「中間搾取の問題」を引き起こしているわけです。

これを理解するには、インターネットがなぜこれだけ成功したのか?を考えればわかります。

こちらの図を見てください。

インターネットの前のメディアの中心は、TVでした。TVにおけるコンテンツの流し方は、作っているアーティストがいて、それを芸能事務所、TV局、広告主などが中間搾取者としてどのコンテンツをユーザーに流すかを決めていました。だから、中には、ユーザーにニーズがあるのに、日の目をみないまま引退してしまうアーティスト達がたくさんいました。

インターネットは、これを破壊し、全て民主化、中央集権化しました。だから、YouTubeやInstgram発の有名アーティストがたくさん生まれるようになったのですね。どのアーティストが優れているかは、TV局や芸能事務所が決めるのではなくユーザーが直接決める、これがインターネットが成功した背景です。

そして、ブロックチェーンによって、これが金融の世界でも起きはじめています。

今までの金融システムは、お金の余っている人と、必要な人の間に、銀行、ベンチャーキャピタリスト、そして、信用格付け会社などが中間搾取者としてビジネスをしていました。それが、ブロックチェーンによって、民主化され、非中央集権化され、お金の余っている人と必要としている人が直接やりとりできる仕組みが今後、当たり前になっていくということです。

もう一つは、DeFiにおいては、ノンカストディアン型のシステムが顧客資産をハッキングから守る上で必須であるということ。

中央集権型の取引所やレンディングプラットフォームは、ハッカーに狙われやすいです。例えば、仮想通貨取引所は、過去、合計で1500億円近いハッキング事故を起こしており、すべて、中央集権型の取引所で発生しています。なぜか?

こちらは、DEXプロトコルの一つ0xのホワイトペーパーからの抜粋ですが、要するに、中央集権取引所は、一つのシステムにユーザーが保有・または売買する仮想通貨をプールして持っているため、一度のハッキングで、何十億という規模のお金が手に入る可能性があります。だから、ハッカーは狙うインセンティブがあるのですね。

一方、DEXはこととは全く異なります。ユーザーのウォレット単位で保有する仮想通貨が、分散しています。

このレベルまで分散していると、ハッカーにとっては、ハッキングする意欲が損なわれます。なぜなら、一つのウォレットアカウントをハッキングする労力は、一つの中央集権型取引所をハッキングする労力と同じなのに、手に入る可能性通貨の量が個人保有レベルだからですね。しかも、どのウォレットのどの仮想通貨がどれぐらい保有されているかは、アタックしてみないとわかりません。

このような状態にあるDEXや非中央集権型のレンディングプラットフォームを「No-Cutodian」型、つまり、カストディーサービス(保管サービス)を持たないシステムと呼んでいます。

では、この点の理解をベースに、プロダクト分析を進めていきましょう。

プロダクト分析

まず、CELのおさらいからです。

このプロジェクトは、2017年に、Alex、Nuke、Danielの三人によってニューヨークで創業されました。

2018年にスマホでも利用可能なP2Pのレンディングアプリをリリースし、同時に、CELトークンによるICOも実施しました。このICOで、50億円の資金調達を完了しています。

そして、2020年6月には、さらに15億円のクラウドファンディングも実行しています。

次に、CELのプロダクト概要です。

iPhoneやAndroidのアプリで提供されています。ユーザーは、取引所などで購入した仮想通貨をCELのウォレットアプリに移動し、そこから、別のだれかに貸し出すことができます。この貸出先は、CEL側が自動で決めています。現在は、30の仮想通貨に対応しています。

これらの理解を踏まえた上で、いつものバリューカーブ分析をやっていきましょう。

僕の分析では、CELは、AAVEやCOMPOUNDといった非中央集権型レンディングプラットフォームより、BinanceやCrypto,comの方が近いと判断しています。

その決定的な理由は、システムが、ノン・カストディアン型ではないからです。CELは、自前のシステムで顧客の資産を管理しています。つまり、ハッカーに狙われやすいのです。これは、決定的な問題点といえます。

そして、アプリレベルで評価すると、BinanceやCrypto.comなどの取引所に比べれ劣ると分析しています。なぜなら、BinanceやCrypto.comもレンディングサービスを提供しているからです。ユーザーは、自分が金利を稼ぐために貸し出す仮想通貨をどこで手に入れるか? 大半が、取引所ですよね。ですから、売買機能とレンディング機能の二つを持つ取引所の方が、レンディング機能しか持たないCELに比べて、ワンストップでユーザーにサービスが提供できているので、明らかに有利です。

以上の点を踏まえると、CELはそこまで強力なプロダクト優位性を確保できていないことがわかります。

そして、もう1点、理解して起きたい点は、レンディング事業のプラットフォーム化ですね。

これは、COMPやAAVEが参考になりますが、彼らは、現時点では、ERC20トークンに代表されるメジャーな仮想通貨のみを扱っていますが、いずれが、NFTに拡張する予定です。そして、このNFTこそ、DeFiの次の成長ドライバーと見ており、彼らはここに扱い資産を拡張していくことで、レンディング事後のプラットフォーム化を進めていくと見ています。この点は、CELも同じことを考えていると思います。しかし、この場合も、ノン・カストディアン型の方が、圧倒的にハッキングリスクが低いため、CELは不利なゲームを強いられる可能性が高いと見ています。

チーム分析

次に、チーム分析です。キーメンバーの4人でみなニューヨークベースです。

CEOのAlexは、イスラエルのテックベンチャーの北米進出を支援するVCファンドであるGverning Dynamicsの創業者でありマネージング・パートナーです。また、自身。起業家としてTransit Wirelessというテックベンチャーも成功させている連続起業家です。

CTOのNukeは、名門イスラエル工科大学でコンピューターサイエンスの修士号を取ったのち、いくつかテックベンチャーも立ち上げた経験のある彼も連続起業家です。

そして、COOのダニエルは、AlexのGverning Dynamicsの同じマネージングパートナーで、同僚ですね。彼も、また、テックベンチャーの企業経験があります。

最後に、戦略をリードしているRoniは、イスラエルのコンサルティングファームの出身で、名門テル・アビブ大学でMBAをとっています。

これに加えて、50名近いメンバーがいます。良いチームですが、中央集権的に事業を立ち上げており、かつチームサイズもかなり大きくなってきているので、DAO化でかなり苦労すると見ています。

チームの実行力の分析

次に、チームの実行力です。

CISIONのデータによれば、2018年にアプリを立ち上げてより2年後の2020年11月時点で、

月間アクティブユーザーは、25万程度。そして、TVL(ロックアップされている資産残高)は、2200億円です。

一見、すごい数値に見えるのですが、こちらをご覧ください。

CELの競合であるCompoundやAAVEは、同じタイミングで、すでに、CELの数字を上回る3,000億円規模までTVLが到達しています。

そして、DeFiウォレットについても、Metamask、TrustWalleなどが順調に育っており、Metamaskはアクティブユーザーが100万を超えてきています。

なので、すでに、DeFiプレイヤーに凌駕されつつあるのが、CELの現状です。

トークン・エコノミー分析

次にトークン・エコノミーです。該当するのは、B2C DappsとCollateralized DeFi ですね。

この2つのカテゴリは、リワード経済、証券経済、ネットワーク効果、DAOなど満遍なく対応が求められるレイヤーです。

最重要のネットワーク効果の分析からみていきましょう。

まず、CELの事業もCompoundやAAVEのビジネスと同じで、需要側を抑えるところからスタートしています。つまり、どのアルトコインに借り手ニーズが高いか?ですね。そしたら、次に、そのアルトコインの長期保有者をターゲットしてマーケティングすることで、初期の事業は確立していくことができます。

そして、ネクストステップは、預け入れ側の扱う銘柄を増やしていくことです。そこにまさに、ゲームNFTや、家、スマホなども対象になってくるわけです。

それで最終的に、借り手にも、これらのNFTアセットを対象にしていくと、まさにスマートアセットの世界に入っていくと見ています。

これに加えて、CELは、ウォレットアプリも提供しているので、各ユーザーのCELの長期保有率に応じたインセンティブを提供しています。

長く保有するほど、借りる場合の金利は、最大30%オフになります。

また、金利報酬も他の仮想通貨ではなくCELを選択すれば、最大で35%アップします。

そのほか、毎月Top100のCELの長期保有者にランクインすると、限定イベントに招待されたりされます。まあ、楽天ポイントプログラムなどと同じですが、強力なエンゲージメント効果は狙えないと見ています。

そして、DAOですが、分散型銀行を目指すのだから必須ですね。この点は、すでにソフトウェア自体が分散型であるCOMPやAAVEに比べて、CELは劣っているため、相当の努力が求められます。

ハイプサイクル分析

最後にハイプサイクル分析です。

ガートナーハイプサイクルの2020年版です。

該当カテゴリは、ブロックチェーン・アセット・トークないゼーションと、Dappsです。いずれも、ノンカストディアン型が必須ですが、CELはそのテクノロジーは持っていないので、その技術を持つCOMPやAAVEと比べて不利な立場です。

投資に関わる最終的な総合評価

そして、最終的な総合評価は以下の通りです。

まず、ペインポイントは5.0です。仮想通貨市場に長期投資家や個人投資家を呼び込む目的からも、Token Collateralized DeFiはとても重要な役割を担っており、かつ銀行という中間搾取業者をこの世からなくすためにも、このペインポイントは非常に大きいと言えます。

プロダクトは、やはり、COMPやAAVEと異なり、ノン・カストディアンの技術を持っていない点、そして、B2Cウォレットアプリとしては、取引所機能を持つBinanceやCrypto.comの方が有利である点を踏まえて、3.5と評価しました。

チームの能力は、経験豊富な連続起業家に支えられている点は素晴らしいのですが、中央集権的に事業を立ち上げている点を踏まえて、4.0です。

実行力はなかなかのレベルですが、技術力でまさるCOMPやAAVEが、すでにTVLでCELの規模を超えてきているので、今後は、厳しい戦いになると予想し4.0です。

トークンエコノミー を3.5にした背景は、COMPやAAVEと比べて強力な差別化が特になく、DAOでもこの2つにすでに劣っているためです。

ハイプサイクルは、非常にポテンシャルの高いブロックチェーンアセットの領域で一定レベルの実績を上げている点は評価しつつも、ノン・カストディアン型のアプリは提供できていないので、Dappsのテクノロジーは低く評価し、4.0です。

合計点は、24.0です。

僕の最低投資基準は、25.0以上なので、投資推薦は不可能な銘柄です。

やはり、すでに、COMP・AAVEという完全なるDeFi型のレンディングプラットフォームの方が実績が、中央集権型のCELを上回っているきていることから、投資推薦は難しいと評価しています。

以上、みなさんの参考になれば幸いです。

注記:最終的な投資判断は自己責任です。