Ripple(XRP)とStellar(XLM)の中長期の分析と展望まとめ

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僕は、今、XRPとXLMに投資しています。投資しようと考えるようになった背景は、その中長期展望が見えてきたからです。XRPを深く知る上では、Stellar(XLM)のことも深く知ることが欠かせません。この記事は、短期のテクニカル分析ではなく、両者の長期的な展望を掘り下げたファンダメンタル分析を中心にまとめています。

RippleとStellarの歴史的な関係性

まず、Rippleの方が先にスタートしています。元は2004年にRyan Fuggerが考案したRipple Payment Protocolがそのスタートでしたが、BitcoinのProof of workほどの技術的な革新性がなかったため、後のRippleの中心的な人物である、Jed McCalebとChris Larsenが参画するまでは、業界では注目を集めていませんでした。Jed McCalebは、シリコンバレーではとても有名なP2Pテクノロジーのプログラマの一人で、ビットコインの技術に魅せられて、Mt.Goxのシステムを作ったプログラマでもあります。彼は、Mt.Goxを作った後まもなく、そのシステムをマルク・カルプレスに売却しています。マルク・カルプレスは、2014年1月にかのMt.Gox事件を引き起こした人物ですね。Jedが、Mt.Goxを売却するに至った理由の一つに、Proof of Workがもつ中央集権性の潜在的な問題点と、2017年に実際に起きたビットコインのバブル・恐慌相場があると言われています。 Proof of Workがもつ潜在的な中央集権性の問題点は、こちらにまとめています。

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彼は、そのビットコインが抱える二つの問題をクリアする新たな仮想通貨技術とビジネスを作るために、Ryan FuggerのRippleに注目します。そして、2011年3月にJedが参画することで、開発が進みます。そして、更に、2012年8月に北米でも有数のP2P LendingのベンチャーであるE-LoanとProsperを立ち上げたシリコンバレーでも著名な金融分野のシリアル・アントレプレナーの一人であるChris Larsenが参加することで、開発を進めるための資金調達が順調に進みます。Google Venturesや Andreessen Horowitzなど、シリコンバレーの有力VCからの出資を獲得します。このお陰で、ようやくRippleのソフトウェアが本格的なリリースを迎えたと思えた矢先に、開発チームのリーダーであったJedが離脱します。

そして、Jedは、新たにStellarというRippleとは別の仮想通貨プロジェクトを立ち上げたのです。この背景には、Rippleのソフトウェアとビジネスモデルが原因にあります。Jedの理想としては、EthereumのCasperなどと同様に、BitcoinのProof of Workに変わる純粋なP2Pテクノロジーをベースにし、かつ、Bitcoinの10分より更に早いスピードで決済認証を完了する可能かつ1秒間にビットコインのように7件ではなく、最低でも数百件から数千件は処理できる決済技術を開発することでした。

Rippleの現在の技術の中心は、Interledgerと呼ばれる純粋なP2P技術よりは、クライアント・サーバーモデルをベースにしたP2P寄りの分散型台帳と呼ばれる技術ですが、当時は、Jedの発案でProof of Burnという実験的なPoX技術なども採用していました。しかし、Rippleのソフトウェアビジネスを実際に成立させていく中で、純粋にP2PテクノロジーでRippleを育てたいJedの技術者としての理想論と、ある程度中央集権性を持たせないとビジネスとして成立させることが難しいと考えるChrisとの間で、対立が起き、結果、JedはRippleを離脱し、弁護士でVC経験もあるJoyce KimとStellarプロジェクトを立ち上げます。この辺り、シリコンバレーの起業人材の豊富さが伺い知れますね。優秀な人材がすぐに見つかります。

左がインターネットのクライアント・サーバーモデル、右がブロックチェーンのP2Pモデル

Stellarの立ち上げでもっともユニークだったのは、ユーザーに無償でXLMを配布したことでしたね。今、そのやり方が、他の仮想通貨プロジェクトでもブームになっており、業界では「Airdrop」という言い方をします。無償で配れば、受け取ったユーザーが自動的に他の誰かに売ったりするので、ユーザーの取引のデータもすぐ取れますし、技術的な課題もすぐに明らかになるので、開発する上ではとてもポジティブな効果が得られます。また、初期の段階では、Stellarは純粋なP2Pモデルを指向して作られていましたが、現在は、RippleのInterledgerに近く分散型台帳のカテゴリに入りますね。

そして、現在では両者とも、仮想通貨の時価総額規模では、Top5に入るプロジェクトに成長しています。先行している分、Rippleの方が、時価総額でもStellarより上で、EthereumとよくBitcoinに次ぐ2位争いをしていますね。しかし、僕は実力的には二つのプロジェクトは、ほぼ互角だと考えています。では、その点について深くお話をして行きます。

両者のテクノロジーの違い

まず、ソフトウェアは、両者ともオープンソースのプロジェクトになります。技術も、現在は、2つとも分散型台帳と言えるので、同じカテゴリに入ります。そして、XRPは発行上限が決まっています。一方、XLMは発行上限が決まっていません。むしろ徐々に増えていきます。なぜ、この少しずつ増えるモデルを採用しているかというと、XLMの価格が極端に上昇しないようにするためです。ビットコインが、2100万BTCという供給制限をかけることで、ドルや円などの法定通貨からビットコインに資金を流れやすくしている点は、下記にまとめています。まだの人は読んでみてください。

「ビットコインは今が買い」である理由③:機関投資家の市場参画の開始

XLMが発行上限を設定しなかった理由は、価格の極端な乱高下を防ぐためです。XLMは、ブリッジ通貨を指向しているため、極端な価格の乱高下は、ブリッジ通貨としてネガティブな評価を受けます。例えば、円とドルの間の価格のボラティリティが1日1%だと想定し、その二つの間の通貨取引に、XLMをブリッジ通貨として使う場合、XLMが、毎日5%以上のボラティリティを持っていたとすると、円とドルを交換したい人は、XLMを使って取引したいとは思わないですよね。ボラティリティは、せめて同じ1%か、それ以下でないとブリッジ通貨としての価値が出てこないからです。XLMの場合、1XLMの価格が一定レベル以上急上昇していると自動的に追加でXLMが発行され、価格上昇が抑えられる仕組みになっています。ですから、資産価値としての潜在的な上昇価値は、XRPの方が高いと言えます

プロダクトのマーケットポジショニングの違い

初めは、両者とも「ブリッジ通貨」としてポジショニングをしており、Rippleは、主に先進国の金融機関を中心に顧客開拓し、Stellarは発展途上国を中心に顧客開拓しています。Rippleについては、日本では、地銀・都銀60行以上を含めたRippleのInterledgerを使った送金システムを作るコンソーシウムを立ち上げていることはよく知られていますね。

僕は、Stellarが発展途上国の金融機関を中心に顧客開拓して居る点は、素晴らしいと評価しています。なぜなら、ブロックチェーン技術の使命は、「経済格差の解消」にあると考えているからです。この理由については、別の機会にまたお話しますが、発展途上国の経済が、ゴールドマンサックスなど先進国の金融機関の食い物にされているのは大変有名な話ですよね。Stellarは、その問題を解決するため、発展途上国の金融機関が自力で金融システムを構築できるようStellarを開発しています。僕は、Jedのこの思想にはとても共感しています。

しかし、Rippleが今、Stellarの市場に参入して来ています。

ゲイツ財団とリップルが提携、貧困層の決済システムを支援へ

すると、今度は、Stellarは、Chainを買収して、Rippleがターゲットしている先進国の金融機関にStellarのソフトウェア技術の提供を開始しています。

ステラのブロックチェーン企業がビザが出資するスタートアップを買収

Chainは、世界最大のクレジットカード・デビットカード決済ネットワークを有するVISAや、米大手証券取引所のNASDAQから出資を受けて、彼らに分散型台帳のソフトウェア技術を提供していました。技術力も定評のあるベンチャーでしたが、同時に、VISAやNASDAQなどアメリカの有力企業と資本業務提携する事業開発力にも優れていました。Chainの事業開発・技術チームを手に入れたStellarは、これによって更にRippleが主要市場とする先進国の金融機関への顧客開拓を積極的に展開できるようになったわけです。

すると、今度は、Chainを失ったVISAが、Ripple Gatewayを使っている英国の決済会社を買収しています。これで、VISAとRippleはかなり接近した関係になっています。

世界最大手国際決済ビザ、リップルネット加入の英グローバル決済会社Earthportを約278億円で買収

二社ともお互いをかなりライバル意識していることが分かりますね。

両者の事業開発の展開の違い

その結果、最近、Stellar側で差別化する動きも出て来ています。まず、上げられるのが、大手SNSのKikのトークンであるKinが、EthereumからStellarにプラットフォーム移管したことです。Stellarは、ブリッジ通貨として、EthereumのETHのようにDecentalized Cloud Platform上で動くdAppsを動かすGASとして使う市場も狙っているようで、その第一弾が、Kinになったわけです。その後も、Stellarは、他の有望なTokenの開拓を進めているようです。Stellarは、シリコンバレーの拠点がありますから、なんだかんだで、新しいトークンエコノミーのベンチャーは、やはりシリコンバレーからもっともたくさん立ち上がってくると見ており、その点からStellarは、地理的には有利と言えます。

その中で、Stellarは、3,000万近いアクティブユーザーベースを持つWallet AppプロバイダーのBlockchainと業務提携し、最近140億円相当のAirdropを開始しました。こちらのリンクから、BlokchainのWalletを開設すれば、約$25分のXLMをもらうことができます。

どうやらStellarは、Rippleとは少しずつ違う路線を構築しようとしている印象を受けます。

そして、Rippleは、日本を発としたアジアでの事業展開がとても上手く行っています。これは、SBIとの蜜月関係が大きく影響しています。SBIは、2016年1月にRipple社の発行ずみ株式の17%を取得しており、Rippleの最大株主です。これが実現できた背景は、SBIの北尾会長とRippleのChris Lasenは、北尾会長が、ソフトバンク時代に、孫さんのタイムマシン経営にならって、Chrisが経営していたE-Loanを日本に持ち込もうとしていた経緯があり、それ以来のとても長い信頼の厚い関係があるからなんですね。この二人の蜜月関係はまず崩れないと思います。SBIは、北尾会長を中心に、ブロックチェーンこそ、日本の金融インフラを改革するための基幹技術であるとして、積極的に投資しています。ここに、日本で2番手の決済代行会社であり、香港証券取引所に上場していたe-Contextの元CEOである沖田氏が、Ripple Asiaの代表に就任し、日本とアジアでの事業展開が一気に進むことになりました。

また、Rippleについては、eBayが、Rippleが提供するXRPを決済に使うためのxRapidを採用している決済会社Adyen社とパートナーシップを締結したことから、将来的に、eBayがXRPを彼らのオークションサイトの決済通貨として導入するだろうという憶測が広がっていますが、正直、ヨミの浅い考えだと思います。eBayが、Adyenと業務提携したのは、子会社であったPayPal社がMBOで独立したからです。eBayの主力決済技術の一つに子会社のPayPalのものを使っているため、PayPalがeBayを離脱する場合は、大体の技術を探さなければならないのです。その中でeBayの条件希望に叶う業務提携案にまとまったのがAdyen社なわけです。Adyenは、140の法定通貨を採用しており、その通貨取引をOKするかの選択肢は、eBay側にあるので、別にXRPを採用する目的で、eBayがAdyen社と業務提携したとは考えにくいです。こういった憶測に振り回されなうようにしましょう。

eBayがxRapidを導入した決済サービスプロバイダとパートナー提携へ

CoinDesk Crypto-Economics ExplorerでのXRPとXLMの比較

そして、Coin DeskのCrypto Economics Explorerで二社を比較するとこんな具合です。この数値は、BTCを100%として計算されています。

CoinDesk Crypto-Economics Explorer: BTC/XRP/XLM – https://www.coindesk.com/data

中長期展望について

まず、XRPからですが、僕は、中期的には仮想通貨の中でもっとも成長するとみています。その最大の理由は、金融機関相手にInterledgerのソフトウェアを提供している仮想通貨プロジェクトでは、最も事業開発力が高いからですね。世界の金融機関は、このブロックチェーンの動きはかなり注意しています。その動機は、「FOMO=fear of missing out」です。FOMOとは時代に取り残される恐怖から、今のうちに何とか生き残る手を打とうという考え方ですね。特に、New Yorkのウォール街と日本の金融機関のこの動きはかなり活発だなと感じます。というのは、インターネットによって、TVや新聞などオールドメディア産業は完全に斜陽産業化してしまったわけです。これを横目で見ていた金融機関は、ブロックチェーンの登場を相当恐怖しています。危機感が強い分だけ、Rippleも営業しやすいわけですね。そして、この動きが、着実に身を結んでいます。一方、自然発生的なコミュニティの動きに身を任せているBitcoinやEthereumはこの辺りの動きがRippleに比べて遅いなと思います。非中央集権的な物事の進め方としては、素晴らしいのですが、スピードがRippleに比べて遅いことが否めないですね。

そして、この辺りの動きの差が、CoindeskのState of Blockchainを読んでいても徐々に数値に現れてきているなと見ています。

Coindesk State of Blockchain Q3 – https://www.coindesk.com/research/state-of-blockchains-q3-2018?slide=10

ただ、長期では微妙だと考えています。なぜなら、Rippleの主要顧客が金融機関だからです。ブロックチェーン技術の本質を理解するとわかりますが、それは、中間搾取を行なっている現在の金融機関が不要になり、ユーザー同士が自分たちの仮想通貨を自由に動かせる世界のことです。その点から、今から5年から10年にかけては、インターネットにGoogle、Facebookなどが登場したように、ブロックチェーン市場にも、既存の金融機関を不要とする革新的なP2Pモデルのプロダクトが登場すると考えています。この点については、下記にまとめています。

Googleを見たら分かるブロックチェーンにファイナリティを求める時代遅れの考え方

その視点を踏まえると、Rippleは、この事業路線を切り替えきれない限りは長期的には有望ではないというのが僕の評価です。むしろ、Rippleと差別化を計り初めているStellarに注目しています。Jedの哲学は正しい方向性を持っています。しかしながら、日本の取引所でXLMを購入することはできないので、僕は、世界最大の仮想通貨取引所であるBinanceにアカウントを開いてXLMを購入しています。Binanceの使い方はちょっとコツがいるので、下記にまとめていますので、参考にしてください。

【初心者向け】世界最大の取引所Binance(バイナンス)についてとその上手な使い方まとめ

また、僕は、しばらくはRippleは成長を続けると考えていることから、Bitbankで中長期投資目的で購入しています。Bitbankを勧める理由も明確にあり、こちらにまとめているので参考にしてください。

国内仮想通貨取引所ではbitbankが最もよいと考える理由4つまとめ

いかがでしたでしょうか? 僕は、自分の貯金の一部は、将来的な資産運用の目的や未来への投資という目的で、仮想通貨に投資しています。まだ、仮想通貨を買っていない方、これから買おうとしている方、もう既に買っている方も含めて、こちらの記事が参考になれば幸いです!

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