GAFAの脅威とブロックチェーンの可能性

Photo by Viktor Forgacs on Unsplash – 1984

起業家やエンジニアが、ブロックチェーンに注目する理由の一つに、「GAFAの脅威」があります。

GAFAとは?

Google, Amazon, Facebook, Appleの4つの大手IT企業の会社名の頭文字を取った総称です。今、日本人で、この4社が提供しているITサービスを利用していないユーザーは、ほぼゼロと言えると思います。Googleであれば、検索エンジン、Gmail+GCalendor+GHangout、Youtube、そして、スマートフォンOSのAndroid。Amazonなら、ECサイトやキンドル、プライムビデオやミュージック。Facebookならファイスブック・メッセンジャーやインスタグラム、Whatsup。Appleなら、iPhone, Mac, iTunes, AppleTVなど。ここにあげたサービス名のうち、80%ぐらいは皆さんも確実に使っていると思います。GAFAの脅威の火付け役は、この本です。読み物としても面白いので、一度読んでみると良いと思います。

そして、これら4つの企業のサービスのシステムは、以前からよくお話している「クライアント・サーバーモデル」で作られています。

左がインターネットのクライアント・サーバーモデル、右がブロックチェーンのP2Pモデル

そう、クライアントサーバーのシステムにおいては、ユーザーのデータは、全てサーバーを持つ企業側が握ります。そして、企業側はお金儲けのため、そのユーザーデータを他のビジネスに活用します。典型的なのは「広告」ですね。例えば、Googleの場合、検索エンジンに打ち込んだキーワードの履歴や、ユーザーのGmailでのコミュニケーションのやりとりや、Youtubeでの閲覧履歴、さらには、Android OSをのせたスマートフォンでのアプリ操作の履歴データなどを使って、ユーザーにパーソナライズ化した広告を配信しています。皆さんの実感としても、Googleのサービスを使っていると、検索エンジンのキーワードに纏わる広告が、Gmailの広告枠欄に表示されたりすることがないですか? これが正にそうです。

「ユーザーデータ=お金になる情報」、と捉えて、Googleのビジネスをみるとわかると思いますが、銀行と同じように、僕らの情報資産の全てを握ることで、商売をやっているわけです。Googleがいつまでも善意的に振舞ってくれていれば良いですが、あるとき、キアヌ・リーブス主演の映画「マトリックス」の世界のように、人間を支配するような動きをしてきたら、僕らの人生は大変なことになってしまいますね。

GAFAの脅威のことを考えると、もちろん、「マトリックス」も面白いのですが、僕はジョージ・オーウェルの「1984」も思い出します。世の中が、”ビックブラザー”と呼ばれる中央政府によって全て監視されてしまう世界を描いたSF小説です。とても面白いです。わりと短い小説なので、まだ読んだことがない人は、一度読んでみると良いと思います。おすすめです。

Appleを創業したスティーブ・ジョブズが、パーソナル・コンピュータ時代の幕開けともなったマッキントッシュ・シリーズの第1号を世に送り出したのが、正にこの1984年であり、彼は、マック第1号のために作成したTVCMで、ジョージ・オーウェルの「1984」を題材にしています。実は、彼は、「1984」をマッキントッシュのマーケティングの題材として活用するために、マッキントッシュのリリースを何としても1984年に合わせるように、強力に開発プロジェクトのリーダーシップを取っていました。当時の彼は、情熱に溢れた起業家であり、IBMを”ビック・ブラザー”に見立てて、このTVCMを作りました。このTVCMは、今でも、CM業界の伝説の一つとして挙げられています。こちらに、当時の若きスティーブ・ジョブズのプレゼンとその1984を題材にしたCMの動画があるので、是非みてみてください。とても面白いです。

しかしながら、彼が育てたAppleが、今やGAFAとして、かつて彼が敵視したIBMと同じように、ブロックチェーンの可能性にかけるエンジニア達の批判の的になってしまっているのは、世の皮肉ですね。しかしながら、人の歴史とはこういうものです。

20世紀は石油の時代、21世紀は情報の時代

よく政治経済を論じる記事などに、「20世紀は石油が”ダイヤモンド”であり、21世紀は情報が”ダイヤモンド”になる時代」ということを言っていたりしているのを見ます。”ダイヤモンド”とは、経済価値が高い存在の象徴という意味合いで使っています。要するに、20世紀は、石油産業を担う企業が世界をリードしたのであり、21世紀は、それが情報を扱う企業になるということです。その象徴とも言えるのが、世界の企業の時価総額ランキングですね。1-10位に、このGAFAが入っているのですね。以下は、2018年8月20日のダイヤモンド誌の記事からです。

2018年8月20日のダイヤモンドからの抜粋

比較対象が1989年なので、日本がちょうどバブル絶頂期=日本経済の絶頂期だったころなので、日本企業がたくさん入っていますが、8位のエクソンと、10位のロイヤル・ダッチ・シェルは、いずれも世界最大の石油会社です。それが、今となっては、エクソンは、ギリギリ10位で粘っており、ロイヤル・ダッチ・シェルは、Top10から脱落してしまっています。一方、1989年には存在すらしなかったGAFAの4社は、Top10に入っているわけですね。また、Windows OSを提供するマイクロソフト社もGAFAと同じIT企業ですし、日本でも、Wechatでよく知られるテンセントは中国最大のSNS会社、AliPayを運営しているアリババは中国最大のEC企業、つまり、中国版GAFAと言える存在です。つまり、今や世界の事業総額Top10のうち70%をGAFA系企業が占めているわけです。

GAFAの脅威は「スノーデン」によって現実のものとなった

そして、GAFAの脅威は、アメリカでも今、大きな社会問題になりつつあり、最近では、Facebookが、個人情報を流出させてしまったことが原因で、連邦政府が、過去最高の制裁金を受けるニュースが流れています。その額は、30億円近くなると言われています。

フェイスブック:情報保護問題で米当局が過去最高制裁金か-関係者

それに反旗を掲げているのが、ブロックチェーンなのですね。P2Pテクノロジーを上手に使って、それらのデータをユーザーが自力で管理できる世界を作り出そうとしています。Ethereumを立ち上げたビタリック・ブリテンは、この点を特に強調していますね。

“Ethereumが実現するDecentralized Cloudは、 AmazonやGoogleに僕らの生活を牛耳られないようにするために必要なんだ”

僕の予想ですが、ブロックチェーン支持者のハッカー達が、このGAFAの脅威を僕ら含めたみんなに理解してもらいたいために、FacebookやGoogleのシステムにハッキングを仕掛けているのではないかと考えています。

ただ、最大の問題は、エドワード・スノーデンが命をかけて告発した、「GAFAからのデータをアメリカ政府が収集し、現代ローマ帝国としての覇権を維持するために利用している」ことだと考えています。エドワード・スノーデンを描いた映画「スノーデン」は、Amazonプライム、Hulu、Netflixなどでも観れるので、まだの方は是非一度観てみてください。

エドワード・スノーデンについて

Wikipediaより – エドワード・ジョセフ・スノーデン(英語: Edward Joseph Snowden、1983年6月21日 – )は、アメリカ国家安全保障局 (NSA) および中央情報局 (CIA) の元局員である。NSAで請負仕事をしていたアメリカ合衆国のコンサルタント会社「ブーズ・アレン・ハミルトン」のシステム分析官として、アメリカ合衆国連邦政府による情報収集活動に関わった。

2013年6月に、香港で複数の新聞社(ガーディアン、ワシントン・ポストおよびサウスチャイナ・モーニング・ポスト)の取材やインタビューを受け、これらのメディアを通じてNSAによる個人情報収集の手口を告発したことで知られる(システム名PRISM)。

2013年6月22日、米司法当局により逮捕命令が出され、エクアドルなど第三国への亡命を検討しているとされていたが、同年8月1日にロシア移民局から期限付きの滞在許可証が発給されロシアに滞在中である。2014年1月、ノルウェーのボード・ソールエル元環境大臣からノーベル平和賞候補に推薦された。

映画の中で描かれているように、彼は、エンジニアとしてもとても優秀です。そして、仮想通貨やブロックチェーンについて、とてもポイントをついた発言を残しています。

“仮想通貨やブロックチェーンにはとても可能性を感じている。まだ課題は多いけど、完璧なものなど世の中にはないから。仮想通貨やブロックチェーンが、一般に普及するかどうかは、世の中の何人の人がそれを信じるかにかかっている。お金とは、そのお金の価値を信じる人が多いほど、その価値が増すからね。”

イノベーションは、常に「必要は発明の母」から生まれているものだと考えています。その上で、ブロックチェーンもまた、GAFAの問題や、現在の貨幣システムの問題が原因となって生まれてきている、これからの時代にとって必要な存在だと考えています。もちろん、GAFA自身も、ユーザーの希望に応えてブロックチェーンを自分たちのシステムに採用することを真剣に考えて行くと思います。僕らの世の中が、少しずつ自由で生きやすい、かつ地球にとって優しい社会になることをいつも願っています。

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