
Japan
こちらのブログで、以前、「GAFAの脅威とブロックチェーン」や「なぜ、トランプ氏が大統領になることができたか?」と「キプロス預金封鎖の原因はユーロ圏の経済格差」について、それぞれわかりやすく解説しました。今日は、日本の地域創生についてお話します。
これら3つの記事をまだ読んでない方は、こちらにリンクしておきます。この3つを読んでからの方が、今日の話はわかると思います。
日本でおきている経済格差
最近、日本でも「地方創生」は、常に話題の社会テーマの一つですね。東京への一極集中による地方経済の衰退と東京の経済格差。これを知る手がかりの一つは、ユーロにおけるギリシャの財政危機と同じように、地方自治体の財政状況を見るとわかります。
東京が圧倒的に儲かっているのが明らかにわかりますね。2020年に東京オリンピックがあることを考えると、これで東京はますます儲かりますね。
もう一つは、人口増減です。こちらは総務省のデータです。海外から移民を取らないままですと、日本全体の人口は明らかに減少していく流れにあることは誰もが知っていることですが、東京も含めた日本の主要都市にどんどん人口が流れているわけです。

https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/users-g/wakatta.html
今まで、僕がこのブログでお伝えしてきたアメリカ経済における東西海岸経済と中部経済との格差や、統一通貨ユーロ経済におけるドイツの一人勝ちの状態、また、IT産業におけるGAFAによる寡占化など、全ておきている現象は同じ共通であることが見えてくると思います。
では、この原因がどこにあったかというと「グローバリズム」にあるのですね。
グローバリズムが、人類にもたらしたもの
グローリズムとは?
東西冷戦が終結した以降の1992年ごろから、グローバリズムが声高に叫ばれるになりました。理由は、冷戦に勝利したアメリカの新しい覇権戦略です。自由貿易を世界的に展開することで、アメリカの経済力を更に強化しようという考えであり、ITと金融産業を中心に世界的な事業展開をすることがその骨子でした。現在のこの二つの産業の世界的な影響力を考えれば、アメリカのこの戦略は見事に成功しました。
しかしながら、その反動も激しいものでした。みなさんも記憶にあるニューヨークの世界貿易センタービルに二つの飛行機がアタックした「9.11」、あの事件は、多くの政治経済学者が「グローバリズムに対する反動であった」と評価しています。
グローバリズムが「南北問題」の生みの親
世界全体の経済格差における最大の問題は、「南北問題」と言われるものですね。地球を南半球と北半球に分けてみた場合、北半球に豊かな国が集中し、南半球に貧しい国が集中している。ここ最近の南北問題の悪化によって、アメリカがもっとも政治的に反感を持たれた国々が中東地域です。

DMSPからのデータによる宇宙から見た夜の地球の様子 北半球の方が明るいことがわかる – Wikipedia – http://bit.ly/2DAP46Y
GAFAの脅威について話をした際に、「20世紀は石油の世紀」という話をしましたが、アメリカは、長年、この中東地域に政治的に介入をすることで、冷戦時代の敵であったソビエトや中国を中東地域から排除し、かつ、中東の国々から安定的に石油が手に入るようにやりくりしてきました。しかしながら、この政治的影響力の恩恵を受けていたのは、中東の中でも王族や一部のエリートが大半で、一般の人々はほとんど恩恵を受けることができず、経済的にも貧しい状態が続いていました。この状況に対して不満を持っていた中東の人々が結束し、テロリスト化してしまった結果が9.11なのですね。
そして、9.11事件は、僕の視点からでは、ある日本でおきた別の事件を連想させます。それは、「秋葉原通り魔事件」です。
この事件の犯行者は、事件前にある言葉をインターネットの掲示板に残しています。この言葉は、中東でテロリスト化してしまった人々の言葉と僕は「同質」であると考えます。
そして、このグローバリズムは、今に始まったことではありません。僕らの歴史では、シルクロード時代や大航海時代など、過去、なんども起きています。今回おきているグローバリズムの前におきたグローバリズムは、1800年代後半から本格化した欧米列強による植民地政策ですね。そして、その最終的な終着点は、第2次世界大戦でした。
そして、グローバリズムに対する反動は、常に「保護経済」の考え方を世の中に強くもたらします。自由貿易では、強い者に全てを奪われてしまうので、身を守るための手段として一番手取り早いのが保護政策なんですね。だから、単純思考のトランプ大統領は、保護貿易を推進しています。
この形は、実は、第2次世界大戦前の政治経済の環境と似ています。グローバリズムで、自由貿易を続けた結果、過当競争による優勝劣敗が激しくなり、バブル経済などがどこかで崩壊した瞬間(最近で言えば、2008年のリーマン・ショック)、各国が保護経済政策を強め、世界的に更に景気が悪化して、最後、戦争をしてしまうというものですね。
しかし、今回のグローバリズムでは、まだ、そのような事態にはなっていませんね。これは、僕が、ようやく人々が、「奉仕経済」について実践できるようになってきているからだと考えています。
僕らの世界は、地球に一つにつながった方が絶対に暮らしやすいですよね。どこかに旅行や仕事に行くたびに、パスポートやビザを求められるのは、実に窮屈です。自由がありません。しかし、世界中を「宇宙船地球号」として一つにまとめあげるためには、お互いに常にライバル視したり、競争していたのでは、一向に無理ですね。平和的に協力しあう必要があります。
この源流が、僕は奉仕経済だと考えており、奉仕経済はポスト資本主義のカギになると考えています。その点についてはこちらにまとめています。