さて、このブログで、今まで、「経済格差」「ブロックチェーン」に関する話を色々としてきました。今日は、経済格差をなくす方法について、みなさんの理解を深めてもらえればと思います。この「経済格差」の問題について、まだよくわからないと感じている人は、こちらの4つのブログを読んでから、このブログに戻ってくるとよいと思います。

トランプ氏は、なぜアメリカ大統領になることができたか?

ビットコインの火付け役「キプロスの預金封鎖」は、ユーロにおける経済格差が原因だった

GAFA、トランプ政権、キプロス預金封鎖、日本の地域創生(東京一極集中)は、実は社会文脈的には全て同じ

シンギュラリティについての分かりやすい話

 

GDPに変わる経済指標を導入する

まず、僕らの政治経済の仕組みにとって、今や最大のがん細胞になっているのは、GDP(国内総生産)という成長指標ですね。なぜなら、日本のGDPが、500兆円とか400兆円とかいう話をニュースなどで見たことがあると思いますが、GDPとは、簡単に言って仕舞えば、「お金の量」なのですよ。お金の量が去年より今年が増えていれば、GDPは成長していることになるのです。しかしながら、このお金が増え続けなければならない経済というのは、貧富の差を拡大します。なぜなら、お金が増え続ける経済=インフレーション経済なのですが、こいつは、必ず、定期的に金融バブルを生み出します。そして、そのバブル経済が崩壊するたびに、富裕層は、そのバブルに耐えるだけの資産があるため耐え忍び、貧乏人は全財産を失って失業者になり、一から出直しを余儀なくなれます。この結果、経済格差がますます広がっていくわけですね。

経済格差が広がるたびに、社会の貧しい人々の不満は蓄積し、時として凶悪事件を引き起こします。このブログで「9.11と秋葉原の通魔事件の原因は同じですよ」と伝えている通りです。また、GDPはそれだけでなく、大量消費した方が経済成長が加速するので、物質的に豊かになることが正しいと人々に強制します。その結果、地球環境はどんどん汚れ、破壊されていっていますね。この事実は、国連のWWFが毎年発表している「生きている地球レポート」を読むと誰でも理解できます。僕らは、地球の資源を使って日常生活を送っているわけですが、その消費量が、地球がもつ再生能力を超えてしまっているために、「2030年に地球が二つ必要になる」という事実がわかっています。まだの方は、分かりやすいレポートなので、こちらのリンクから見てみるとよいと思います。

WWF生きている地球レポート:収支は大赤字!地球がもう一つ必要に?

こちらのレポートからいくつか重要なグラフを抜粋すると、

From WWF – https://www.wwf.or.jp/aboutwwf/earth/

 

2018年時点の地球上の人口が、70億人であり、全ての国がGDPで経済成長を測定していますから、みんながGDPペースで今後も生きて行くと、地球の資源が全然足りなくなってきてるわけですね。簡単に言って仕舞えば、「資源の赤字状態」が続いています。そして、実際のそのことも証明されています。下記のグラフを見てください。

 

From WWF – https://www.wwf.or.jp/aboutwwf/earth/

緑の点線が、地球の資源再生能力です。1970年代から、赤字状態に入っているのですね。このグラフの右肩上がりぐらいをみると、2030年ごろに、緑の点線の2倍レベルにまで達しそうなのはイメージがつくと思います。

ですから、僕らにとっての「成長」が、GDPではない、もっと世界を平和的かつ地球に優しい成長指標に変えることができれば、経済格差や環境破壊の問題は解決できる可能性があるわけですね。僕の中で一つあるアイデアは、「一人あたりのエネルギー消費効率=新しい経済成長指標」というものです。つまり、エコな生活をしている人や国ほど、経済成長しているという考え方ですね。大量消費しないや贅沢しないなど、全て「規模の経済の拡大」に繋がる生活を一切しないという発想を人々に定着させることができますし、環境破壊を抑制することもできます。いわゆるミニマルライフほど抑制するかどうかは、本人次第ですが、その一歩手前ぐらいまで自分の生活を持っていくことも十分価値があるということですね。この経済成長指標をベースに、国力評価をすると、おそらく、今のスウェーデンやフィンランドなどの北欧経済などは、かなりエコな生活が普及しているので、世界でもダントツの経済成長をした国になると思います。一方、消費の激しいアメリカや中国などは、最低ランクになってしまうでしょうね。今の日本はまあまあだと思いますが、東京や大阪などの都心経済が足を引っ張るでしょうね。人口が過密している都市経済というのは、莫大なエネルギーを必要とするからです。その意味で、今の世界経済は、先進国が中心に動いているので、彼らが、このような新しい経済指標の導入に、素直に従うのはちょっと考えずらいですね。

通貨は残すが、自然減価型の地域通貨にする

もう一つは、通貨を「自然原価型の地域通貨」にすることですね。このアイデアは、実はもう100年以上の歴史があります。元は、オーストラリアの起業家であり経済学者のシルビオ・ゲゼルが考案したものです。

シルビオ・ゲゼルについて – From Wikipedia

  • 生涯 – 現在はベルギー領になっているものの、第一次世界大戦終了まではドイツ領であったザンクト・フィートに生まれる。若い頃より商業に関心があり、1886年(24歳)、アルゼンチンのブエノスアイレスに移住し兄の店の支店を開く。事業は成功したもののインフレとデフレを繰り返すアルゼンチン経済を問題視するようになり、金融問題の研究への関心を深めてゆく。1900年、欧州に戻り、晴耕雨読の生活を続けながら主著『自然的経済秩序』(Die Natuerliche Wirtschaftsordnung) などを著す。1918年‐1919年のバイエルン革命で成立したバイエルン・レーテ共和国では、アイスナー首相暗殺後のエルンスト・トラー(de:Ernst Toller)政権で金融担当大臣に就いたが、一週間で共産主義者が権力を奪取。ほどなく革命も終焉し、彼は国家反逆罪に問われ拘留された。オラニエンブルクで肺炎で死去。アルゼンチン・ブエノスアイレス州にあるビジャ・ヘセル (Villa Gesell) は、シルビオの死後に息子カルロスが開拓した保養地であり、同地にはシルビオ・ゲゼルの記念碑などが存在する。
  • 思想 – 彼の主著『自然的経済秩序』では、あらゆるものが減価するのに通貨だけが減価しないために金利が正当化され、ある程度以上の資産家が金利生活者としてのらりくらり生きている現状を問題視し、これを解決するために自由貨幣、具体的には「スタンプ貨幣」という仕組みを提案した。これは一定の期間ごと(1週間あるいは1月)に紙幣に一定額のスタンプを貼ることを使用の条件とすることで通貨の退蔵を防ぎ、流通を促進させ貸出金利を下げるのが目的である。他に、男性に経済的に依存することなく女性が子育てに専念できるようにするための、自由土地の思想に基づいた母親年金も提唱している。
  • 影響 – 日本では地域通貨とシルビオ・ゲゼルが関連づけて記憶されているが、ゲゼル自身は地域通貨(正確には国家以外が管理する通貨)には反対し、国家が責任を持って管理しインフレもデフレもなく流通する通貨制度を理想とした。ケインズは『雇用・利子および貨幣の一般理論』においてゲゼルの思想について考察し、「将来の人々はマルクスの精神よりもゲゼルの精神からより多くのものを学ぶであろうと私は信ずる」と評している。また、作家のミヒャエル・エンデはゲゼルの影響を受けており、代表作の『モモ』は彼の思想から着想を得ていると述べている。

彼の「自然的経済秩序」は僕も読んだことがあるのですが、根気のある方は一度読んでみることをお勧めします。彼の時代から、多くの人がお金と情報を求めて都市経済に流れ込む現実が描かれており、大半の人は、100年前と大して成長していないのだなと思いますね。

自然減価型の地域通貨は、日本でもシュタイナー教育の賛同者で、「ネバー・エンディング・ストーリー」や「モモ」の童話作家でミハエル・エンデ知られるミハエル・エンデ氏が、亡くなる直前の1999年にNHKスペシャルとして後悔した「エンデの遺言」で、日本で紹介され、2000年初頭に日本でも地域通貨ブームが起きました。当時、700近い地域通貨プロジェクトが立ち上がりました。自分の持っているお金が、徐々に減って行くというのは、なかなか慣れないものですが、経済全体を考えるととても良い効果が得られます。下記のグラフをみてください。

日本円のお金の回転率

これは、日銀のデータを元に僕が作成したグラフですが、今の日本円は、毎年、最低2%ずつお金の量が増えるように設計されています。この増やしたお金は本来、企業が新しい事業に投資したり、もしくは個人が家などの大きな買い物をすることで、日本の景気をよくしようという意図のお金なのですが、銀行が「貸し渋り」でお金を市場に流さないので、結果、お金の回転率がものすごく悪い=景気がよくならない状態がずっと続いているのですね。金は天下の回りものとよく言いますが、お金の回転率が高いと景気はよくなるのです。これは「マーシャルの法則」というノーベル経済学者が証明している確かな法則です。

先ほど、お金の量が増えるほど、経済格差は増していくとお話しましたが、このようにお金の量は増え続けているのに、回転率が上がらない世界というのは、本当にひどい世界です。貧しい人は、そのお金を借りることすらできないのですから、生活は苦しくなるばかりです。

一方、ドイツに10年以上も続けられているキームガウアーと呼ばれる自然減価型地域通貨があります。下の図が、その運用実績です。

キームガウアーの運用実績

ユーロとの比較データです。ユーロも日本円と同じように毎年2%ずつ増える通貨です。そのユーロとの比較ですから、確実に、自然減価型通貨の恩恵をキームガウアーの人々が受け取ることができていることがわかります。

日本円を補助通貨のような役割にして、地域通貨をメインの通貨で生活するようにできれば、経済格差の広がりを止めることができるということです。しかし、価値が減っていく通貨に抵抗するユーザーは多いでしょうね。物事を「損得勘定」だけで見ているユーザーにとってや、「贅沢すること」が大好きなユーザーにとっては、自然減価通貨は、受け入れがたい存在でしょうね。

お金を無くして、完全な奉仕経済に移行する

そして、最後が、以前、お金の話で触れている「お金を消して生活する」という発想です。まだ読んでない方は、こちらを読んでみてください。

世の中からお金をなくす方法は実はとてもシンプルという話

お金が生まれた原因は、実は、政府が生まれた原因と密接に結びついています。結局のところ、僕らの日常生活を送る上で、その中に、常に善意的に振る舞うことができないユーザーがいるため、お金というツールを使ってものを売ったり買ったりする必要性が出てきてしまい、そのお金を管理する組織が必要になって政府が出来上がって行ったのですね。

つまり、全ての人が善意的に振る舞うことができれば、お金を世の中から消すことは可能であるということです。今のところ、奉仕経済がある程度機能しているウェブサービスと言えば、ジモティーぐらいというのが使っていての実感ですが、ユーザーベースが大きくなるにつれ、確実に秩序を破壊するユーザーが増えてきます。ジモティのようなクラシファイド広告のサービスは、元はアメリカの「クレイグリスト」がオリジナルなのですが、クレイグリストも取引相手に注意していないと、も痛い目に会うことはよく知られているので基本的には同じ問題を抱えているということですね。ジモティーを使ったことがない人は、このブログの話を理解する上でも、試しに使ってみるとよいと思います。

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これはコミュニティ経済がもつ必然的な宿命なのですね。コミュニティ経済は、一定の規模以上に成長すると確実にコミュニティの質の低下が発生してきます。今の仕組みや発想ではこの問題が解決できていません。この壁をブロックチェーンが突破できるかが非常に重要だと考えています。

その点もあり、僕は直球勝負で、今の世の中に「奉仕経済」を根付かせて行くのはかなり難しいと考えています。変化球が必要なんですよ。僕は、それを上にあげた3つの方策ではなく、「第4の方策」と呼んでいますが、その点についても、また別の機会にこちらのブログでお話したいと思います。