最近、株式投資の世界で、徐々に勢いを増しつつある「ESG投資」の概念。この概念は、トークンエコノミーととても相性がよいと考えています。

ESG投資とは?

それぞれ英語の頭文字を取ったものです。環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つを合わせて、ESG投資と呼んでいます。それぞれ詳しく話をして行きます。

Environment – 環境

こちらのブログでもなんども触れていますが、今や地球環境を無視したビジネスは、誰にとっても許されない現状にあります。この点がまだ実感が持てない人は、こちらのブログを読んでみてください。

経済格差をなくす方法は3つしかない

この点から、環境破壊に繋がるような事業を営む企業は、その事業の持続性そのものが疑わしいと考えられる世の中になってきているということですね。素晴らしいことです。この傾向は、世界的にも広がりつつあり、特に、2015年のパリ協定によって、国際的に協力してやって行こうという動きが活性化してきています。

 From wikipedia – パリ協定 – 1997年に採択された京都議定書以来、18年ぶりとなる気候変動に関する国際的枠組みであり、気候変動枠組条約に加盟する全196カ国全てが参加する枠組みとしては世界初である。2020年以降の地球温暖化対策を定めている。2016年4月22日のアースデーに署名が始まり、同年9月3日に温室効果ガス二大排出国である中国とアメリカ合衆国が同時批准し、同年10月5日の欧州連合の法人としての批准によって11月4日に発効することになった。2016年11月現在の批准国、団体数は欧州連合を含めて110である。参加していないのは世界でもシリア内戦で失敗国家化しているシリアと、より厳しい環境規制を求めているニカラグアだけである。排出量削減目標の策定義務化や進捗の調査など一部は法的拘束力があるものの罰則規定はない。しかし、ニカラグアは2017年10月に協定に署名する意向を発表し、同年11月にシリアも批准を表明した。

そして、各国の政府自体が、企業に環境を配慮した事業運営を求めるようになってきているということであり、投資家自体がその視点で投資判断するようにというのが、このESGのEnvironment – 環境に関するポイントです。

社会 – Social

以前から、CSR (Corporate Social Responsibility – 企業の社会的責任)として、一部の企業などでは活発に展開されてきている活動ですね。

From wikipedia – CSRは企業が利益を追求するだけでなく、組織活動が社会へ与える影響に責任をもち、あらゆるステークホルダー(利害関係者:消費者、投資家等、及び社会全体)からの要求に対して適切な意思決定をする責任を指す。CSRは企業経営の根幹において企業の自発的活動として、企業自らの永続性を実現し、また、持続可能な未来を社会とともに築いていく活動である。

社会の利益になること=会社の利益になること、と考えて事業を行えるか?という視点です。僕は、以前から、日本の資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一氏の経営哲学を尊重しているのですが、彼は、「社会に取って意義のある事業を起こせば、自然と利益はついてくる」という言葉を残しています。CSRは、渋沢栄一氏の経営哲学を一般的な経営スローガン化したものと言えると思います。

From wikipedia – 渋沢 栄一(しぶさわ えいいち、天保11年2月13日(1840年3月16日) – 昭和6年(1931年)11月11日)は、江戸時代末期(幕末)から大正初期にかけての日本の武士、官僚、実業家。第一国立銀行や東京証券取引所などといった多種多様な企業の設立・経営に関わり、「日本資本主義の父」ともいわれる。

例えば、日本経済の観点から見れば、「所得格差の解消」や「地域経済格差の解消」に繋がる事業はCSR的にみて価値があるわけです。この観点からすれば、ユニクロとかはダメな企業例になるわけですね。中国の工場を使って安い衣料品を生産するユニクロは、日本の繊維産業を破壊してしまっているからです。「シャッター商店街」を量産しているイオンのスーパーマーケット+モール事業もダメですね。

企業統治 – Governance

健全な企業統治ができているか?という問題です。この企業統治における「健全」という定義は、曖昧ですよね。コンプライアンスにしっかり取り組むなどのことよりも、僕は、もっと分かりやすいのが「社畜がゼロなのか?」という課題の方が重要だと考えています。企業統治において重要なのは、東芝の不正会計問題が良い例で、「組織犯罪」がおきていないかということです。上司に逆らえないという理由で、不正に手を染めてしまった社員は悲劇ですよね。そのあと、その会社が仮に倒産してしまった場合、その不正の責任はその人のキャリアにずっとつきまとうわけです。このような統治が横行している会社は、上の二つにあげた環境や社会への配慮も稀薄な会社になる可能性が高いと思います。

そして、このESG投資は年々勢いをましています。この流れを裏付ける大きな活動のひとつが国連が、国連責任投資原則(PRI)を開始したことです。この動きは、先ほどのパリ協定にも通じることで、国連責任投資原則は、国連機関である国連環境計画(UNEP)と国連グローバル・コンパクト(UNGC)が推進しているイニシアチブで、年金基金などアセットオーナーや運用会社がESG投資を推進していくことを自主的に署名し参加を表明しています。

2017年時点で、世界の1,500機関以上のアセットオーナーや運用会社などが署名しており、世界最大の年金基金である日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も2015年9月に署名をしました。世界全体での運用合計金額は、68.4兆USドル(約7,000兆円)にまできています。ESGは、マイナーな投資手法から、メジャーな投資手法へと発展しつつあります。素晴らしいことですね。

そして、僕は、この動きはトークンエコノミーととても相性が良いと考えています。なぜなら、トークンエコノミーは、ユーザー自体を企業のステイクホルダーの一員として扱う仕組みだからです。ちょうど、良いタイミングで、AirbnbのIPOに纏わるCEOの苦悩のインタビュー記事が目にとまりました。

デザイナー創業者独占インタビュー!エアビーの「アマゾン化計画」とは何か-Forbes Japan

インタビューの主旨は、本来、別の切り口だったのですが、僕はAirBNB CEOブライアン・チェスキー氏のことばのこの点が目に止まりました。

“しかしチェスキーは「大半のCEO」とは違う。Airbnbは投資家だけでなく、従業員、ゲスト、ホスト、都市という他の四者のステークホルダーをも顧慮しつつ、成長を評価していくことになるだろう。彼らはそのことにより、通常とは異なる自社のやりかたが受け入れられやすくなるよう願っている。たとえばホストに株式を与えたり、低利の改築資金を融資したりすることを、証券取引委員会に認めてほしいのだ。そこにはまた、コミュニティ的なルーツに忠実であり続けたいという願望も反映されている。しかし、その種のやり方はIPO後には難しくなるかもしれない。Airbnbは永遠に非公開企業にとどまる道を探ってきたが、17年秋にモルガン・スタンレーと協議した後、それはあり得ないと悟った。そこで早ければ19年半ばに株式を公開することにしたのだ。長々と先延ばしすることはできない。20年には従業員に付与したストックオプションの多くが行使期限を迎えるからだ。

上場について尋ねると、チェスキーは気難しげな顔になる。彼は、企業は往々にして大局観を見失い、四半期のリズムに振り回されがちになると話す。”

彼の描いている世界は、僕が正にトークンエコノミーで描いている世界そのものですね。しかし、Airbnbが抱えている現状を見ればわかる通り、既存の株式会社や証券法のスキームはもはや時代のニーズに応えられなくなっているわけですね。

トークンエコノミーについて、まだなんだかよくわからないという人は、こちらの記事を参考にしてください。

トークンエコノミーとは、キャピタルゲインを得られるアフィリエイトである

Airbnbの「民泊」という事業は、ESG投資の観点から見れば、正にドンピシャと言える事業です。豪華なホテル事業はエネルギーの無駄遣いをしている一方、空家や常に利用していない別荘を宿泊先にできるAirbnbは、とても環境に配慮された事業と言えます。そして、チェスキー氏のホストに対しても社員のような待遇をしたいというのは、正にCSR的な考え方ですね。素晴らしいです。

そして、僕はトークンエコノミーの普及によって、組織運営の主体が株式会社からNPOにシフトすると考えているのですが、その点はこちらの未来予想図にまとめています。

ブロックチェーンによるポスト資本主義の未来予想図

ESG投資の活性化は、ブロックチェーンを使ったトークンエコノミーモデルによる事業育成に間違いなく追い風になると見ているので、今後もこちらのブログで追いかけたいと思います。