トークン・エコノミーの観点から分析するとビットコインの上昇要因は唯一マクロ経済の混乱

まず、以前からもこのブログで伝えていますが、ブロックチェーンのテクノロジーが、インターネット同様に本格的な産業として成立していくためには、「トークン・エコノミー」のモデルが、しっかりと発展していく必要があります。トークン・エコノミーについては、いろんな人がいろんなことを言っていますが、僕の中で納得の行く記事が、正直1つもないので、自分の考えをまとめています。今日の話を理解するには、まず、こちらの記事を読んでからの方が良いと思います。

トークンエコノミーはリワード経済と株式経済をP2Pモデルで融合させたネットワーク効果の1つのモデル

そう、この記事にあるように、カギは、「ネットワーク効果がきちんと設計されているか?」なんですね。このブログで、Amazonの例を紹介していますが、理想はAmazonのようにネットワーク効果が、最低2つは組み込まれている必要があります。第1位のネットワーク効果と、それを強化するための相乗効果を持った第2位のネットワーク効果です。これを理解のベースにしながら、ビットコインのトークン・エコノミーを可視化してみます。

ビットコインのトークン・ネットワーク効果の図

これは、ビットコイン含めた仮想通貨市場全体に言えることでもありますが、基本、仮想通貨というのは、法定通貨(日本円やドルのこと)と対立軸を持っています。ビットコインが持っているネットワーク効果は、たった1つです。2100万BTC以上は発行されないという「供給制限」です。法定通貨の市場(別のトークンエコノミーと行ってもいい)は、GDP=資本の量で定義されているので、資本の量=お金の量を増やせば、成長していると見なします。ですから、中央銀行は、毎年最低2%のインフレターゲットを設定しているのですね。これが急激なインフレになると経済は混乱しますが、マイルドなインフレであれば混乱はしません。

しかし、ここに平行して、我々が過去40年近くやってきた「経済のグローバル化」=GDPベースの完全自由競争をやり続けると、国家経済間の優勝劣敗が激しくなるため、以前にもお話した、統一通貨ユーロが、ユーロ内の経済格差を拡大し、それがギリシャの財政危機を誘発し、ギリシャ債権を多く保有していたキプロスの金融機関が経営困難となり、預金封鎖が発生、国家経済に依存しないビットコインに資金が流れるというネットワーク効果が起きたわけです。その点についてはこちらに詳しくまとめています。

ビットコインの火付け役「キプロスの預金封鎖」は、ユーロにおける経済格差が原因だった

つまり、かなりマクロ経済要因に依存したネットワーク効果に設計されているのが、ビットコインになります。正直、これに乗っかる個人は、もういないでしょうね。理解するのが難し過ぎると思います。

そして、この後のビットコイン市場の最大の過ちは、いわゆる「投機家集団」を大量にこの市場に招き入れたことですね。一部の仮想通貨取引所が提供しているレバレッジ取引が最大の要因です。インターネット産業の発展史とのアナロジーで行くと、僕の視点では、仮想通貨市場にとっての「投機家集団」=インターネット産業における「ポルノ業者」です。既存のTV市場などでは、ポルノは政府が厳しく規制しているため、彼らがもうける機会は限られていますが、インターネットは、自由なメディア市場なので、ポルノ業者にとっては、格好の稼ぎ場なわけですね。特に、世界中のユーザーを相手にビジネスができますから。インターネットの黎明期にも、ポルノ業者が、市場を荒らしていたのですが、GoogleやAmazonなど市場をリードするプレイヤーは、そのようなコンテンツ自体を検索エンジンに引っ掛けない、もしくは商材として積極的に扱わないなどの態度を貫くことで、市場の健全性を維持していったわけです。そのお陰で、今のインターネットは、素晴らしい文化圏に育っているわけですね。

仮想通貨市場における「投機家集団」も似たようなもので、法定通貨市場における彼らのビジネスは、2008年のリーマン・ショック以降、特に厳しく規制されていることも一因として、手間がかかるビジネスになってしまっている一方、仮想通貨市場は完全フロンティア市場のようなものですから、彼らの一部がこの市場に流れ込んできています。この点の問題点は、こちらにまとめています。

仮想通貨のレバレッジ取引は結果的に自分達のクビを締める

つまり、インターネットとのアナロジーから見ると、インターネットがポルノ業者を排除しながら発展して行ったように、仮想通貨市場は、如何にこの「投機家集団」を排除しながら発展して行くか?というのがカギになっているわけです。

あと、よくビットコイン信奉者が「ビットコインは、世界共通通貨になるんだ!」、「世界共通通貨があれば、私たちは、もう国家の束縛を受けることはないのだ!」とよく言っていました。少し知識のある人は、ケインズが第二次世界大戦後の世界の金融システムについて様々な議論が飛び交ったブレトン・ウッズ会議で提唱した「世界共通通貨バンコール」構想をその材料にアピールします。

僕はこれに対していつも「それは、人間の生来の気質を踏まえると、絶対に起こらないと思うよ。」とずっと言っていました。なぜなら、生命の進化史を見れば火を見るより明らかで、かならず「分化」が発生するからです。分化による多様化は、生命のサガであり、我々の秩序の源なのですよ。下の図が、その象徴的な図ですね。

全生物を対象にした系統樹の例 – From Wikipedia – https://bit.ly/2TPfcRe

その動きが、僕が図に別のベクトルといて書いている「他のトークンエコノミーの発展とStable Coin」です。国家経済に依存しない仮想通貨市場を育てていくためには、仮想通貨取引の主流が、仮想通貨<->法定通貨ではなく、仮想通貨<->仮想通貨になる必要があります。そうでないと、僕らは、いつまでたっても国家経済に完全にビルトインされている銀行に頼らないといけないですからね。これでは、新しい世の中にはなっていきません。

しかし既存の仮想通貨はどれも流動性が小さく投機家集団に支配されてしまっているため、ボラティリティが高くなってしまっています。ですから、どこかの仮想通貨にずっと預けておくというようなことをするのが難しいわけです。Binanceの立ち上がりを見ればわかるように、その役割は、ビットコインが一時的に担っていたのですが、やはり難しいのですね。今、その役割は、Stable Coinが担い初めています。Stable Coinについてこちらにまとめています。

バイナンスに上場されている4つのステーブル・コインの分析・評価まとめ

ビットコインのお陰で、ブロックチェーンが生まれ、そして、仮想通貨の「カンブリア爆発」が起きたといえるのですが、生命の発展史における共通祖先がもはや地球上には存在していないように、その持続性については、自ら投機家を排除できない限りは、かなり難しいと言えます。

唯一は、そもそもの上昇のキッカケが、キプロスの預金封鎖であったように、マクロ経済の混乱=既存経済システムの危機が、その上昇に繋がると考えています。ですから、純粋に「デジタルゴールド」としての価値を持っているということです。

次に、同様の視点で、Ethereumを見てみようと思います。

イーサリウムはトークンエコノミーの観点からするとかなり難易度高い

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