過労死寸前のコンビニオーナーを救う方法は3つある

コンビニのオーナーたちが悲鳴を上げ始めているというのがニュースになってますね。24時間営業を維持することの「負荷」が限界を超えてきていると。「セブンなどのコンビニ本部は何をやっているんだ!」と怒りを覚える人も多いでしょう。しかし、その原因をもたらしているのは、何かと深く考えていると、原因は2つあり、1つは「最低賃金法」、もう1つはコンビニのフランチャイズのビジネスモデルです。強いて言えば、資本主義そのものですね。詳しくお話していきます。 「24時間営業を維持するための人員が確保できない」 いくつかのニュースでインタビューを受けているコンビニオーナーの話を聞いていると、大半の答えは、「人手不足」という言葉が返ってきます。アルバイトを十分雇えなくて、結局、オーナーが店に立つしかない。吹雪の夜だろうが、台風の夜だろうが関係ない。そのような日々が続くことで、過労死寸前に追い込まれているオーナーが続出しているわけです。 この傾向が顕著になってきている原因は、2007年に改定された「最低賃金法」にあります。下記のグラフをみてください。 「最低賃金法」というのは、名前の通り、日本の最低賃金の水準を定めた法律です。物価の水準が各都道府県によって異なるため、都道府県別で最低水準が設定されています。2007年より前は、「ワーキングプア」といって、なんと、失業者がもらう生活保護手当よりも、最低賃金労働者の収入が下回るというとんでもない状態が起きており、これを解消しようと言うことで、改定されたのですね。そのお陰で、2007年以降、日本の最低賃金水準は徐々に上がっており、ニュースでワーキングプアの問題を見かけることも少なくなりました。 ところが、その結果、新たな問題が浮上します。それが、今回の、最低賃金の水準が上がったことで安い労働力にビジネスモデルを依存している業態の1つであるコンビニのオーナー達が、人手不足に陥り、過労死寸前に追い込まれるという事態です。これが、もう1つの原因であるコンビニのビジネスモデルにつながってきます。 既存のコンビニのビジネスモデルは人件費はオーナー負担 コンビニのビジネスモデルは、簡単に言いますと、コンビニ事業体そのものを経営している、セブン、ローソン、ファミマなどは、いわゆる「本部」が、一般個人である「オーナー」さんに経営委託するという「フランチャイズモデル」です。 From Wikipedia – フランチャイズ – 一方が自己の商号・商標などを使用する権利、自己の開発した商品(サービスを含む)を提供する権利、営業上のノウハウなど(これらを総称してフランチャイズパッケージと呼ぶ)を提供し、これにより自己と同一のイメージ(ブランド)で営業を行わせ、他方が、これに対して対価(ロイヤルティー)を支払う約束によって成り立つ事業契約である。通常、権利や商標、ノウハウなどを提供する側をフランチャイザー(本部、略してザー)と呼び、受ける側をフランチャイジー(加盟者・加盟店、略してジー)と呼ぶ。 そして、本部とオーナーさんの間のビジネスモデル上の契約は、オーナーさんが以下の金額を本部に支払い、残りが自分の手元に残るというモデルです。 (売上-商品原価)X60% + (廃棄商品の原価)X60% この数式の中身を簡単に解説すると、たくさん売れた方がオーナーさんも儲かるし、特に商品を廃棄せずに売り切った方が儲かる、と言うルールと言うことですね。60%という数字は、店舗さんによって違います。すごく売っている店舗さんですと、60%より低い数字でよかったりします。がんばるオーナーほど料率がよくなるテーブル制なのです。しかし、ここに重要なある1つのことが、抜けていることに気づきませんか?人件費が含まれてないのです。そう、オーナーの方は、自分の取り分である平均40%の原資からアルバイトの人件費を捻出しないといけないのです。ここに、先ほどの、最低賃金法の改定の影響が重くのしかかっているのです。 最低賃金法を昔の内容に戻してしまったら、また「ワーキングプア」の問題が再熱します。それ以外の解決策を模索しなければなりません。 解決策①:コンビニ業態をAmazonGoモデルに切り替える 1つ目は、テクノロジーを駆使して無人コンビニを実現することですね。Amazonは、すでに、AmazongGoでそれを開始しています。無人コンビニがどんなものかまだイメージがつかめてない方は、こちらをAmazonGoのイメージビデオをみるとよいと思います。 コンビニの24時間営業を支えるオペレーションを限りなく、人手に頼らないモデルを追求することで、人件費の高騰の影響を最小化するということです。しかしながら、このアプローチは、「シンギュラリティ」の課題を浮上させます。AmazonGoのイメージビデオを見られた方は、想像がつくと思うのですが、消費者が、なぜ、あんな風に自由に商品を入れたり出したりできるかといえば、監視カメラが店内にたくさん配置されているからです。万引き対策は当然必要になるからですね。シンギュラリティについて、まだよく分からないと言う人は、こちらにまとめているので参考にしてください。 シンギュラリティについての分かりやすい話 コンビニは、今や、郵便や宅配も受け付けてくれるし、公共料金の支払いや、住民票の発行など様々な公的サービスにも対応してくれている、僕らにとって不可欠の社会インフラとなっています。そこに、この監視モデルを導入したら、どうなるか?僕がシンギュラリティの話で紹介したサイバーテロリストVS電脳警察という「攻殻機動隊」のような世の中になってしまいますね。 解決策②:コンビニ側も人件費を負担し痛み分けする もう1つの解決策は、コンビニ本部が、フランチャイズのビジネスモデルを変えることです。端的には、本部側も「人件費」を負担することです。もしくは、最低賃金の上昇分をフランチャイズ料金に割引してあげるかですね。しかし、この施策を実行すると、コンビニの利益率には、相当なネガティブインパクトをもたらすでしょう。すると、彼らは今の株価を維持できなくなるでしょう。すると、資本効率の悪化を招くため、経営が辛くなります。大変な果断になると思いますが、かつてトヨタ自動車が、リーマンショック後に「ワークシェアリング施策」を実施することで、自動車産業の雇用を守ったような対応に近いと言えます。相当根性のある経営者であれば、実行に移すと思います。 しかし、これでも本質的な原因は解決していないのですね。なぜなら、先の投稿で話をしましたが、資本主義の末路は、企業はどんどん利益が薄くなっていってしまう運命にあるからです。これの傾向は、コンビニ業界はすでに直面しつつあります。いわゆる「過密店舗の問題」ですね。 2012年ごろから、地下鉄のキオスクなどをコンビニ化することで、更に店舗数を増やしてはいますが、それでも、この傾向をずっと続けると、間違いなく過密競争によって疲弊するオーナーが出てくることは間違いありません。 本質的な原因は、資本主義そのものにある 結局、最後は、「資本主義」の問題に返ってきます。企業が「利益」を追求し続けなければならないということに根本的な原因があるのです。コンビニが社会インフラであることは間違いありません。先日、海外の航空会社が、激しい国際競争の中で、安いチケットを提供するために人件費や経費を削った結果、衛生面にすら支障をきたすようなオペレーションの問題が出始めているニュースから、これも資本主義の末路の1つだという話をしました。以下のブログを参照してください。 資本主義経済の行き着く先:利益が減り続ける企業と不満だらけの消費者 今の日本のコンビニ業界は、まさにこの傾向が出始めていると言うことですね。まず、不満の声を上げたのがコンビニのオーナー側ということです。ここに、3つ目の解決策を上げます。それは、社会インフラ化したコンビニを「NPO化」するという発想ですね。 利益を追求しなくてもよい状態にすれば良いのです。しかし、その場合、コンビニの業界をよりよくするための施策を実行するための元手資金はどうしたら良いのか?と言う声が上がるでしょう。NPOの多くは、資金集めに奔走していることが多いです。その解決策の1つは、「トークン・エコノミー」ですね。Ethereumなどがよい例ですが、彼らは、財団であって、企業ではありません。ですから、利益を追求する必要はないのです。しかし、Ethereumほどのソフトウェアを開発するには、やはり、優秀なエンジニアや財団の運営者に報酬を払う必要もあります。その原資は、ETHというトークンを投資家に売ることで得ているわけです。「トークン・エコノミーとは何か?」については、すでにこちらのブログで紹介しました。 トークンエコノミーはリワード経済と株式経済をP2Pモデルで融合させたネットワーク効果の1つのモデル 実は、この内容は、僕の中では、「トークン・エコノミーの第1段階」と捉えており、これ以降の未来予想図は、こちらにまとめています。ぜひ、参考にしてください。 ブロックチェーンによるポスト資本主義の未来予想図