ブロックチェーンによるポスト資本主義の未来予想図

インターネットは、1994年の初商用化から産業化がスタート、まずはホームページ市場が生まれ、その中でYahoo!などのポータルサイトが一時市場をリードしますが、やがて個人が簡単にメディアを作れるブログが登場し、コンテンツ爆発が発生、そのため、ポータルのディレクトリ機能ではもはや対応に追いつけず、検索エンジンの利用価値が一気に高まり、メディア検索エンジンとしてのGoogle、商品検索エンジンとしてのAmazonが一気に成長。それと平行して、OvertureやDoubleclick、Linkshareなどが登場し、インターネット企業の基本のビジネスモデルとしての検索広告やバナー広告、アフィリエイト広告もこの頃に一気に本格化します。平行して、通信回線の発展共に、Youtubeなどデータ通信量を多く必要とする動画シェアリングサービスが登場し、その後、iPhoneの登場とスマホの普及によってFacebook、Twitter、InstgramなどSNSが急成長する。リーマンショック後の景気後退を背景に、無駄使いをなくすために、AirbnbやUber、メルカル、ジモティなどのシェアリングエコノミーが台頭、現在に至る。という感じでしたね。では、ブロックチェーンの場合、どうなるか?僕の中である程度の未来予想図を持っています。 目次1 Step0. 仮想通貨市場の胎動期2 Step1-1.一定規模のユーザーベースを持った会社がトークンエコノミーの成功モデルをいくつか出し始める3 Step1-2.平行して、ブロックチェーンのインフラレイヤーの技術が成熟し始める4 Step2.そのノウハウと成熟した技術を元に、B2Cの本格的なトークン・エコノミーベンチャーが立ち上がってくる5 Step3.それらのトークンエコノミー企業群が、株式会社を捨て、NPO化を始める6 Step4.トークン・エコノミーの普及によって、組織運営の非中央集権化が進み、社畜が減る7 Step5. 3と4の流れを受け、評価経済の浸透と共に、人々が徐々に貨幣経済に依存しない経済取引を始める。奉仕経済の本格化。8 最後に Step0. 仮想通貨市場の胎動期 僕が2012年ごろシリコンバレーでやっていたベンチャーをたたもうかと思案中だったころ、徐々にビットコインの話がシリコンバレーでも盛り上がりはじめました。僕も、ランチをしていた友人から「ビットコインって知っている?」と言われて、そのとき、初めてサトシナカモトのホワイトペーパーを読みました。読んだ瞬間に「この技術(ブロックチェーン)は、ポスト資本主義の要になるだろう」と直感しました。その少しあとぐらいだったと思いますが、シリコンバレーの著名インキュベーターのY-Combinatorのバッチ(投資家へのプレゼン大会)にCoinbaseが登場したのを記憶しています。 その後、2013年3月に、キプロスの預金封鎖が発生し、ビットコインに徐々に資金流入が開始。2014年1月のMt.Gox事件で日本で一気に認知度が上がる。2016年に先進国かつ経済大国で初となる仮想通貨事業を合法化した「改正資金決済法が」日本で施行、この頃から資金流入が本格化、これが2017年のビットコインやイーサリウムを中心とした仮想通貨市場のバブルを発生させ、その流れに乗ったICOバブルが同時多発的に発生。年末にこのバブルは崩壊し、一旦収束、現在に至る。 Step1-1.一定規模のユーザーベースを持った会社がトークンエコノミーの成功モデルをいくつか出し始める 2018年より、まず、ここからが本格的な市場立ち上がりのポイントになると見ています。インターネットのベンチャーの多くは、まずは、中小から大企業をターゲットにホームページ製作会社からスタートしたと同じように、トークンエコノミーのビジネス&テクニカルコンサルティング事業が一定の事業を形成すると見ています。顧客は他社のサービスと差別化するため、トークン・エコノミーを活用するという発想ですね。ポイントや電子マネーよりもネットワーク効果が得られるのがトークン・エコノミーなので、この点を理解して、成功事例が蓄積し始めると思います。具体的には、LINEのトークンエコノミーや、Kikのトークンエコノミー、TRONが買収したBitTorrentなどもそうですね。スタートアップでトークンエコノミーを仕掛けるベンチャーはたくさん出てくると思いますが、まだノウハウが成熟して来ていないので難易度が高く、成功させることができるプロジェクトはかなり数が少ないと見ています。しかし、インターネットを振り返るならば、B2CのキラーアプリとなるオンラインモールのAmazonもインターネットの商用化が始まったばかりの1994年、ついで楽天が1997年、インターネットに不可欠の検索エンジンを作ったGoogleが1998年に登場していますから、卓越した起業家がこの時期に起業する可能性は十分ありうるわけです。トークンエコノミーについてはこちらで詳しく話をしています。 トークンエコノミーはリワード経済と株式経済をP2Pモデルで融合させたネットワーク効果の1つのモデル Step1-2.平行して、ブロックチェーンのインフラレイヤーの技術が成熟し始める テクノロジーは、ユーザーがいなければ発展できません。ユーザーから色々とフィードバックがあり、それらを吸収して、改良が進んでいきます。その点で、Step1-1.ですでに一定規模以上のユーザーベースを持っているアプリのトークンエコノミーの採用は、非常に貴重ということです。特に、僕が重視している技術は、かつてのビットコインがそうであったように、①個人がパソコンとインターネットがあればマイニングできるPoXモデルの確立、②それに準じるP2Pネットワークを守る上での周辺セキュリティ技術の更なる発展、③ブロックチェーン間のインターオペラビリティの3つです。是非、この3つを頭に入れて置いてください。この技術ブレイクスルーを実現していくプレイヤー達がこれから必ず出てきます。 Step2.そのノウハウと成熟した技術を元に、B2Cの本格的なトークン・エコノミーベンチャーが立ち上がってくる すると、それまでフルスクラッチで、dAppsを作るのが非常に困難であったブロックチェーン産業も技術が成熟してくることで、スタートアップが本格的にベンチャーを手がけられる素地が整ってきます。トークン・エコノミーのトライアンドエラーもノウハウが蓄積してくるため、市場性のある優れたトークンエコノミーをしっかりデザインしてくるスタートアップが多く現れてくると見ています。そして、間違いなく主戦場は、スマホ市場でしょう。投機家に依存している仮想通貨ベンチャーは衰退していくと見ています。投機家の問題点は、こちらにまとめています。 トークン・エコノミーの観点から分析するとビットコインの上昇要因は唯一マクロ経済の混乱 Step3.それらのトークンエコノミー企業群が、株式会社を捨て、NPO化を始める Step1とStep2の中から成長してきた企業の一部が、株式会社を捨てるでしょう。ESG投資やSDGsの概念の普及はその動きを後押しするでしょう。株式会社のNPO化が進むことで、我々の経済における「成長とは何か?」という基本的な定義について根本的な見直しがかかるでしょう。もちろん、イーサリウムのように初めからNPO(非営利団体)でスタートするB2Cアプリ型のブロックチェーンスタートアップも多数出てくるでしょう。ESG投資とトークンエコノミーの相関性はこちらにまとめています。 ESG投資はトークンエコノミーと相性がよい Step4.トークン・エコノミーの普及によって、組織運営の非中央集権化が進み、社畜が減る 世界で五番目に大きなウェブサイトであるWikipediaが、NPOとして、本体が100人以下で、実際のオペレーションが10,000人以上のコミュニティによってガバナンスされているように、NPO化し、トークンエコノミーを活用した企業は、組織運営の非中央集権化、かんたんに言えば、トークンエコノミーのインセンティブモデルによって、社員の仕事をユーザーにアウトソース化すること、をさらに進めて行くと見ています。これによって社畜が減ります。社会インフラになるような事業やプロジェクトを立ち上げ、軌道に乗せるのに、巨大な組織が不要になるからであり、更にNPOモデルによって未来永劫、利益の増大を追求する必要がないため、組織の永遠の肥大化を目指すことも必要なくなるからです。詳しく理解したい方は、こちらにまとめています。 仮想通貨が進化すると「社畜」が減ると確信している理由① Step5. 3と4の流れを受け、評価経済の浸透と共に、人々が徐々に貨幣経済に依存しない経済取引を始める。奉仕経済の本格化。 トークン・エコノミーの普及によって、評価経済が社会にますます浸透して行くでしょう。評価経済というのは、かんたんにいえば、会社の人事制度・昇格制度を更にシンプル化した上で、ユーザーに拡張するような世界観です。すると、我々は、日常生活の営みの中で、善意的に振る舞うことが、社会秩序を安定させる上で如何に貴重かつ重要であるかを学ぶことができることで、テクノロジーの利用を最小限に抑える形での「善意のシステム化」の萌芽をみることになるでしょう。これによって、ポスト資本主義とシンギュラリティの概念は融合をはじめ、地球全体に「奉仕経済」が拡大を始めるでしょう。我々は、1つの世界共通通貨による地球経済圏の統一ではなく、優れた奉仕経済のシステムによって、経済格差、戦争、人口爆発、環境破壊のない、優れた持続開発性を有する新たな調和のとれた政治経済社会を作り上げて行くでしょう。 しかし、この「評価経済」と「奉仕経済」の間にはキャズムが潜んでいます。これを乗り越えるブリッジをうまく作り上げないと、僕らの文明社会は間違いなく、誤ったシンギュラリティの迎え方によって、ディストピアの世界に落ちてしまうでしょう。その点はこちらにまとめています。 評価経済と奉仕経済の間に潜む信用メカニズムのキャズムとは何か? 最後に こちらのスライドは、シリコンバレーの老舗VCであるKPCBが毎年発表していたInternet Trend Reportからの抜粋です。データは、2015年のもので、アメリカのユーザーの24時間におけるインターネットへの合計消費時間(Internet + Mobile)が、全体の約50%に到達しました。インターネットは、1994年の商用化から約20年かけて、TVや新聞などのマスメディアの市場を凌駕したわけです。   はてさて、ブロックチェーンは、Step5にくるまで、我々は何年を要するのか? 2013年を開始点として、Step4までは、2028年から2030年ぐらいまでには完全に軌道にのっているとみています。最大の難関は、Step5ですね。ここを越えれば、人類の文明は、スタートレックの社会に突入です。スタートレック社会の特徴についてはこちらにまとめています。 世の中からお金をなくす方法は実はとてもシンプルという話 インターネットとのアナロジーで、時間軸の差を生むであろうポイントは、インターネットとブロックチェーンの技術発展の進み方の違いにあり、その点についてはこちらにまとめていますので、参考にしてください。 ブロックチェーンとインターネットの似ているところと違うところ