2018年、仮想通貨関連M&A過去最高額の550億円超えから読み取れる業界の未来

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2018年の仮想通貨市場は、次の成長段階に向けた市場の整理期間

Forbes社のニュースにより、北米市場における2018年の仮想通貨やブロックチェーン関連のM&Aは、過去最高の$559M(約560億円)に達したようですね。以前の最高は、2010年の$353M(355億円)でしたから、約1.6倍ということです。引っ張っているのは、やはり大型の仮想通貨取引所による、彼らの事業強化を目的とした買収で、ゴールドマンサックスから出資を受け北米最大手のOTC取引事業を行うCircleによる仮想通貨取引所Poloniexの400億円の買収や、同じく最大の仮想通貨取引所のCoinbaseによる仮想通貨を報酬対象にしたクラウドソーシングプラットフォームのEarn.comの120億円の買収などですね。その他でいうと、Blockseerが15億円買収され、Node40も15億円で買収されています。

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僕は、この動きは完全にポジティブに捉えています。2017年の仮想通貨バブルによって、大きな資金を手にしたベンチャーや、またBakktのような大型の仮想通貨ベンチャーが市場に参入してくることで、「市場の整理」が一旦進むからですね。なぜなら、ここでExitし、市場で学習した起業家などは、次のベンチャーの準備を進めていきます。

これは、インターネット・バブルの時にも同じことが起きました。eBayによるPayPalの買収なども代表例の1つですね。そのPayPalのExitから、PayPalマフィアが生まれて、Exit資金をメンバーの中から、レイド・ホフマンはLinkedinを作り、チャド・ハーリーはYoutubeを作り、ストッペルマンとラッセル・サイモンズはYelpを作りました。そして、PayPalのCEOだったピーター・ティールは、後に、Facebookへ第1投資家として5,000万を出資し、CTOだったマックス・レブチンは、SNSへのコンテンツシェアツールのSlideを作りGoogleに200億円で売却し、Yelpへ出資もしています。イーロン・ムスクは、PayPalのExit資金を元に、SpaceXとテスラ・モーターズを作るわけです。このような動きが、仮想通貨市場でも今後起きて行くと思います。

現時点の大型ベンチャーは次の成長期に生き残れるか?

ただ、僕の中で、CoinbaseやCircle、仮想通貨WalletのBlokchainなどが中長期で生き残るか?と言われると疑問符が強く残ります。なぜなら、インターネットの黎明期にも、NetscapeとYahoo!という巨大プレイヤーが登場しましたが、いずれもインターネット市場への影響力は年々低下し続けています。Netscapeはもはや存在すらなくなりました。仮想通貨市場でみるならば、今、主軸のビジネスは、基本、「仮想通貨取引所」か「ウォレット」なわけです。仮想通貨取引所は、インターネットにおけるポータルサイトのYahoo!のようなもので、ウォレットはブラウザに近いですね。Yahoo!のように優良コンテンツを全て自分たちが胴元になって仕切ろうとする動きは、間違いなくインターネットがもつ潜在的なトレンドから逆行していたので、そのトレンドを犠牲にしないプロダクトを作ったGoogleがYahoo!を駆逐したわけです。

同じことは仮想通貨取引所にも言えると思います。どの仮想通貨を上場するかを決める権利が、取引所側にあるわけですね。これでは彼らが完全に胴元になってしまいます。ブロックチェーンが本来目指している経済取引の非中央集権化は全く進歩しないですね。ですから、いわゆるDEXが間違いなく、本格実装に向けて動いていくわけです。ただ、Public DEXは今のブロックチェーンの技術レベルではまだまだハードルが高いので、まずは、Private DEXから立ち上がり、やがてPublic DEXに進化して行くでしょう。ウォレットは、Webブラウザと同じで、しっかりとした収益モデルを持つことが厳しいため、GoogleのChromeやAppleのSafariのように、他の収益源を持つ仮想通貨関連の企業が提供することになるでしょう。

「DEXとは何か?」これは、仮想通貨市場にとって、最大のテーマになると見ています。単純に、仮想通貨取引所をパブリックブロックチェーンの上で運用すれば、DEXになるのか?その方が、ネットワーク効果が得られやすく、取引の流動性を確保できるためビジネスにはなりますが、Googleなどのアナロジーから考えるとそれが答えかどうかは微妙です。僕の中でも思考整理をしているので、まとまってきたらいずれお話しようと思います。

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