日本のHuluが「happyon.jp」にURL変更の謎が完璧に解けた件

さて、前回、「コンテンツメーカーの雄」であるディズニーと「コンテンツ配信業の雄」であるネットフリックスの対立色が強まっている背景について話をしました。その中から見えてきたのは、2017年5月に流れたこの記事の「謎」です。

日本のHuluが「happyon.jp」にURL変更 なぜ?: ITMedia

僕もこのニュースがでた時に、なんか「裏がある」と思っていたのですね。

日テレは、完全に「ハズレくじ」をつかまされた

Huluの日本事業は、親会社のアメリカで2008年にサービス開始した3年後の2011年に日本で開始し、2014年2月に日本テレビが実質事業継承していますが、おそらく、ディズニーはすでにこの頃から、「ディズニープラス」を実現するための事業戦略を実行開始していたと見ています。なので、Huluがアメリカでもブランドとして消滅するカウントダウンが、2017年5月にはすでに始まっていたということです。

しかしながら、前回お話したように、メーカー側というのは売るモデルの作り方があまり上手ではありません。ありがちなのは、自分の売り場作りが下手なので、結局、いろんな「売り手」と組んでしまうというモデルです。その典型は、最近、Docomoと発表したDisney Deluxeですね。

ディズニーは2019年3月26日からDocomoとネットフリックスやHuluよりも安い価格帯のDisney DELUXE「700円」のサブスクサービスを開始していますが、記事にあるように、これはディズニープラスではないのですね。

ドコモとディズニーがサブスクサービス開始 ── dポイント経済圏の活性化なるか: Business Insider

となると、一番損しているのは、日テレですね。株主構成を見ると、まだHuluは残っています。

Hulu Japanの株主構成

ただ、ディズニープラスでディズニーが強力に推し進めているコンテンツをハピオンが提供してもらえるか?というと、すごく微妙ですね。ネットフリックスに対抗するため、ディズニーは、独自の「売り場」を手に入れるために、今回のディズニープラスを展開する戦略を立てたからです。となると、ハピオンは、日本のコンテンツだらけになってしまいます。まあ、それなら、僕はHuluは解約しますね。

僕は、ディズニーは、Appleとの連携を強化して、iTunesを「ディズニープラス」の主戦場にすることが一番良いと考えています。Appleは、スティーブ・ジョブズが残した遺産として、メーカーながら、iTunesというコンテンツEコマースとAppleのオフライン・ストアというオンラインとオフラインの両者に「独自の売り場」を持ち、しかも成功させているからです。幸いiTunesは動画ストリーミングは開始しておらず、キャリアの縛りもAppleは持たないですからね。ネットフリックスに対抗するには、これが一番効果的だと思います。ただ、すると、日本のハピオンは更に置いていかれるでしょうね。。。涙

ネットフリックスがバックについた日本のアニメ業界は幸せだと思う

そう、僕は、今回のディズニーの動きに刺激を受けて、日本のアニメ業界のスポンサーになることを決めたネットフリックスの動きは、これからのジャパニメーションを考えると、とても幸せだと思います。なぜなら、ネットフリックスは、世界に向けた「配信力」と大作を作る「資金力」があるからです。前々回にお話したAKIRAや風の谷のナウシカのアニメシリーズ化が実現しないのは、実はスポンサーがつかないのですよね。日本の出版業界に頼っていても実現は無理です。僕の友人で映画監督と脚本家がいるのですが、いつも「金が集まらない」と嘆いています。アニメは実写に比べると、はるかに「エコ」なコンテンツ制作モデルです。実写映画に比べてはるかに人手がかからないからこそ、AKIRAや風の谷のナウシカのような、作者の頭の中で作り上げられたとても独創的な世界観のアニメ大作が生まれてきたと考えています。

しかし、その生まれた優れた世界観とストーリーの作品を世界に届ける時に、いつも苦労しているのが日本です。大失敗のクールジャパンファンドもその典型ですね。日本で食えているから良いと言えば良いのですが、日本の優れた文化を世界に届けるという意味では、正直、悲しいわけですね。日本のアニメは、もっとも海外の人にみてもらうだけの本質的価値があります。ジャパニメーションが好きな海外のネットフリックスユーザーは、このネットフリックスの動きには狂喜していると思います。

もう1点、幸せなことは、ネットフリックスが、日本の出版業界の悪しき慣習である人気クリエーターに「無理やり作品を続けさせること」から、日本のアニメ業界を解放してくれることですね。鳥山明氏の「ドラゴンボール」はその典型例だと思います。人気が落ちるまで描かせますよね。また、アニメ版を見ると、所々でストーリーとは全然関係のない中間ドラマが入ります。これは最悪だと思います。クリエーター側が「燃え尽き症候群」になるまでやらせるわけです。太平洋戦争のときの「消耗戦」を連想させます。ネットフリックスを見ていると、「このドラマ、なんか、展開がマンネリ化してきたなー。」と思った頃に、シーズンが打ち切りになっていることがよくあるので、多分、その心配はないとみています。ネットフリックスの発想が、僕が、前回述べた「小売業」側の発想だからなのだと思います。「売れなければ棚から降ろす」ということです。逆に、売れなくてもクリエーターが作品を提供し続けたい場合は、Youtubeなどを活用すれば良いわけです。

1つだけ残された課題は、ネットフリックス側が、日本のアニメクリエーターの「テイスト」を尊重して作品作りをさせてくれるか?というところですね。ただ、同じ「小売業」のアマゾンプライムにおける吉本興業のお笑いコンテンツの成功を見ていると、僕は結構いい期待を持っています。この点も、また今後の展開が見えてきたら、また記事を書こうと思います。

最後に:GANTZもシリーズアニメ化して欲しい

そう言えば、ついでに思ったのは、AKIRAやナウシカ以外の最近の例でいうと、「GANTZ」のアニメシリーズ化が実現できないのも、理由は先に述べたことと同じで「資金が集まらないから」だと思います。一部のCG映画や初期のストーリーのシリーズアニメができましたが、一番面白いのは「カタストロフィ」に入ってからなので、正直、原作の展開に比べるといまいちでした。ぜひ、GANTZについても、ぜひ、ネットフリックスに原作を忠実にシリーズアニメ化してもらえると、嬉しいですね!

From Wikipedia – ガンツは巨人族(異星人)の侵略に備え、マイエルバッハの工場で量産製造された兵器のひとつであり、正式名称は単純に「ブラックボール」。この呼称はブラックボールを制御する権限を持つ、世界中の中枢組織(財閥等)に共通する。ブラックボールは日本や世界各国の各地に配備されており、玄野たち東京チームが「ガンツ」と呼んでいる黒い球体は、世界中に多数存在するブラックボールの一個体にすぎない。その未知なるテクノロジーは宇宙の彼方で巨人族の侵略を受け、これを撃退した異星人が地球に向けて発信したメッセージからもたらされたものだった。異星人のメッセージには自分達が撃退した巨人族が地球に向かっていること、およびそれに立ち向かうための兵器と転送システムの設計図が含まれていた。なお、ガンツ(ブラックボール)の中に入っている人間は全て、そのテクノロジーを地球に発信した異星人の「通訳」として、ランダムに選ばれた人間の複製(クローン)である。

この世界観が、強烈におもしろいですよね。絵のタッチが、攻殻機動隊の感じに近いので、プロダクションIGさんあたりが相性が良さそうですね! 原作を読みたくなった人はこちらです。

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