インターネットはブロックチェーンによって「国益」を超えた存在にならなければ死滅する

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ロシア政府が、国民に海外のインターネットにアクセスできない状態を作り出そうとしているようです。これは、インターネットの根幹に関わる問題を引き起こすので、記事にしておきます。

記事の要点は以下の通りです。

  • ロシア政府が、国内のISP業者に対して、ロシアのインターネット、Runet(ルネっと)の独立性の保証を求める新法案を12月に提出
  • 法案の要点は2つ。1つ目は、海外のインターネット通信を遮断するための技術を確立すること
  • 全インターネットの通信経路をロシア連邦通信局の管轄するルーティングポイントを経由するようにセットすること

WIRED.JPの元記事はこちらです。

確かに、中国は、FIREWALLを使って、AlibabaとTencentを育てた

ロシアのこの考えの中心にあるのは、間違いなく「国益」だと思います。そして、彼らが参考においているのは、間違いなく中国でしょう。中国で、FacebookやGoogleが使えないのは有名な話ですね。LINEも使えません。ですから、僕も中国に出張するときはWechatを使います。しかし、彼らは、13億人という巨大な市場も有しているので、ファイアウォールを使うことで、実は、インターネット産業については、経済的な「鎖国」環境を作りだし、その結果、Amazonに匹敵するE-Commerc事業やAliPayをもつAlibaba Groupや、2017年時点で、Facebookと同じ約10億人のアクティブユーザーベースまで到達しているWechatを育てることに成功しているわけです。今では、Bytedanceが、TikTokを生み出して、アメリカでも人気が出てますね。中国のサービスは中国人しか使わないというのが割と偏見としてあったわけですが、TikTokは、その偏見を突破しています。僕は、これは、文化的な観点ですごいことだと考えています。

そして、中国のスタートアップエコシステムも、シリコンバレーのそれと比べてほぼ同格レベルまで育っています。基本は、Tencentの元社員なども含めたExit経験のある個人投資家が、Seed Roundなどアーリーステージに投資し、その後をAlibabaやTencentなど事業会社が、SeriesA以降を投資するモデルが主流です。下記は、このブログでよく登場するベンチャー投資モデルの一般的なステージの説明です。


シリコンバレーとの違いは、アンドリーセン・ホロウィッツやコスーラなどの巨大な独立系VCの数が少ないことです。しかし、Tencentなどによる事業会社の投資モデルは、日本のCVCのようにベンチャーを囲い込むことはしてきません。また、Tencentのように時価総額40兆円の会社を育てていますから、元社員の個人投資家でも資金は、日本に比べてかなり大きいわけですね。これらの「資本蓄積」が、Tiktokなどの新しいイノベーションを生み出す土壌を作り上げたわけです。これ以外にも、シリコンバレーとの比較で、リビングコストの安さなどもあげられますが、その点はこちらにまとめていますので、参考にしてください。

https://lifeforearth.com/?p=4290

ロシアにも、国産の大きなネット企業は、検索エンジンのYANDEXやQIWIなどがありますが、中国のネット企業と異なり、海外市場展開も発展途上国が中心で先進国には勝負にこないのですね。QIWIはこのブログでも取り上げています。

https://lifeforearth.com/?p=4201

政府がインターネットに国境を作ることができるのは、サービスが「クライアントサーバーモデル」だから

インターネットの思想は、本来、政府による一切の情報統制はなく「万人に開かれたメディア」であることは誰も理解していることです。しかし、それでも政府が、インターネットに「国境」を作り出すことができるのは、なぜか?答えは「クライアントサーバーモデル」だからです。このブログに、よく登場しているこの図ですね。

左がインターネットのクライアント・サーバーモデル、右がブロックチェーンのP2Pモデル

これを、実際のインフラの話として捉えるのではなく会社の「エンタティ」として捉えると、僕の考えが見えてくると思います。結局、本社はどこにあるの?という話ですね。そして、株式組織である以上は、利益を追求する必要があり、利益の一部を税金として収める必要がある。これが、資本主義成立以来、200年以上続く、国家経済の仕組みそのものですね。もちろん、最近は、アイルランドなどタックスヘイブンを利用して、実行税率を低くするスキームをAppleやGoogleなどが当たり前のようにやっていることはよく知られた事実ですが、会社をアメリカのNYSEやNASDAQに上場していれば、その証券取引所は、アメリカの政府が監視しているので、アメリカ政府に上場廃止と言われたら、GoogleもAppleも経営が立ちいかなくなってしまう。だから、実質的にアメリカの「国益」には逆らえないわけです。

唯一突破できるのは「パブリック・ブロックチェーン」によるインフラ

一方、パブリック・ブロックチェーンはどうか?インフラ自体が、P2Pになるので、政府がコントロールしようにもやりようがないのですよ。ビットコインが証明済みですね。これが、僕は、ブロックチェーンはポスト資本主義の基盤技術になると言っている理由の1つです。有史以来2,000年以上続く、国家経済の概念から完全に切り離した新しい秩序を生み出すことができる。その上に、僕らは、争いのない戦争のない調和の取れた新しい千年紀のミレニアム時代にふさわしい新しい秩序を作り出すことができる。その点は、Orbのホワイトペーパーにまとめています。

https://lifeforearth.com/?p=3988

この萌芽は、EthereumやBinanceにすで現れていますね。特に、Binanceが特徴的でしたが、もともと中国で立ち上げようと思っていたが、中国政府が仮想通貨を全面禁止したから、最終的に、マルタを選んだ。Binanceは、すでに「国益」という概念からは完全に切り離されました。これは素晴らしいことです。僕が仮想通貨取引は、Binanceをメインで使っている理由の1つはそこです。Binanceの使い方はこちらにまとめています。

https://lifeforearth.com/?p=2394

このような動きは、トークンエコノミーのノウハウが進化すれば、ますます加速して行くでしょう。なぜなら、トークンエコノミーのノウハウにとって、資本も国家経済に依存せずにすみますし、マーケティングも、トークンエコノミーがもつ潜在価値が高いネットワーク効果によって、世界中でユーザーベースを構築していくことができるからです。その点は、こちらにまとめています。

https://lifeforearth.com/?p=3492

世界は、文化的に1つになることはできるが、政治的に1つになることはできない

ここをわかっている人がまだまだ少ないのですね。政治的に1つになろうと国連などを生み出していますが、本質的には機能していない。形骸化していると言っても良いでしょう。国連職員の暴露話など聞いているとよくわかります。最近出てきたSDGsの概念などは、僕は大学の卒論を書いていた頃から、僕がネットで出会ったインテリの人々が当たり前のように言っていたことですが、プロジェクトとして稼働させるのに18年もかかっているわけです。僕からすると「今更感」この上ないのですね。それが国連の現実です。それは、「国益の集合体」としてしか、国連が成り立っていないからなんですね。「国益」という概念を捨てなければならない。それは、トークン・エコノミーも同じです。トークン・エコノミーを新たな経済圏論として盛り上がっている人が大半ですが、正直、思考レベルが浅いのですね。今の巷で盛り上がっているトークン・エコノミーの捉え方では新たな国益論しか生まれないのです。それでは、人類は、過去の歴史の過ちから、なんの学習もしたことにはならない。

重要なことは、トークンエコノミーによって、組織の非中央集権化が進み、それを実現する過程で、「評価経済」が社会に浸透し、そして、最終的に「奉仕経済」へと至ることで、我々は、長年、文明社会の進歩を束縛してきた「貨幣経済」から脱却することができる。しかし、なんども、その未来の発明に警告しているよう「評価経済」と「奉仕経済」の間には、キャズムが潜んでおり、この溝にハマると「シンギュラリティの罠」から出られなくなり、我々の社会は、「攻殻機動隊」の世界のような社会になってしまう。その点は、こちらに詳しくまとめています。

https://lifeforearth.com/?p=4193

世界は、文化的に1つになることを目指さなくてはならない。インターネットを国境で区切るというのは、まさに、第二次世界大戦前に、日本も含めた各国が、世界恐慌の苦境を脱するために「ブロック経済圏」を作った状態と変わらないのですよ。

From Wikipedia – ブロック経済(ブロックけいざい、英語: bloc economy)とは、世界恐慌後にイギリス連邦やフランスなどの植民地又は同じ通貨圏を持つ国が、植民地を「ブロック」として、特恵関税を設定するための関税同盟を結び、第三国に対し高率関税や貿易協定などの関税障壁を張り巡らせて、或いは通商条約の破棄を行って、他のブロックへ需要が漏れ出さないようにすることで、経済保護した状態の経済体制。

そのための鍵は、「ブロックチェーン」、「英語」、そして「多様性への寛容さ」なのです。残りの2つは、多くの日本人が苦手な領域ですね。原因は、戦後の日本復興を日本の官僚が、戦中体制を維持したままやろうと戦略を立てたことが原因であり、それを支持した国民に原因があります。戦後の日本は民主主義国家ですから。その点は、こちらにまとめています。

https://lifeforearth.com/?p=3963

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