トークンエコノミーの進化によってクラウドファンディングは衰退する

クラウドファンディング市場の今後を象徴するかのような出来事が起きましたね。世界のクラウドファンディング市場を牽引してきたKickStarterの共同創業者であるペリー・チャン氏が、CEOを退任することなりました。

Kickstarter CEO Perry Chen steps down

From Wikipedia – Kickstarterは2009年4月28日にペリー・チェン、ヤンシー・ストリックラー、チャールズ・アドラーによって設立された。ニューヨーク・タイムズはKickstarterを「the people’s NEA(英語版)(→人々の国立芸術基金)」と呼び、TIME誌も「Best Inventions of 2010」と「Best Inventions of 2011」の1つに選出した。2014年、ウェビー賞を受賞。報道によればKickstarterはニューヨーク市に本社を置くベンチャー企業のユニオン・スクウェア・ベンチャーズやジャック・ドーシー、ザック・クライン、カタリーナ・フェイクといったエンジェル投資家からの資金提供で1000万ドル増資した。本社はマンハッタンのロウアー・イースト・サイドに構えている

そう、一時期は、クラウドファンディングこそ、ポスト資本主義の騎手のような扱いを受けており、Googleからも有能な人材が流れるなど、大きな社会現象までになり、僕も色々と調べていましたが、なぜか、僕が想像していた以上にクラウドファンディング市場が成長しなかったので、「これは、何かが足りてないか、根本的に間違っている」と考えていました。そして、仮想通貨とブロックチェーンの登場を持って、完全に納得がいったのですね。

理由は2つです。

  • 既存のクラウドファンディングは、新たな中央集権型の金融システムにしかなっていない
  • 投資したユーザーは、キャピタルゲインを得られない

 

クラウドファンディングは、新たな金融の中央集権システムしか生まない

Kickstarterなどは、コミュニティマネジメントにかなり力を入れているとはいえ、Kickstarter本体は、「株式会社」であり、どのディールを載せるかどうかも全てKickStarter側が判断しているので、結局、KickStarterが「新たな投資銀行」のような存在になってしまっているのですね。これでは、KickStarterが完全に胴元になっているため、本質的に、ポスト資本主義システムとは呼べないのですね。

投資したユーザーは、キャピタルゲインを得られない

たとえば、Kickstarterで新しい万能の雨傘を作るプロジェクトに投資した場合、投資額に応じて、新しい投資した額に応じて新しい傘の新品を割引で購入できるなど、多少のインセンティブは出るけど、ベンチャー投資しているにも関わらず、ベンチャーキャピタルのようなリターンを得られるわけではありません。これは、実は、「ポスト資本主義の観点からすると正しい」のですね。金利もなく、前払い式の予約型Eコマースのような性質があるため、資本家がリードする市場にならないからです。

しかしながら、ユーザーがついて来ないのですね。まだまだポスト資本主義を真剣に考える温度感が、当時の消費者にはなかったということです。真剣に考えていれば、仮想通貨のようにもっとブームになるはずですから。しかし、仮想通貨が、このブログでも繰り返している「キャピタル・ゲインの得られるアフィリエイト」として認識された瞬間、ビットコインやイーサリウム中心に大量の資金が流れ込み、ものすごいブームが発生しました。

KickStarterとの比較で言うと、KickStarterは、2009年の開始で、累計、これだけの実績を出しています。金額は過去10年間の合計で、4,300億円です。僕の予想では、世界中のクラウドファンディングの過去の累計でも、1兆円から2兆円の間とみています。

一方、仮想通貨は今日の時点でもビットコインやイーサリウムなど主力市場合計で約16兆円です。歴史ははるかに浅く、市場は低迷期に入っているのに、市場規模は、10倍以上な訳です。仮想通貨とブロックチェーンの市場は、完全にクラウドファンディングの市場を凌駕しています。

そして、この動きに機敏に反応したクラウドファンディングサイトがあります。それが、シリコンバレーに拠点を構えるIndiegogoです。

From Wikipedia – クラウドファンディングにおいてKickstarterとは双璧をなしており、自主映画、インディー・ロックや実験的な新製品のような様々な方面への投資者に資金を返済する義務の無い資金調達のサービスを提供する。後発のKickstarterでは審査が厳格であるのに対して、Indiegogoは審査基準が比較的緩く、プロビジョンポイントメカニズムと呼ばれる方式を採用するKickstarterとは異なり、調達金額が当初設定された金額に到達しなかった場合は、出資者らに資金を全額返す方法と、9%の手数料を払い、集まった額だけ受け取る方法のどちらかを選択可能で、多少のリスクは厭わない出資を呼び込み、そのためプロジェクトの成功率がKickstarterよりも低い傾向がある。2013年の時点でプロジェクト総数は、Kickstarterが約11万であるのに対してIndiegogoは約4万4000と2倍以上の開きがあり、また、Indiegogoは500ドル未満の出資金しか集められなかったプロジェクトについてはリストから外していることが判明している。

彼らは、ICOプロジェクトも2018年から積極的に扱うようになっています。KickStarterとは良い差別化になりますし、他のICOプラットフォームがユーザー獲得に苦労している中、Indiegogoは、すでに一定規模のユーザーベースを保有していますから、市場で有利に立てます。つまり、Indiegogoとしてやらない理由はどこにもない訳ですね。創業チームの素早い動きは、素晴らしいと思います。

Indiegogo’s First Security Token ICO Listing Raised $18 Million

ICOプラットフォームは、トークンエコノミーに必要なのか?

しかし、こちらのブログでもよく触れているように、トークンエコノミーは、向こう2・3年でかなり成熟してくると見ており、その中で、このキュレーションサイトとしてのクラウドファンディングサイトやICOプラットフォームが、どこまで有効に機能できるか?というが気になるところです。

https://lifeforearth.com/?p=3692

トークンエコノミーには、アフィリエイトモデルとネットワーク効果が組み込まれています。つまり、優れた設計が施されているトークンエコノミーは「自己増殖的」にユーザーベースを拡張する能力を持っています。特に、ビットコインがそうであるように、非中央集権性をその運用モデルに与えるほど(テクノロジーのみならず、オペレーションなども含めて)、自律的にコミュニティが立ち上がり、自然と普及活動を行ってくれる。イーサリウムにもこれに近い性質がありますね。

この作用が、今までのインターネットのサービスの立ち上がりとは完全に異なってきていることであり、ブロックチェーンによるトークンエコノミーの本質的な価値が内在している点であると考えています。

このモデルがしっかり機能して入れば、別にICOプラットフォームに頼らずとも、事業を立ち上げることは十分可能であり、かつ、ICOプラットフォームは使わず、直接、仮想通貨取引所にトークンを上場させることもできるわけです。

そして、これが、DEXモデルになれば、取引所のメカニズムの非中央集権性も引き上がります。この辺り、また僕の中でも、一定の仮説を持っているので、また別の機会に書こうと思います。

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