全ての人に「株価」がつく社会は間違いなくディストピア(=生き地獄)になる。なぜか?

Artwork by Jonas DeRo

愚かな思想が、また日本に蔓延する前に手を打たないといけないので、ブログにしておきます。

全ての人に「株価」がつく社会は、間違いなく「生き地獄」になる

ブログを書こうと思った背景はNewsPicksにこの記事が出ていたからです。

全ての人に「株価」がつく時代は目の前だby山口 揚平:プレジデントオンライン

記事の内容をまとめると、下記の具合です。

2020年の東京オリンピックを境として大きく変化すると考えている。以降、日本人はいくつかのコミュニティに属して行きていくようになるだろう。そして、コミュニティのアイデンティティは、そこでの言語は従来のお金ではなく価値観や信用・貢献・品位になるだろう。お金はタテ社会における言語として残るが、ヨコ社会(コミュニティ)の中では通用しなくなる。国家の貨幣はますます影響力を失う。仮想通貨はその先駆けであり、VALUに見られるよう、自分に株価をつけることで、自分の信用を自らコントロールできる時代がやってくる。その信用は評価によって決められるので、ソーシャルメディアで自分の信用が可視化され、やがて情報検索エンジンならぬ人材検索エンジンが影響力を持つ時代がやってくるだろう。

という感じです。僕は、大学生時代から「ポスト資本主義」を考え、日本の仮想通貨・ブロックチェーン業界を立ち上げた一人なので、彼の言っていることの大半は、僕がOrbでやってきたことなので、彼の記事はほとんど内容が僕らが作り上げた道を文章にしているだけの「後付け」なので、大した思想だとは全く思わないのですが、唯一引っかかったのが「自分に株価をつけることで、自分の信用を自らコントロールできる時代」と言っている点ですね。

みんなに株価がついたら、どうなるか? 終わりのない競争社会が生まれます。当たり前ですね。株価には「上限がない」からです。だから、みな際限なく上の世界を求めるようになるでしょう。いい服、いい家、いい車、いい食べ物と。しかし、地球の資源は有限です。ですから、単なる個人に株価をつけたら、今以上に富の集中が富裕層に発生するでしょう。貧困層はますます拡大するでしょう。結果、貧困層は富裕層に対する恨みを募らせ、オキュパイ・ウォール・ストリートのようなレベルではなく、実際に富裕層の命を狙うようになるでしょう。すると、富裕層は、多額の資金を一部の政治家に寄付して、政府による貧困層への監視を強めようと動くでしょう。警察力の増強です。つまるところ、ジョージ・オーウェルが「1984」で描いたビックブラザーによる社会支配というディストピアが生まれることになります。思想家と名乗るのであれば、こういう思考のシュミレーションができなければなりません。

なので、彼が言っている「お金はタテ社会における言語として残るが、ヨコ社会(コミュニティ)の中では通用しなくなる。」という主張は、論理的に破綻しているのですね。「株価もタテ社会」ですから。笑

「縁は円より強し」と、カッコイイことを言いたいならば、自分のその論理的におかしい点を気づいてないといけません。

評価経済における株価とトラストスコアは全く別物

僕は、このブログで、ブロックチェーンを使ったトークンエコノミーが普及することで、評価経済がさらに社会に進展していくことをお伝えしています。

https://lifeforearth.com/?p=3692

評価経済とは、「第3者信用機関としての政府に頼らず、民主的なメカニズムに基づいて自分で自分の信用をコントロールできる経済システム」のことを言っています。この評価経済のデザインを誤ると上のようなディストピアが生まれます。僕が言っている「評価経済」と「奉仕経済」の間に潜むキャズムがそこにあるからです。僕は、これを「シンギュラリティの罠」とも言っています。

そこで、日本だとよくVALUやタイムバンクのように、自分に上限のない株価をつける話がなぜか盛り上がるのが、僕は不思議でならないのですが、僕が言っている評価経済の基本的な考えは、AliPayやUberで使われているトラストスコアのモデルのことです。例えば、Uberのトラストスコアは、上限5.0です。つまり「キャップ」が与えられているのです。これは、「株価」とは全然違うユーザー体験をもたらします。キャップが与えられることで、まず、ユーザーは際限のないトラストスコアアップのための活動はしません。一定レベルに達したら満足しますし、あとは下がらないための努力をします。これは、AliPayやUberのスコアモデルで実際に起きていることです。

そして、もう1つ重要なことは「自分のスコア」に対する他人の評価は「主観的」であるということです。これもとても大切です。例えば、5.0じゃないと信用しないか?4.5でも信用するか?は、そのスコアをみた本人が決めることです。別に基準もルールもありません。株価とこの「明確な違い」がわからないと、大変なことになります。株価は、際限がないから「高いほど正しい」という愚かなゲームルールを生み出しますが、上限が与えられているトラストスコアには、そのゲームメカニズムが働かなくなることで、スコアに対する各ユーザーの評価は、絶対的なものではなく、相対的なものになり、過剰なトラストスコア・アップ競争は生まれないのです。食べログのスコアもそうですが、「参考」にするレベルです。

もちろん、食べログのスコアの場合、評価者自体も相対化するアルゴリズムを取りいれることで、店舗評価が、容易には5.0に達しないというゲームルールが働いていることもありますが、先ほど伝えたように、スコアに対する個人の評価は主観的なものなので、そのアルゴリズム自体が非常に重要という訳ではありません。繰り返しますが、大事なことはスコアに「上限」が与えられていることです。

これからは、「地域」、「世代」、「文化」3つの軸で人はコミュニティを選ぶ時代がくる

彼が言っている、人が複数のコミュニティに帰属する社会の実現というのは、僕がOrbで取り組んでいたことそのものなのですが、コミュニティの定義がとても曖昧なのですね。これからは、個人が「地域」、「世代」、そして「文化」の3つの軸で、自分にとって「心地よい」・「幸せ」と感じるコミュニティを選択して生きる時代が到来します。このようなコミュニティを社会学の観点からみれば、インターネットによってすでに生まれてきています。しかし、僕らは今、そのコミュニティ社会を自由に行き来することは許されていないのですね。なぜか?「国会経済があるから」です。ビザですね。パスポートが無ければ海外に自由に移動できなし、ビザがなければ移住できません。

ちなみに、金持ちはビザを買えます。例えば、法治国家であるアメリカですら、Eビザ=投資家ビザと呼ばれる種類のビザがあり、これは資本金1億円の会社をアメリカに作り、現地アシスタントを一人雇用するだけで、まず1年のビザが自動的についてきます。その後もこのビザは、現地雇用を少しずつでも伸ばすことができていたり、更に資金を投入すれば、最大5年まで延長可能です。5年までこればグリーンカード(永住権)が申請できます。このモデルは、発展途上国などでは更に条件がゆるく当たり前にできます。つまり、金持ちだけが、この国家経済の枠を自由に超えられるのです。資本主義がもたらした功罪の1つです。

そう、つまり、その実現にとって最大のハードルが「国家経済」なのですよ。本質的に自由な社会を作り上げるためには、国家経済という枠を突破するシステムが必要なのです。警察力と軍事力を国家経済が必要とする理由は、どこにあるか?1つはGDPですね。GDPは資本の量で決まります。つまり、株価と一緒なのですよ。終わりのない競争を生み出すのです。これが、僕が、Orbのホワイトペーパーの最後のまとめに、「国家や企業の枠を超えてGDPから脱却した成長指標の定義をし、普及させなければ文明社会は破滅することになるだろう」と予言している理由です。宇宙行く前に、我々の文明は滅びますね。笑

Orbのホワイトペーパーはこちらです。

https://lifeforearth.com/?p=3988

そして、この国家経済の枠を超えた、軍事力と警察力を必要としないコミュニティ経済の仕組みを整えることが、ブロックチェーンのテクノロジーとしての最大のミッションになります。お互いが信用できない、何かとトラブルになる、だから国家経済は軍事力と警察力をもつ。そして、それは抑止力としても使えるため、軍事費を維持・拡大するため、必要な税金を獲得するための際限のない経済成長をやり続ける、今の我々の社会は、有史以来、時代・時代の変化はあれど、基本、全くそこに代わりはない、つまり、ほとんど学んでこないまま、新しい千年紀であるミレニアムの時代を迎えているという現実を理解しなければならないのですね。今、真剣に取り組まれなければ、僕らの子供達は、地獄を見るのです。

メディアで盛り上がる信用経済とは、そういう観点から見ていないと、単なる机上の空論で終わるのです。今から数千年前の文明社会の黎明期にそれを作り上げることに失敗したため、今のような世の中になってしまったということです。その点は、こちらにまとめています。

https://lifeforearth.com/?p=1902

ということで、この記事を書いている「山口 揚平」や、この思想に賛同している「ホリエモン」とは、いつでも対談ウェルカムですね。「瞬殺」できます。僕は、日本が、ポスト資本主義やシンギュラリティにおいて、最重要の役割を果たすこの仮想通貨とブロックチェーンが正しい方向に発展していくように、このブログを続けていきます。

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