ディスニー・プラスは、どこまで自力で収益化をやり切れるか?

さて、Disneyの動画サブスクリプションサービス「Disney Plus」の料金体系とコンテンツラインナップが発表され、競合Netflixへの対抗戦略がよりクリアになってきました。

英語の原文はこちら

月額6.99ドルという市場最低の価格水準での市場参入

まず、料金体系は、月額6.99ドル、年額69.99ドルと業界では最安値水準です。競合のNetflixの最低ラインであるベーシックが月額8ドル、今年、9ドルに引き上げられており、もっとも人気のもう1つ上のスタンダードが月額11ドル、同じく今年13ドルに引き上げられています。Amazon Prime Videoも月額8.99ドルですから、業界最安値水準での市場参入となります。

すでに会員数が2億人に近づきつつあるNetflixが会費を上げてきている背景は、世界的に「ネットワーク効果」が働きはじめているため、価格引き上げによるユーザー離れは軽微になると予測したと見ており、更に自社の独自コンテンツのラインナップを強化していくための制作費確保が目的だと見てよいでしょう。彼らのネットワーク効果は、自社のコンテンツの量と質が上がるほど、ユーザーのNetflixへのロイヤリティ(マーケティング用語としてはエンゲージメント)が高まるため、既存のユーザーは定着化が進み、そのドラマの内容などが口コミで新規のユーザーを呼び込むというネットワーク効果です。

ネットワーク効果について理解したい人は、こちらのブログを参考にしてください。

トークンエコノミーはリワード経済と株式経済をP2Pモデルで融合させたネットワーク効果の1つのモデル

独自コンテンツは、新規タイトルは未知数。スターウォーズなど既存タイトルがどこまでユーザーを惹きつけられるかが勝負どころとみる

当然、ディズニーがこれに対抗するためには、勝負ポイントはNetflixと同じく2つになるわけです。要するに、「価格」と「独自コンテンツ」ラインナップです。価格は、業界最安値となったわけですが、独自コンテンツの方はというと、開始初年度に、25のオリジナルドラマシリーズ、10の映画、そして、Foxの買収も含めたDisneyがもつ映画とドラマの在庫から400が投入されます。この中には、当然、Disneyが買収済みのルーカスフィルムがもつ「スターウォーズ」や、同じくマーヴェルの「アイアンマン」、そして、スティーブ・ジョブズが育てたピクサーの「トイストーリー」などが含まれていなければ差別化にはなりません。スターウォーズはどうやら組み込みが確定しているようですが、他はまだ報道されていないようですね。新規のタイトルは、当然、中身を見てみなければわかりません。ユーザーに取ってみれば、Netflixの独自コンテンツラインナップがまだ貧弱だった時代は、ディズニーの独自コンテンツラインナップに対しても平等な目線で評価してくれると思いますが、今やNetflixはディズニーに匹敵するレベルの強力な独自コンテンツを持つようになってきているため、ユーザーからすると、Netflixには決して出てくることがない、でも、好きなコンテンツがディズニープラスにあることがクリアに見えてこないと、価格が安いだけでは話に乗ってこないでしょう。ですから、まずは、この既存の優良タイトル群を、最低価格の体系で投入することが、どれだけユーザーを惹きつけるか?というのが勝負所と見ています。

事業計画は、2024年までに6000万から9000万の会員獲得を達成し、黒字化を目指す

この計画を実現するために、独自コンテンツの制作に、サービス開始初年度で1000億円を投入し、2024年度までに毎年2,000億円を投入する計画のようです。Disneyの現時点での1Qあたりの純利益がおおよそ3,000億円ぐらいですから、年間の純利益の1/4弱がDisney Plusの立ち上げに投入するということになるので、上場企業としては、かなりの大勝負ですね。

From Google Finance – Disney

 

サブスクリプション経済におけるコンテンツビジネスは、視聴者が増えるほど、1コンテンツあたりの収益率はよくなっていきます。ただ、当然、ユーザーが同じコンテンツを再度みることはよほどの名作でないと起きない現象ですから、基本は、有料会員数を拡張し続け、かつ、高品質な独自コンテンツを投入し続けることで、収益性が高まっていくわけです。

引き続き、Appleとの業務提携が対Netflix戦略で最も効果をあげるとみる

以前、こちらのブログでも、コンテンツメーカーとしてのDisneyが、リテーラーとしてのNetflixに対抗していくのは、結構難しいという話をしました。そのヨミは引き続き変わらないですね。Netflixも、Disney Plusが立ち上がることを意識して、彼らが強いアニメコンテンツに対抗できるよう、日本のアニメ制作会社と業務提携も始めているわけです。

ネットフリックスには、是非、「AKIRA」と「風の谷のナウシカ」をアニメシリーズ化して欲しいと思う件

やはり、リテーラー感覚のあるプレイヤーと組むことがDisneyにとっては、彼らのもつコンテンツを進化するサブスクリプション経済に適応化させて行くには現実的と見ており、最適な組手はAppleではないかと見ています。その点は、こちらにまとめています。

株価比較でわかるディズニーがネットフリックスから離脱したがるわけ

そして、Appleは、確実にそのことを意識した動きをとっていると見ています。

AppleTV+は、名前も仕組みもディズニーへの強力なラブコール

AppleとDisneyは仲が良いのです。背景は、スティーブ・ジョブズが育てたピクサーがDisneyに買収され、しばらく彼がDisneyの社外取締役を勤めていた期間があるからです。

僕の場合も、今は、NetflixとAmazon Prime Videoの会員ですが、これにDisney PlusやApple Plusが選択肢に入ってくるとやはり、全部会員になるのはコスパが悪いですから、絞って行かないといけません。そんな時に選択肢が多すぎるのは、正直、困るんですよね。。。Amazon Primeは、コンテンツ以外のメリット(即時配達が無料)などのインセンティブがついてくるので、維持するとしても、Netflixなどについては、Disney PlusやApple Plusと比較してみて、どれか1つにしたいと考えるのが普通ではないかと思います。

ということで、Disney Plusは、この事業計画が、予定通り達成できれば、引き続き独自路線を貫くとは思いますが、厳しい場合は、Appleとの連携が強化されていくと見ています。コンテンツの世界は僕も好きですし、SteemitやD-liveなどトークンエコノミー化の流れが活発な市場なので、引き続き、このブログでも取り上げて行きたいと思います。

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追記:ディズニーが、ディズニープラスでの収益化を目指さすテーマパークで儲けるという考えがあるようですが、僕にはその「ネットワーク効果」が全く見えないので、可能性はないと見ています。かつ、コロナ危機の影響で、今後、テーマパーク事業は長期的に儲からなくなると見ているので、それがディズニー側の戦略なら、修正しないとますますNetFlixに負けることになりますね。

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