仮想通貨版YoutubeのD-Liveを運営するLino Networkを分析

最近、世界No.1 YoutuberのPewDiePie(ピューディーパイ)が、専属契約をしたことで話題を集めた仮想通貨版Youtubeである「D-Live」を運営するLino Networkについて分析をまとめました。

Lino Networkの創業メンバーは必要なスキルセットと補完関係が成立した優秀なチーム

まず、創業系チームは、みな中華系で、とても優秀です。CEOのWilsonとCTOのYihiは同じバークレーつながりで出会ったようですね。Wilsonのみエンジニア出身ではないので、事業開発系をすベて見ているようですね。Yihiは、Linkedinを見るとシリアルアントレプレナーとしての経験値が高いのですが、エンジニアリングのスキルセット的には、Instagramでのプログラマー経験や前のベンチャー時代のプロダクト内容を見ているとフロントエンドよりのようで、ブロックチェーン周りのバックエンド技術の経験がチームスキルとして不足しているので、そこをスタンフォード大のPh.D出身でインテルのリサーチサイエンティストもあったQifengを招き入れているようです。

そして、トークンエコノミーの運用には必ずと行ってよいほど、アルゴリズムベースによるユーザーのエコシステムへの貢献度に応じたインセンティブの分配モデルを最適化し続ける努力が必要なので、4番目の共同創業者として、データサイエンティストのバックグラウンドをもつZiyueを迎え入れているわけですね。やろうとしている事業内容に応じた必要なスキルセットをもつ共同創業メンバーをトップスキルレベルで揃えることができるWilsonのリクルティーティングスキルはかなりのレベルです。

確かに、これであれば、ピューディーパイと専属契約を結ぶだけの交渉ができたのも全く不思議ではないですね。

そして、 2017年の立ち上げから、2018年にプライベートトークンセールにより20億ほどの資金を調達し、今度はその資金を使って、チームを一気に拡張しています。テック系はGoogleやFacebook、テンセント出身者など優秀なメンバーを揃えています。おそらくこれらの人脈は、WilsonよりはシリアルアントレプレナーのYihi経由が多いのでしょう。シリアルアントレプレナーは僕もそうですが、常に人材とのリレーション開拓をしていますからね。

テクノロジーはCOSMOSを選択しているところがよし

彼らのLinoブロックチェーン自体んお強力なユニークさはホワイトペーパーを読む限りはありませんが、もっとも評価できるのは、僕がプラットフォーム系で一番高く評価しているCOSMOSを選択していることですね。COSMOSの発想は、Orb DLTに近く、Orb DLTを作り前に世に送り出したOrb1同様PoSに基づくマイニングモデルです。

DLiveは動画ですから、テキストメディア中心のSteemitと異なり、PoWベースで動かすと、マイニングの寡占化が起きます。なぜなら、Bitcoinの1ブロックサイズは1MB以下が条件ですが、それはシンプルトランザクションデータのみしか含まないから実装できるモデルであり、動画のような重たいファイルをPoWベースで動かすのは完全に非現実的な発想なわけですね。PoSであれば、ブロックサイズの問題による影響は小さくできますから動画ストリーミングとは相性が良いわけです。おそらく動画ファイル自体をいきなりブロックチェーンに全て載せるような無謀なことはやらないでしょう。まずは、動画のダイジェストファイルを圧縮したハッシュ値などを格納するところから始めるのでしょう。

僕は、COSMOSのアーキテクチャモデルは将来的な可能性をとても感じています。COSMOSについてはこちらにまとめています。

https://lifeforearth.com/?p=4397

また、彼らのホワイトペーパーを読んでいるところ、ところどころにCOSMOSのトークンエコノミーやガバナンスモデルからインスパイアされた設計が盛り込まれています。この点もよいと評価しています。COSMOSのソフトウェアガバナンスモデルはとても精密に設計されているからです。

動画市場から参入するGo To Market Strategyはタイミング的にもよし

まず、5Gが2020年に控えており、そこから一気に動画全盛期がやってきますから、そこにタイムラインを合わせて動いて行くのはスタートアップのGo To Market Strategyとしてはメイクセンスします。

トークンエコノミーについてはまだまだ改善の余地あり

基本的なトークンエコノミーのコンセプトは、コンテンツのクリエーターがYoutubeなどでマネタイズするに比べて圧倒的にお得な仕組みを提供し、更に一部をユーザーにも還元することで、Youtubeと差別化された動画メディアネットワークを育てて行こうとしているわけです。課題は、本体側で雇っている社員などへの人件費であり、今のところ、トークンバリューの上昇だけでその分の資金を得ていくようなモデルに見受けられますが、これはSteemitの例を見るとわかるようになかなか骨の折れる経営です。技術力では、SteemitよりLinoの方が圧倒的に上ですから、ハッキングリスクは低いと見ていますが、その技術力をどこまで内製でカバーし続けるのか、オープンソースモデルとして早い段階から開発コミュニティに権限を委ねていくのか?その場合のトークンエコノミーによるガバナンスはCOSMOSなどを参考にすると見ていますが、この辺りがまだまだ改善の余地があります。

そして、最重要な点は、僕も早速DLiveは使い始めていますが、まだネットワーク効果の設計部分が弱いかなという印象です。こいつがしっかり設計できて入れば、ピューディーパイの参画に合わせて一気にユーザーベースの拡張が可能になります。

ということで、今後もLinoとDLiveは注目株として追っていきます。また、LifeForEarthの動画も、今後は全てDLiveで展開することに決めました。こうも早く動画ネットワークのdAppsスタートアップが出てきたことは嬉しい限りです。5Gの流れを受けて、コンテンツ市場をブロックチェーン化していく動きは、テキストより動画の方が早く立ち上げるように見えてきています。

Linoのホワイトペーパーは、こちらにまとめています。

https://lifeforearth.com/?p=5627

 

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