トークンエコノミーによるイノベーションのノウハウはウィキペディアにあり

ブロックチェーン時代のイノベーションは、組織化を図らないモデル

ブロックチェーン時代に入ったにも関わらず、いまだに、株式会社を作って、社員を雇って、チームをどんどん大きくしていこうと考えている起業家は、正直、時代遅れです。なぜなら、トークンエコノミーのゴールの1つは、組織的労働から、人類を解放することがミッションだからですね。まず、その点について理解を深めたい方は、こちらのブログを参考にしてください。

https://lifeforearth.com/?p=3692

そして、この流れは、最近のAIブームと密接にリンクしています。その点は、NHKマネーワールドで取り上げられている内容を元に、僕がまとめたブログが参考になると思います。詳しくはこちらです。

https://lifeforearth.com/?p=6043

簡単に言えば、トークンエコノミーによって、ユーザーに評価経済を用いたインセンティブを提供する代わりに社員のように活動してもらうことで、サービスを運営していくというのが、ブロックチェーンの技術の延長線上に考えられていることですから、組織化を図らないプラットフォームを作り上げる動きが、この業界ではどんどん展開して行っているわけです。

一人でイノベーションが起こせるのは天才だけ

この究極形態とも言えるのは、全て一人でその仕組みを作ってしまうことですね。ブロックチェーンを生み出したビットコインは、正にそれでした。このブログでも以前から取り上げているように、僕は、ビットコインの発明者サトシナカモトは間違いなくWinnyを開発した「金子勇」氏であったと考えています。詳しくはこちらです。

https://lifeforearth.com/?p=4230

彼は、ビットコインを一人で実装仕切ったわけです。これはものすごいことです。もちろん、その後、彼はビットコインが世界的に知られる前後ぐらいに亡くなっていますから、彼が意図していない出来事もビットコインで起きてはいると思いますが、ビットコインは、完全に組織化せずに成功した初めてのビジネスソフトウェアであったと思います。なぜなら、オープンソースソフトウェアとして、リーナス・トーバルが生み出したLINUXを初め、一人の天才が生み出したソフトウェアはあるのですが、ソフトウェアガバナンスのモデルとしては、今尚「神の一手」と呼ぶのですが、開発者のリーナス・トーバルが、その仕様変更などの最終判断をすることが多いのですね。

From Wikipedia – リーナス・ベネディクト・トーバルズ(Linus Benedict Torvalds、1969年12月28日 – )はフィンランド、ヘルシンキ出身のプログラマ。Linuxカーネルを開発し、1991年に一般に公開した。その後も、公式のLinuxカーネルの最終的な調整役(もしくは優しい終身の独裁者」)を務める。アンドリュー・タネンバウムが開発したカーネルとオペレーティングシステム (OS) であるMINIXに刺激を受け、自宅のパーソナルコンピュータ上で動作可能なUNIX OSの必要性を感じ、自分の趣味の時間と自宅の設備でLinuxカーネルの初期の開発を行った。

リーナスの活動にインスパイアされたエリック・S・レイモンドがその論文「伽藍とバザール」で述べ著名となったリーナスの法則に「Given enough eyeballs, all bugs are shallow.(目玉の数さえ十分あれば、どんなバグも深刻ではない)」というものがある。深刻なバグというのは見つけづらいもののことを言うが、深刻なバグを探すのに大勢の人がいれば、どんなバグも深刻なものとはならないだろうという希望を述べたものであり、ほぼ経験則として受け入れられている。レイモンドとリーナスは、この信念を基盤にしたオープンソース思想を共有している。

ただ、オープンソースがソフトウェア業界に与えた成果は革新的で、これ自体がソフトウェアのイノベーションを加速させたと考えています。なぜなら、ソースコードが見れるからですね。天才が別の天才に刺激を与え、イノベーションが加速していくということです。ただ、あくまで、リーナスの最終判断をまだ必要とする時点で、本質的に完璧な非中央集権化を実現したソフトウェア・イノベーションではなかったわけですね。

この「完全に非中央集権的なソフトウェアイノベーション」を世界で初めて実現したのは、ビットコインであると思います。そういう意味で、ビットコインは生き残る価値があるとも言えますね。

ウィキペディアが実現した大規模な組織に頼らないイノベーション

しかし、Linuxをはじめとするオープンソースソフトウェアの世界は、プログラマの世界だけに閉じられた空間であり、プログラマ以外の人は、その世界に触れていくということはまずありません。つまるところ、一般的なユーザーは、オープンソースの何がすごいか?が分からないわけですね。

ところが、僕らがよく知っている、オープンソースソフトウェアに近いモデルのサービスがあります。それがこのブログにもよく登場するウィキペディアです。「集合知」によってオンライン百科事典を作り上げた素晴らしいイノベーションであり、インターネット上では、いまだに世界で5番目のアクセス数を誇ります。僕らの生活にとって、ウィキペディアは不可欠な存在ですよね。なぜなら、そこに森羅万象の「事実」が書かれているからです。

しかし、この「事実」には当然バグ(事実ではない嘘)があるわけです。それを、Linuxの事例で紹介したように「目玉の数さえ十分あれば、どんなバグも深刻ではない」という哲学の元、コミュニティを作り上げて、集合知で解決できる仕組みを作り上げたのです。ウィキペディアは、NPO団体になり、フルタイムの人は100人以下です。エンジニアも5人程度と言われています。そして、実際のコンテンツの作成は、誰でも可能、その品質の担保は、全世界にいる2万人と言われるボランティア・コミュニティで運用されています。このボランティアは、バーチャル組織で動いており、それは組織よりかは、ソーシャルネットワークに呼べるもので、特に役職などがあるわけでもなく自律的に動いているわけですね。

しかし、インターネット上で、ウィキペディア以外に、これだけボランティア経済が上手く機能している大規模なサイトがあるか?と言えば、答えは、「No」ですね。アマゾンのレビューも、ボランティア経済ですが、やらせの書き込みや誹謗中傷の書き込みなどがよくあります。僕が、シリコンバレーでコンテントキュレーションベンチャーのMusavyを経営していた頃に競合だったQ&AサイトのQuoraもこれとボランティア経済を機能させようとしていましたが、正直、ユーザーベースが拡張するにつれコンテンツの品質は低下して行っていました。僕は、Musavyをやりながら、「ボランティア経済には限界がある」と実感しました。

つまり、トークンエコノミーは、ボランティア経済のみでは解決仕切れないこのような問題を、評価経済+インセンティブを与えることで解決しようとしているわけです。こうすることで、組織運営の非中央集権化を進めていくことができるわけです。社畜の撲滅ですね。

先ほどのLinuxの事例など踏まえると、GAFAに対抗する非中央集権型クラウドを目指しているイーサリウムも友人が本体に何人かいるので話を聞くと、本体はウィキペディアと変わらず100人もいません。これは、彼らが、このブロックチェーンがもつ思想をきちんと貫いているからですね。

こうなっていくことで、イノベーションのモデルは、シリコンバレーが作り上げた圧倒的な資本力を武器に、組織的に経営していくモデルではなく、僕が、以前、スタートトレックの事例で紹介したように有志が募って仮想ネットワークを通じてイノベーションを起こしていく、「タダ」のモデルになっていくわけです。

なので、僕は、これからの起業家は、このモデルをもっと集中して研究していくべきだと考えています。このモデルは、トークンエコノミーによって、ウェブサービスやアプリが採用していくレベルに到達しましたが、それ以外のイノベーションの対象となる科学分野にもそのノウハウは拡大していくと考えています。

それが、正に僕が「お金がなくなる世界」で描いていることだからです。

https://lifeforearth.com/?p=1902

なんで、ブロックチェーン業界で起業を目指す起業家は、「トークンエコノミーデザイナー」であることがまず条件であると考えているのは、そういう背景からです。僕の理論は、こちらにまとめています。

https://lifeforearth.com/?p=3492

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