東証上場の裏にあった楽天モバイルに対抗するためのソフトバンク「垂直統合」戦略②

ソフトバンクが、楽天経済圏に対抗するために、Yahoo!Japanを完全子会社化しないわけ

しかしながら、ふとした疑問が残るのが、「なぜ、完全子会社化しないのか?」だと思います。僕の答えは明確で、「Yahoo!Japan経営陣のオーナーシップを尊重するため」だと思います。ここが、孫さんの経営スタイルと三木谷さんの経営スタイルの決定的に違う点でもあります。Yahoo!Japanの経営陣には、社長の川邊氏をはじめ元起業家もたくさんいるのですが、孫さんは、起業家側のオーナーシップを尊重する形で、今までソフトバンクグループを大きくしてきた「成功の方程式」のモデルがあるので、そこを尊重した上で、最大限の株式シェアを抑えるという着地点になったのだと思います。孫さんは、「群戦略」という言葉を使ってこの考え方を表現されていますね。

一方、三木谷さんの場合は、最近買収したメルカリの競合フリルもそうですが、基本、完全子会社化で、全てのリソースを手元に起きながら、オペレーションにも自分がかかわることで楽天グループを大きくしてきた「成功の方程式」のモデルがあるので、そちらの路線を行くわけです。

僕の哲学よりは、孫さんの「群戦略」の方がサステイナビリティは高いと思います。各社のオーナーシップを尊重するからです。

しかし、それでも、ソフトバンクとYahoo!Japan社のお金はまだ余るとみており、その使い道として、僕がこの展開だと意識するのは、間違いなくTポイントジャパンの連結子会社化と、可能性があるかもがLINEの連結子会社化ですね。両者とも、楽天モバイルとの5G競争を有利に進める上で重要だからです。まず、Tポイントは、楽天ポイントに対抗する上で必須のアイテムです。特に、オフライン店舗の加盟店ネットワークを抑えていることが重要です。Yahoo!Japanはオンラインビジネスの事業会社だからです。PayPayの加盟店開拓を加速させる上でのキーにもなるでしょう。Tポイントジャパンは、このブログでも取り上げていますが、長年の「中央集権型」運営モデルが原因で、加盟店離れが進んでいますから、テコ入れが必要です。そのテコ入れの仕方が重要なのですが、先にあげたようなソフトバンクが得意とする、自分たちが完全に支配しない「群戦略」アプローチは、今の加盟店にとってはポジティブに受けとめられると思います。ですから、Tポイントジャパンを50%以上の出資比率に持っていくのは必須ではないかとみています。経営体制が完全に代わりますよ、というアピールが加盟店ネットワーク側に対して必要だからですね。

https://lifeforearth.com/?p=4916

その点から、考えると、これを実現する前に、Tポイントジャパンからファミマ資本が完全離脱したのはちょっと痛かったですね。1万6,000店舗持っていますからね。競合のセブンもNanacoを持っていますし、ローソンもPonta陣営ですからね。その点については、こちらにまとめています。

https://lifeforearth.com/?p=6015

次にLINEです。今ではお年寄りも使うほどの普及率で、ID数は現時点で7,800万まできており、楽天IDと異なり、携帯番号との連動利用ですから、ほぼ被りがないので、5Gユーザーの契約者数を伸ばす上では、素晴らしい貢献をすることは間違いないと言えます。2019年5月時点で、時価総額は約9,000億円で、LINE株式の90%超を保有する親会社のNaverの時価総額が2兆2,000億円です。孫さんは、元々は朝鮮系の方ですから、韓国企業であるNaver経営陣とは心理的距離感が近いと言えます。そして、LINEを手に入れれば、楽天のViperに対抗できるわけですね。楽天は、2014年にLINEと競合するViperを約1000億円で買収しており、ここも国内利用率で、LINE、Skypeについで3位と育ってきています。グローバルでは、LINEの上を行っていますね。

From Wikipedia – Viber(バイバー)は、バイバーメディア(Viber Media)が開発したインターネット電話(VoIP)アプリケーションである。現在はバイバーメディアは楽天の子会社となっておりRakuten Viberの名称でサービスを展開。2017年8月にはユニークユーザー数は9億2000万人と発表している。

また、2014年2月には月間利用ユーザー数は1億人で、ヨーロッパのユーザーを中心に、中東・アジア・中南米などに広く展開していると報じられる。同年11月の発表によると、国別でインドのユーザー数が最大で3300万人、アメリカ合衆国の3000万人、ロシアの2800万人が続く。

モバイルマーケティングデータ研究所の「無料通話サービスの登録率及び利用実態調査(2012年2月)」では、最も利用している無料通話サービスのアプリとしてLINEやSkypeに次ぐ第3位(19.8パーセント)となった。

ですから、ソフトバンクにとっては、楽天モバイルと競争する上で、LINEが手に入るか入らないかは、5G競争で契約者数の成長率にかなりの影響を与えると考えていると思います。僕の利用感覚としても、5Gが開始してからは、各社のプロモーション合戦で、ユーザーのキャリア乗り換えも活性化すると思いますが、二年もすると、キャリア側もプロモーション予算を使い果たすので、ユーザーの乗り換えも停滞すると見ており、2020年から2022年あたりが最大の勝負 = ユーザーにとっては最大の恩恵を受けられるとき+ 今後どこの経済圏に身を置くかを決めるとき になる、と予測しています。

2つの経済圏の5G競争に、トークンエコノミーが考慮された仮想通貨取引ビジネスが加わってくるとなおよし

僕としては、ここの2社間競争に、両者ともすでに手に入れた仮想通貨取引所のビジネスも加わってくるとうれしいのですが、この辺りの展開はもうちょっと様子見ですね。Yahoo!Japanは、取引所免許を持っているビットアルゴの40%を取得していますし、楽天は、同じく取引所免許を持っている仮想通貨取引所「みんなのビットコイン」を2.65億円で完全子会社化しています。僕は、いずれ二者とも既存の国内仮想通貨取引所と決定的に違うトークンエコノミーを意識した仮想通貨取引事業を仕掛けてくると見ています。単なる仮想通貨の売買は、すでにバイナンスという圧倒的なプレイヤーがおり、なんの革新性もないことを2社とも自覚しているとみています。

という具合で、今後も、この2社の動向について継続ウォッチして行きたいと思います!

 

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