米SECが承認したシリコンバレーの起業家が立ち上げる新たな証券取引所の可能性

ロイターの報道によると、連続起業家のエリック・リース氏が既にVCなどから約20億円を調達済みの証券取引所LTSEの事業案に対して、米SECがGoサインを出したようです。

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新たな証券取引所が取り組む株式経済のイノベーション

最大の注目ポイントはここですね。LTSEは、当然、Long Term Stock Exchangeの略語なのですが、記事によると、「LTSEは、企業幹部に対する短期目標達成の報酬を廃止することで、四半期ごとの業績ではなく長期的な革新に注力するよう呼び掛けることなどが特徴。株主に株式の保有期間に応じて議決権を与える仕組みも提唱」

ということ。つまるところ、以前、このブログでも触れましたが、今のウォール街中心の株式経済は、企業の成長に寄与していないという問題認識から生まれているコンセプトの証券取引所ということですね。

トークンエコノミーはリワード経済と株式経済をP2Pモデルで融合させたネットワーク効果の1つのモデル

このブログの中で僕が紹介したのは、上場に向けて準備を進めているAirbnbの創業者でありCEOのブライアン氏の不満ですね。既存の証券取引所に上場してしますと、それを支えるウォール街は、短期の業績目標の達成しか評価してくれず、中長期の革新性を追求していくことに対しては興味を持ってくれない。

これは、僕のシリコンバレーのLinkendin, Dropbox, そしてSquareなどトップクラスのスタートアップを渡り歩いている友人と会話することにいつも話に出るのですが、やはり、上場すると一気に事業展開の速度や新たな事業の取り組みがスローダウンするのです。なぜなら、それまでの投資家はリスクマネーをベンチャーに供給してますから、そこまで細かいことは気にせず、事業を展開していける。しかし、上場すると、それらの投資家は、利益確定のため抜けてしまい、金融のことしか分からない証券アナリストたちが、株価評価を始めるわけですね。

これは、イノベーションに取り組むベンチャーからすると実にイタイ話です。連続起業家のエリック・リース氏は、まさにこの問題を解決しようとしているわけですね。

では、氏とは何者か?

エリック・リース氏は、起業家のバイブル「リーン・スタートアップ」の著者

日本ではあまり知られていないですが、僕は彼の本を読んだことがあります。「The Lean Startup」(リーン・スタートアップ)とこれは、もう起業家のバイブルの1つになっている本です。時間もお金もない起業家が、どのような最小のチーム構成でベンチャーを立ち上げいくかの哲学とノウハウをまとめたものです。とてもいい本です。MIT Media LabsのJOIさんもこの本の出版に関わっていますね。

彼は、起業家としては大きな成功を納めてはないのですが、何社かのテックスタートアップを創業し、その後、ティム・オライリーの推薦で、ハーバード大学のビジネススクールでこの本に関する講義を行うなどの活動をしています。

LTSEは、既存の証券取引所と仮想通貨取引所の中間的な立ち位置に見える

と言うのが、僕の感想です。仮想通貨取引所が扱うトークンは、まさに、LTSEの更に先を見据えたものであり、ユーザー=株主の概念でトークンエコノミーを作って行きますから、ウォール街の人々が関与する余地は最小化されている世界を目指しています。そうすることで、最近、日本でもようやく話題になってきているESG投資に代表されるよう、企業の地球環境と調和したサステイナビリティを意識した経営モデルの追求を、更に推し進めた考えなわけですね。ESG投資については、こちらにまとめています。この辺りは、国連が推進しているSDGsとも連動しているのですよ。全ては繋がっています。

ESG投資はトークンエコノミーと相性がよい

トランプ氏が2020年大統領選に勝てば、LTSEは事業としてスケールすると予測

アメリカは、仮想通貨に関する規制が、かなりまだ不透明な状況です。2017年までは、僕自身立ち上げに関わりつつ、日本が世界で一番、先進的な規制モデルを運用していたのですが、今は、フランスが先行してますね。詳しくはこちらです。

フランスが、仮想通貨・ブロックチェーン新法案「PACTE」で、業界をリードする展開へ

ただ、アメリカも、さすが多様性のある社会だけあって、2020年米大統領候補のダーク・ホースと言われる中華系アメリカ人で、民主党のアンドリュー・ヤン氏が、仮想通貨の規制に関してかなり建設的な構想を打ち出しているので、彼が最終選まで残るとまた面白い展開が予想されます。詳しくはこちらです。

アンドリュー・ヤン氏が2020年米大統領選の最終候補に残ると仮想通貨業界は間違いなく発展する

しかし、僕もそうですが、2020年にトランプは再選されると予想しています。詳しくはこちらにまとめています。

トランプ政権が中国輸入品に計55兆円の追加関税、中国政府と全面対決へ。そして、これはポスト資本主義を加速させる

その方が、ポスト資本主義が加速するからなんですが、LTSEのコンセプトは、トランプ再選であれば、仮想通貨に関しては、現行通り、根本的に規制のイノベーションが起きるとは考えにくいので、北米での事業展開に可能性が出てくるので、生き残れるのではないかと見ています。

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