マスター・オブ・スケール – Airbnb創業者兼CEO ブライアン・チェスキーのインタビュー#12

チェスキー:君が初めて新しい街に行ったら、君には、その街に到着してから24時間から48時間以内に、周りの人からウェルカムイベントをしてもらう必要があるんだ。なぜなら、着いたらまず大切なことは、近所に慣れることだから。そして、2日目から3日目までには、君が、自分の快適を感じるゾーンから自分を引っ張り出す必要が出てくる。その快適ゾーンを抜け出さない限り、その旅行は君にとって記憶に残るものにならない。その快適ゾーンを抜けたとたん、君には新しいことが起きるんだ。その瞬間、大きな転換が君の中に起きるんだ。それまでの自分は小さくなり死んでいき、そして、より素晴らしい君自身、新しいバージョンの君が生まれるんだ。

そうここそが、君が見てきた映画の世界なんだよ。主人公は、大抵、普通の世界の出身者。そして、彼らはその普通の世界を飛び出すんだ。そして、君は、新たな魔法の世界への境界線を超えていき、そこには色々な困難が起きるのだけど、彼らはそれらを残り超えていく。これが、映画の世界では、ヒーローの冒険と言うんだ。僕らは、これをAirbnbの旅行体験の中に取り入れている。僕らは社内に小さいチームを作って、過去数年、どうやってこれをスケールさせるかを考えてきた。そして、これが現在、僕らが”Airbnb Trip”と呼んでいるサービスなんだ。

ホフマン:2016年11月、ブラインは、12の街で500の旅行パッケージを提供開始しました。そして、今、彼は、Airbnbの世界が新しい方向にどうやって向かっていくのかを模索しながら、完全にスケールさせる方のマインドセットになっています。しかし、ブライアンが言ったように、彼は、今、Airbnbが大きくなったことで、そのハンドメイドの仕事をなかなかできないでいることを残念に思ってもいるのです。これは、まだ手に数えれるぐらいの規模のユーザーしか持っていない起業家にとっては、驚くべきメッセージだと思います。

チェスキー:僕は、まだ実績を出せていないたくさんの起業家に言うんだ。僕はその頃が恋しいと。確かに、会社が一気に大きくなるような実績を得ることは楽しいけど、実は、君にとっての一番大きな飛躍は、会社が小さいときに得られるものなんだ。別の言い方はするならば、プロダクトが大きくなるほど、多くの顧客がいて、その分だけのネガティブな反応もあり、システムも増え、その分だけ伝統が生まれていく。だから、プロダクトを変更していくことが難しくなっていくんだ。

君が本当に本当に小さいときほど、最大の革新的な飛躍を君は作り出すことができるんだよ。なぜなら、君はたった1週間でプロダクトを全て変更することもできる。同じことをLinkedinやAirbnbでやろうとしてごらん。組織が崩壊するから。だから、僕はいつもこう言っている。今の小さい段階の状態で、完璧なユーザー体験をデザインすること、何でユーザーの琴線に触れるか?そこを考え抜くこと。

ホフマン:そう、君がまだ小さいスタートアップなら、これは君にとってとてもいいニュースだ。今が、まさに君の人生で最大の飛躍を起こせる瞬間だから。大きな夢を持とう。そして、小さく動こう。そして、君のユーザーに情熱を注ごう。その人たちにハンドメイドのコアな体験を提供しよう。そこに魔法の体験を作り出そう。そして、その魔法的なハンドメイドの体験の中から何をスケールさせることができるか突き止めよう。レイド・ホフマンでした。聞いてくれてありがとう。

僕の感想

チェスキーさんの言う、体験をデザインすることが直感的な世界で、スケールさせることが分析的な世界と言うのは全くその通りだと思います。僕が、Orbで作り上げた藩札2.0というソリューションはまさにその前者にあたり、地方の問題をたくさん調べて、そして彼らと会って彼らの課題を聞いて、その中で、彼らが勇気を持って地方創生を楽しく取り組めるような体験作りでした。それと同時に、チェスキーが言っている、それをスケールさせた段階における、一人の旅行者に焦点を当てて、もう一度ハンドメイドの原点に変えるための頭の機転のよさは素晴らしいと思いました。(僕は、スケール段階でSBIさんに売却しました。)

これは、ブロガーやYoutuberが個人で稼ぐ世界でも十分当てはまることだと思います。自分のできることから、最高の体験をユーザーに提供する。それが、自分のエッジになっていくと言うことです。だから、他人の意見に振り回されるよりも、自分が一番愛情を注ぐことができる対象から、他の人に提供できる最高の体験は何か?と言うことについて掘り下げていく中で、きちんと自分のメディアの強みがなんであるか?もハッキリと見えてくるということです。そして、それが明確にわかったとき、あとはひたすらそこに集中してそのコンテンツをスケールさせていくことにフォーカスすると言うことですね。

また、同時に、ベンチャー業界の視点で言うと、日本では、売上や利益を生み出したベンチャーが常に称賛される傾向にあります。だから、商工リサーチの未上場企業の財務諸表にばかり関心がいく。しかし、シリコンバレーでは、世界を変えたベンチャーに称賛が与えられます。このポドキャストでは、売上や利益の話は一切出てこないことに気づいて欲しいのですね。日本のスタートアップ業界と明らかな温度差を感じます。明治日本を支えた起業家の渋沢栄一の言葉を借りれば「世の中に必要なものを作れば、売上と利益は自然とついてくる」と言うことですね。現にAirbnbは日本の競合とは桁違いの売上と利益を生み出しています。この違いも含めて、このポドキャストの内容から感じ取ってもらえればと思います。

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