セクター別のスタートアップの数を一年前と比較

次は、セクター別のスタートアップの数を一年前と比較したグラフです。

数で一番多いのは、引き続き、決済系ですね。僕が経営していたOrbも同じ決済系セクターに入ります。結論からいうと、ほとんど一旦市場から消えると思います。なぜなら、ブロックチェーンのテクノロジーが決済インフラのニーズに耐えられるほど成熟していないからです。Orb DLTがそうであったようにプライベートブロックチェーンの領域であれば、生き残れる可能性はありますが、パブリック・ブロックチェーンを使っているプレイヤーはほとんど無理でしょう。これは、Orbで4年間、真剣に戦ったので、僕にはクリアに見えています。だから、僕のポートフォリオには、決済系の暗号資産・トークンを一切組み入れていません。

テクノロジー領域では、ライトニングネットワークが大きな貢献を果たしてくれると思います。まだ検証段階ですが、2−3年後にはモノになってくるでしょう。詳しく知りたい人はこちらにまとめています。

ライトニングネットワークは新たなイノベーションを仮想通貨にもたらすか?

それだけでは、中央銀行システムやVISAやMasterなどの決済ネットワークと互角には戦えません。そこが見えていない人が多いと思います。トークンエコノミーは、中央銀行の領域も含めて、既存のインフラを超えて行こうとしているので、テクノロジー単体だけでは、やりきれない要素がいくつもあります。その点は、こちらにまとめています。

日本のキャッシュレス化において、なぜQRコード決済の普及が重要か? Vol.1

恐らく、ここで一番目に成果を出すのは、フェイスブックのリブラと見ています。Orbでの経験を踏まえると、ステーブルコインで攻めるのは当然のこと、加盟店開拓力とステーブルコインを安定させる資金力がないと決済市場で成果をあげることができないので、フェイスブックが2020年にリブラのパブリックリリース予定でいる点を踏まえると、彼らが一番はじめに成果をあげてくるとみています。リブラについては、こちらに最新動向をまとめています。

フェイスブックの「Libra」について – Orb藩札2.0との類似性

そして、彼らがライトニングネットワークのテクノロジーをリブラに組み込めば、トークンが日常決済で使える日がグッと近づきますね。この時までに、日本がQRコード決済を十分に普及しきれていれば、日本のブロックチェーン市場が再び世界から注目を集める可能性はあるでしょう。なぜなら、フェイブックが本拠のあるアメリカは、デビットカードが十分普及しているため、今からQRコード決済を普及させるのは、かなりのマーケティングコストがかかるのですね。この辺りは、僕がOrbを経営している際に、書いていた青写真の通りと言えます。しかし、Orbでの経営経験も踏まえると、Orb DLTという世界最速のプライベートブロックチェーン型COSMOSを作り切ったにも関わらず、国内の評価はイマイチで、海外の方が圧倒的に評価してくれる、このような現状を踏まえても、日本のスタートアップエコシステムには、フェイスブック・クラスのベンチャーを育てる力がまだまだ全然ないので、シリコンバレーに任せた方が良いと考えています。

幸い、日本のQRコードの統一モデルは、デジガレがリードしてくれており、デジガレは、レイド・ホフマンとも親しいJOIさんを通じて、シリコンバレーのインナーサークルと太いパイプをもつ唯一の会社なので、フェイスブックとの連携でもキーの役割を果たすと見ています。

デジガレが収束させたQRコード決済の共通化がもたらすトークン決済の未来

また、BaaSについては引き続きプレイヤーが増えていますが、正直、供給過剰気味ですね。セクター・バブルです。こんなに要らないです。恐らく、新しいPoXを開発しているなどを呼び水に資金を集めていると思いますが、しばらくは市場の中心は、PoSに落ち着くような動きが見えてきているので、ほとんどのプレイヤーは消えていくでしょう。最終的には、PoSを超えるPoXが登場することを予測していますが、まだ少し先の話になると見ています。なぜなら、トークンエコノミーも含めて考えなければならず、かなり実装難易度が高いのですね。その点は、こちらにまとめています。

PoSのマイニングモデルはトークンエコノミーと、とても相性がよいのはなぜか?

また、それ以外の全体像を見てみると、ブロックチェーン・オプティマイゼーション、ステーブルコイン、データ&ストレージ、以外のカテゴリのプロジェクト数が減っているのがわかりますね。インターネットがあらゆる産業を変えていると同様に、インターネットをP2P化したブロックチェーンが、いずれインターネット産業を置き換えていくことは当然の方向性としてあります。それは、いつもこのブログに登場する、この図をみるとわかります。

左がインターネットのクライアント・サーバーモデル、右がブロックチェーンのP2Pモデル

しかし、それでもまだ技術が発展途上なので、置き換えやすいところから置き換えていく流れになるのは当然です。立ち上げている起業家も魔法使いではないですから。笑

なので、今のブロックチェーン技術で確実に抑えられるところから市場が立ち上がっていくわけです。しかし、それは、テクノロジーを深く理解できていないと、なかなか見えてきません。なので、僕は、そのあたりの技術の進化を丁寧に追いながら、ポートフォリオ配分を変化させて行っています。

市場シェア別に見た場合のセクター比較

最後に、市場シェア別に見た場合のセクター比較です。決済系、BaaS系、銀行系、ステーブルコイン系で、時価総額の90%を占めているということですね。


そして、先に伝えている通り、決済系やBaaS系はプレイヤーが多すぎます。更に、銀行系はイノベーションの対象にはなりません。なぜなら、ブロックチェーンによって銀行は消えるべき運命にあるからですね。インターネットで、TV業界が衰退したことと同じです。ですから、全体像として言えることは、この市場全体は、去年一年は基礎固めの時期であったなと思います。下の僕のポートフォリオ戦略でいうと、


2,3,4のプレイヤーが出揃った状態という具合ですね。時価総額の規模でいうと、一番大きくなるのは、インターネットがそうであるように、間違いなく1のレイヤーですから、昨年一年の動きでは、まだ、そこが花ひらく段階にはいたっていないということが見えてきます。また、3のレイヤーについては、4のプレイヤーが発展してくるとその役割が縮小される可能性が大きいです。その点は、こちらにまとめています。COSMOSのSDKを使うと、独自ブロックチェーンを使ったアプリが結構簡単に作れてしまうのですよ。

Binance(バイナンス)のイーサリウム離脱から見えるAWSとの違い

ですから、レビューの全体像としては、僕のポートフォリオ戦略の仮説が裏付けられた印象です。やはり、きちんと技術動向を追いながら、その進化を見つつ、ポートフォリオの配分を決めていくことが、良いパフォーマンスに繋がると実感しています。僕のポートフォリオ戦略の基本的な考え方は、こちらにまとめていますので、参考にしてください。

僕の仮想通貨(暗号資産・トークン)投資のポートフォリオ戦略の基本的な考え方についてまとめ #1

しかし、この市場は、業界の中枢で動いている立場からすると常に「インターネットの倍のスピード」で進化していると実感する市場ですから、今年から来年にかけて1のレイヤーが本格的に立ち上がってくる可能性もあり、引き続き、市場の変化を注視しています。

また、このような市場関連レポートが出てきたら、所感をこちらのブログでお伝えしていこうと思います。