アマゾンの「格安SIM」参入は明らかに楽天モバイルを意識した動き

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ロイター 社の報道によると、アマゾンが、ソフトバンクグループ傘下の米Sprint社の格安SIM事業である「Boost Mobile」の買収に興味を示しているとのこと。思うところをまとめておきます。

原文(英語)はこちら

まず、間違いなく言えることは、競合である楽天グループの楽天モバイルを意識した動きということです。以前にもこのブログで触れていますが、アマゾンは、楽天を常に研究しています。1番の事例は、Amazonカードですね。今、北米でもAmazonカードホルダーが着実に増えているのですが、参考モデルは確実に楽天カードです。詳しくはこちらにまとめています。

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楽天が、モバイルキャリアに進出した背景も、このブログで触れていますが、カード事業の成長が鈍化してきている中、日本人の大半がもつスマホを軸にユーザベースの拡張を狙っているためです。詳しくはこちらにまとめています。

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アマゾンも、間違いなくそこを見抜いているはずです。しかし、日本でやるかと言えば、これはほぼ不可能ですね。なぜなら、通信事業というのは、政府の認可が必要です。日本政府も国益を守るために、通信事業を外資に許可するということはまず考えられません。ですから、外資のアマゾンが容易に手に入る代物ではありません。

しかし、アメリカは、アマゾンの本拠がありますから、当然、事業展開は可能です。ただ、いきなりキャリア事業から参入するのは、ソフトバンクや楽天を見るとわかるように、通信設備をアメリカ全体に作って行かなければいけませんから、まず不可能。時価総額が世界1位のAmazonなので、買収の選択肢もありますが、Amazonは昔から、ソフトバンクの孫さんがやるような超大型買収はあまりやりません。最大でも1,000億から2,000億規模です。となると、格安SIMの事業は、ちょうどそのぐらいの資金で購入可能なサイズになってきます。

では、なぜ、スプリントか?と言えば、これまた明らかにソフトバンクを意識していますよね。買いやすいと判断しているのでしょう。その理由は、日本で、ソフトバンクが、楽天モバイルと競合関係にあるからです。だからこそ、ソフトバンクは、IPOで得た資金を元に、Yahoo!Japanとの資本関係を強化したのですよ。詳しくはこちらです。

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孫さんがずっと粘り続けているTモバイルと合併案、これをなんとしても通したい中で、アマゾンが助け舟役を米政府に対して取ることも話して持ちかけていると観ています。と同時に、楽天との競合関係に助け舟を出すという提案もしているでしょう。

しかし、孫さんがこの話に乗るか? 正直、実績ベースで言うと、孫さんのトランプ大統領への交渉力の方が、ジェフ・ペゾスのそれを超えていると言うのが僕の評価です。なぜなら、孫さんは、買収したARMのファーウェイとの取引停止を条件に、スプリントのTモバイルとの合併案を承認してもらう交渉をやりきっている可能性があるからですね。詳しくはこちらにまとめています。

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アマゾンは、楽天銀行を意識して、銀行業への参入も検討するなど、確実にアマゾン経済圏づくりをやってきているので、今後もおもしろい展開が予想できそうです。ひょっとすると、バフェット氏が、最近、アマゾンを買い出したのは、彼がそのことに気付いたからかもしれないですね。引き続き、このブログで追っていこうと思います。

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