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信用本位制度への移行によって、世界の金融恐慌の数は劇的に増加した

ブレトン・ウッズ体制では、ゴールドが各国通貨の信用の裏付けでした。ゴールドは、1,000年以上も人が「通貨」としての価値を認めてきた存在です。ニクソン・ショックで、それから切り離された日本円やドルが、今度は、何を裏付けに自分たちの通貨の価値を決めるようになって行ったのか? 「政府の信用」です。日本政府が崩壊することはない。や、アメリカ政府が崩壊することはない。これを裏付けに通貨の価値を決めるようになったのですね。この場合、重要になってくるのは、大きな戦争をしないことです。大きな戦争をしてしまうと、国が潰れます。これが大きな通貨危機を引き起こします。現に、日本は、第二次世界大戦で、国家経済は本当に崩壊寸前まで行きました。

当時は、冷戦の真っ只中にあり、アメリカもソ連も大量の核兵器を持っていましたから、本格的な戦争をすれば、間違いなく人類滅亡です。だから、国際政治経済における基本的な暗黙のコンセンサスとして「大戦は絶対に避けよう」という考えが、どこの政治家にも政府関係者にもありました。その結果、東南アジア、アフリカ、そして東欧など、経済力の小さい国が戦場としてターゲットされたのです。残念ながら、今の僕らの政治は、血を流さすには秩序を維持できないのですね。ポルポト政権による100万の虐殺に始まり、当時の新興国は、まさに生き地獄でした。先進国の繁栄が、彼らの犠牲の元に成り立っていたことを多くの人が知る必要があります。

それが、僕が宇宙産業やバイオ産業よりもブロックチェーン産業を重視している理由なのです。詳しくはこちらにまとめています。

僕が、宇宙開発産業よりも、バイオ産業よりも、ブロックチェーン産業が人類にとって最重要だと考える理由①

そして、このミルトン・フリードマンが提唱したモデルによる変動相場制の国際金融システムも、70年代から80年代は機能していたのですが、90年代からおかしくなり始めます。金融恐慌の数が、それまでに比べて異常に増え始めたのですね。代表的なもので言うと、1989年の日本のバブル崩壊、1997年のアジア通貨危機、2000年のナスダックバブルの崩壊、そして、ビットコインを生み出すキッカケになった2008年のリーマン・ショック。これ以外にも世界中でミニバブル・ミニ金融恐慌が大量に発生しました。政府の債権不履行が連発したアルゼンチンなども良い例です。

以前、世界のヘッジファンド業界の大御所と言われるジョージ・ソロス氏の本を読んだ際に「90年以降の国際金融システムは、常にがけっぷちのような状態である。いつ奈落の底に落ちてもおかしくないようなギリギリのところをなんとか耐えているような状態」と綴っており、この言葉を鮮明に記憶しています。

代替案としての商品バスケット制

そして、平行して、「権威的な」経済学者の間で、ミルトン・フリードマンが提唱したこの「信用本位制」に変わる金融システムの模索が始まります。その中で、もっとも議論が活発な代替案の1つが、「商品バスケット制」ですね。商品市場に上場されている石油、金、小麦、オレンジジュースなどの日常生活に直結している商品の価格などをミックスしたものを通貨の信用の裏付けにすると言うことです。

僕も2000年前半にこれを随分研究しました。自然のものを裏付けることで、信用本位制の中心である政府と通貨の関係を極力切り離そうという努力です。僕が達した結論は、「トークンエコノミーの発展によって、評価経済から奉仕経済に移行していくと想定すると、通貨の信用の裏付けを求めると考えるのは、もはや時代遅れである」と判断しました。要するに、お金の役割がどんどん社会から衰退していくと考えているからです。

これは、僕が書いたOrbのホワイトペーパーを読めばわかりますが、ちょっと難しいと思うので、カジュアルにした内容ですと、この辺りが参考になります。

ブロックチェーンによるポスト資本主義の未来予想図

「評価経済」は「奉仕経済」への橋渡し的存在として必要なもの

世の中からお金をなくす方法は実はとてもシンプルという話

ビットコインは何の信用の裏付けもないが人はそれを買っている。そこにこそ、新世代の信用メカニズムのヒントがある

ただ、実際起きている出来事を踏まえると、ビットコインは、完全にそうですよね。何の裏付けもないのですよ。ビットコインを信じる人が買っている。ただ、それだけです。しかし、この事実がすごく重要で「信用の定義」が、僕らの世の中で大きく変わりつつあるということです。それまでは、何かタンジブルなもの、目に見えるもので保証してくれないと、納得行かなかった信用の世界、それはたとえば、銀行からお金を借りるときに、家を担保にするや土地を担保にするなど。または、安定性を根拠したもの。たとえば、大企業や政府など一見潰れなさそうな組織に長期間勤めている事実など。このような古い信用定義の世界は、もう崩壊が始まっていると思います。終身雇用が不可能になっているのは、その崩壊が始まっている証拠の1つですね。

新しい信用の定義は、まさに、今、ブロックチェーンの上に作られて行っています。つまるところ、それは僕の言葉では「目に見えないもの」・「安定的ではなく、ダイナミックなもの」を信用の裏付けとすると言う新しい方向性です。評価経済や奉仕経済は、ここと密接にリンクしている発想なのですね。まさに、僕がOrbで描いていたより自然の秩序に近い状態です。自然社会は、動的に秩序を維持しているからです。Orbのホワイトペーパーを読みたくなった人は、こちらです。

Orbのホワイトペーパー「Orbが目指す自然的な経済システムについて」

フェイスブックのリブラが、商品バスケット制を採用する可能性について

ですから、リブラが、商品バスケット制を採用する可能性をうんぬん議論する余地は、もちろんメディアのネタになるので、いくらでも記事は書けるのですが。笑 僕は、リブラは、評価経済の概念を取り入れたモデルを追求すべきだと考えています。ピーター・ティールが、ザッカーバーグについているので、あまり心配はしていませんが、フェイスブックのリブラが、この業界に与えるインパクトは非常に大きいので、6月18日に発表予定のホワイトペーパーの中身には、かなり期待しています。

リブラの最新動向は、こちらにまとめています。

フェイスブックの「Libra」について – Orb藩札2.0との類似性

ピーター・ティールについては、こちらの記事を参考にしてください。

シリコンバレーで絶大な影響力を持つと呼ばれる「ペイパル・マフィア」とは?