年金は当てにならないが、自力で2,000万の老後資産を作るのは「無理ゲー」な日本経済のカラクリとは #1

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最近、金融庁が、「人生100年時代においては、年金だけでは足りず、退職まで2,000万の資産形成が必要」というレポートの話がもり上がり、年金制度の崩壊を指摘する話にもつながるため、麻生財務相がレポートを受け取らない発言をするなど騒動が起きましたね。おもしろいことに今度は、ブロックチェーン業界でもよく知られているスイスのダボス会議をを主催するスイスのシンクタンク「世界経済フォーラム(WEF)」からも、同様の指摘がありました。

“WEFの報告書によると、老後に備えた蓄えは米国では約10年分、英国では約8年半分ある一方、日本では約4年半分しかない。蓄えに頼らずに生活しなければならない期間は、日本では男性で約15年、女性では約20年になる。比較対象となった先進6カ国の中で、老後の蓄えの少なさと平均寿命の長さを背景に、日本が男女ともにこの期間が最長”

原文はこちら@SmartNews

これは、政府としてはかなりイタイところです。金融庁であれば政府の管轄下ですからコントール効くでしょうが、海外のシンクタンクから指摘されたら、手の打ちようがない。

今回は、そもそも「なぜ、日本の年金制度が崩壊しているのか?」についと、たとえ「日本の株式や債権で自力で運用しても2,000万の老後資産を作るのは正直、無理ゲーである」について、国家経営のカラクリを理解すればわかるので丁寧に説明しようと思います。

 

年金制度のルーツは「姥捨山」をなくすこと

まずはここからですね。そもそも年金制度は、どのような背景から始まったのか?歴史上、本格的に強制加入させる年金制度を開始したのは19世紀後半のドイツです。その目的はなんであったかというと、社会的弱者を救うためのものですね。代表的なものは、日本で言えば、「姥捨山」(うばすてやま)です。日本では、明治以後の近代国家になる前は、これは普通に行われていました。家計が苦しい家庭において、働けなくなった年寄りや完治の見込みのない病になった年寄りを山に捨ててきたのです。

なぜ、このようなことが行われていたか?というと、当時は、年寄りは自分の産んだ子供に老後の面倒を見てもらうしか選択肢がなかったためです。だから、子供をたくさん産んだのです。子供が多い方が、老後の面倒見てもらえる確率が上がります。その中の誰かが出世してくれればいい。また、若いときから家計を助ける働き手にもなる。そして、自分のDNAを残したいという要素も含めて、単純な生存本能です。人口爆発を起こしている今のアフリカ経済や東南アジア経済がこの状況に近いです。しかしながら、たくさん産んだとしても、世話になっている子供の家計が自分が死ぬまでの面倒を見続けれくれるレベルを維持できるかどうかは確定はしていません。何らかの事情で、困窮してしまうリスクは常にある。

では、本人が、若いうちから老後の生活にどれぐらいお金がかかるから?と想定してお金を貯めていく、もしく資産を作っていくという行為は、それなりに知識や知恵が必要ですね。そのような才能を万人が持っているわけではありません。近代国家の大学でも資産運用の授業とかないですよね。ですから、政府やそれに準じる機関が、強制的に全国民に毎月の給与から一定額を納めてもらい、その資産運用を代行して、退職後に支払う。また、まとめて払うと一気に使い切ってしまう可能性もあるから本人がなくなるまで、毎月一定額を渡すという発想です。日本も明治になると同時に、この制度を本格的に導入していきました。

細かい話をすると、「働けなくなったとき」にもらうのが、年金の基本コンセプトですから、失業したときや、病気で一定期間働けなくなったとき、働き手の夫が事故でなくなって、子供の面倒と仕事を両立しなければならなくなったお母さんなど、総じて「社会的弱者」を救うために、考案された仕組みであると言うことを理解してください。

しかし、問題は、「年金の資産運用」にあるわけです。こやつが全然パフォーマンスが上がらない。これは直近の国民年金などを運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の公的年金の運用成績データです。2018年4Qは、運用金額120兆円に対して、マイナス14.8兆円と過去最悪の赤字となりました。

URL: https://bit.ly/31w6yLM

なぜ、このようなことが起きるのか? ここが、まさに今回の主題である国家経済システムの経営のカラクリと直結してくる話なのです。

つづく。

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