金融庁のICO・IEO規制を踏まえたブロックチェーンスタートアップの資本政策についての現考察 #2

Photo by Jason Leung on Unsplash

3.配当モデルは、COSMOSのモデルを否定しているので、長期保有を促すトークン設計がかなり難しくなる。

しかし、IEOする場合でも、僕の中で引っかかっているのは、この配当に関わる問題ですね。IEOするというのは、簡単に行ってしまえば、僕がよくこのブログで紹介しているベンチャーファイナンスのロードマップでいうところの、

SeriesA段階のスタートアップが、証券取引所にIPOするような世界です。つまり、東証マザーズの市場でも起きている以上の価格ボラティティがそのトークンに発生する可能性が高い。これは、既存のビットコインやイーサリウムの価格ボラティリティを見れば明らかですね。これに対抗する措置が取れないトークンエコノミーで上場すると、スタートアップも投資家もユーザーも不幸です。得するのは、短期売買を得意とする投機家だけです。

そのための有効な対策として、今、一番期待できるのは、COSMOSが作り上げているトークンエコノミーです。詳しくこちらにまとめています。

COSMOSがもたらすトークンエコノミーのイノベーション

いわゆる長期保有目的のために行うデリゲーションですね。これで年間10%以上のバリデーター報酬の分配がもらえる。このモデルを自分達のトークンエコノミーのデザインに持ち込み、金融庁から「配当」と言われたら、今のところゲームオーバーですね。COSMOSを使っているD-Liveのトークンエコノミーを見ていると、さらにこれを改良しようとしている感触はあるのですが、それでもまだブレイクスルーが起きてない段階。D-liveについてはこちらにまとめています。

世界No.1 YoutuberのPewDiePie(ピューディーパイ)が仮想通貨版YoutubeのD-Liveと専属契約する業界インパクトの大きさ

なので、ここは金融庁側にガイドラインの柔軟な運用が求められるポイントですね。正直、COSMOSのモデルを配当扱いされる場合は、ほとんど、既存の資金調達と比べた場合のメリットがない仕組みになってしまいます。

また、今回のガイドラインを受けて、メリットが得られるのは取引所です。すでにライセンスも持っている上、有望なスタートアップを自社取引所にIEOさせて、取引所のトークン価値を引き上げていく戦略をより展開しやすくなるからです。それは、こちらのバイナンスのIEO戦略についてまとめたブログをみてもらえればわかります。

バイナンスがプロダクト戦略の主軸を「裏方」に切り替えることで、この業界は更に発展する。なぜか? #2

これを踏まえると、この恩恵を受けられる仕組みを有している取引所は、今のところ、LINEのBITMAXのみですね。彼らはLINKトークンを持っているからです。詳しくはこちらを見てください。

【最新版】LINEのトークンLINKの分析 #1 – LINKの基礎とLINEのユーザーベース

LINKは、この規制によって、LINKのバリューアップを計る「ネットワーク効果」を獲得したわけです。なぜか?今、日本でゼロから立ち上げるブロックチェーンスタートアップが、現状の仮想通貨交換業のライセンスを取るなど至難の技ですから、皆、避けて通る。となるならば、IEOしか選択肢がない。IEOにおいて、スタートアップ側が期待するのは、取引所がもつアクティブユーザーベースの数である。そこにLINEの月間アクティブユーザー8,000万を母体にしたIEOマーケティングができるBITMAXでの上場は、スタートアップにとってはとても魅力。だから、有望な銘柄が、BITMAXに集まり安くなる。すると、LINKのバリューアップもしやすくなり、このバリューアップの恩恵をユーザーが受けられるようになるので、ユーザーは、国内の他の取引所よりもBITMAXを優先的に使うようになる。すると、優良銘柄のIEOをするたびに、そのIEOマーケティングの効果によって、BITMAXのユーザーが増えていき、そのユーザーのほぼ全てがLINKトークンの長期保有者になっていく。かなり強力なネットワーク効果です。

なので、僕が国内でIEOするなら、BITMAXを選びます。

ネットワーク効果について理解したい方は、こちらを参考にしてください。

トークンエコノミーはリワード経済と株式経済をP2Pモデルで融合させたネットワーク効果の1つのモデル

また、そもそも論ですが、僕は2017年から金融庁の若手官僚には、ICOやIEO共に、海外のユーザーや投資家を対象できなければ、意味がないと伝えています。それはここにまとめています。

シリコンバレーの基本戦略であるフリーミウムモデルに対抗できるのはトークンエコノミーだけである

日本の1,000兆円の預貯金が、ブロックチェーン市場に流れてくることなどまず考えられない。なぜなら、その大半を保有しているのが「団塊の世代」だからです。今の完全に崩壊している日本の年金制度を守ることに必死の世代ですね。その下の世代は年金の恩恵は全く受けられません。だから、海外のリスクマネーを取り込める仕組みでなければ、日米1:34倍のリスクマネー格差などまず埋まることがないということですね。

今後も、金融庁のガイドラインや法改正があった場合には、こちらのブログでも僕の見解をお伝えてしていこうと思います。ブロックチェーン領域での起業家やトークン投資をしている方の参考になれば幸いです!

 

関連記事