シリアス感満点の仮想通貨スタートアップのドラマ「スタートアップ」は一見の価値あり

前回は、起業について勉強できるドラマとして「シリコンバレー」を紹介しました。最近は、アメリカも含めて優秀な人材がどんどん起業していく文化が生まれてきており、その影響からか、起業関連のドラマや映画の制作がけっこう活発ですね。おそらく、フェイスブックの創業秘話を描いた映画「ソーシャルネットワーク」の成功もあったと思います。

その中で、最近、発見したのが、このアマゾンプライムで放映されているドラマ「スタートアップ」です。このドラマの最大のポイントは、起業テーマが、なんと「仮想通貨」なんですね。

それもあってか、起業の場所は、シリコンバレーではなく、ケイマン諸島などオフショアバンキングの出先金融機関の支店が複数あるマイアミです。アメリカで、もっとも金融犯罪が多い地域でよく知られています。メキシコや南米から流通してくる麻薬で稼いだマフィアやギャングの資金のマネーロンダリングが最大のビジネスと言われている場所です。

あらすじ

主人公のイジーは、マイアミに住むメキシコ系移民の家庭に生まれながらも、苦学して、スタンフォード大学のコンピューター・サイエンス学科に進学する優秀なプログラマ。しかし、そこでベンチャーの世界に触れた彼女は、自分でも起業を考えるようになり、仮想通貨市場に関心を持つ。そして、独自のマイニング・アルゴリズムを開発し、その仮想通貨を「ジェンコイン」と名付け、資金調達を始める。そこで出会った、若い銀銀行家のロナルドが彼女のアイデアに共感し、二人は会社設立に向けて本格的に動き出していく。ロナルドは、銀行からの出資が難しいと考え、同じ銀行家の父親が、裏稼業として引き受けていたマネー・ロンダリング目的で顧客から預かっていた資金を、独断で、ジェンコインに投資する。その後、父親は蒸発し、マネー・ロンダリングを依頼していた顧客の一人、現地のハイチ系ギャングの金庫係をしていたニックは、その事実を突き止め、イジーとロナルドに資金返済を迫るが、ジェンコインの話を聞いて、態度が変化。差別に苦しむハイチ人達を救えるかもしれないというその可能性に惹かれて、創業メンバーとして参画する。

という感じで、展開は、前回紹介したシリコンバレーとは、全く対照的で、常にシリアスな展開です。特に、仮想通貨を利用しようとする反社会的勢力の動きが、非常に克明に描かれていますね。仮想通貨業界で起業を考えている人にとっては、「注意」を学ぶという意味で価値があると思います。

主な登場人物は4人です。

イジー

このドラマの主人公。写真の中央から左側の女性。マイアミのメキシコ系移民の家庭に生まれ育つ、妹が一人いる姉の存在。両親とも料理がとても得意で、現地でレストランをやっていた。あるとき、お店を広げようとして銀行融資を申し込みにいくが、社会的信用がないとしてことごとく断られ、結果的に、マフィアの高利貸しに手を出してしまう。借金返済に行き詰まった結果、お店を手放すことになった過去がある。イジーは、家庭的な妹とは対照的に、そのようなメキシコ系移民の社会的ハンデを克服したいと思い、スタンフォード大のコンピューター・サイエンスの学科に進む。そこで、現地の起業の世界に惹かれ、仮想通貨市場を知る。仮想通貨を使えば、かつての自分の両親が経験したような世の中を変えられると感じた彼女は、ビットコインのマイニングをやる傍、独自の仮想通貨「ジェンコイン」の開発を行う。独自のマイニングアルゴリズムの開発に成功した彼女は、資金調達に乗り出し、投資家や金融機関に会っていく。

ニック

イジーが、訪問した金融機関の融資担当者。若手銀行家。写真の左端の男性。同じ銀行家である父親が、裏稼業で、マフィアやギャングたちのマネーロンダリングを引き受けていた。その報酬のお陰で、経済的にはとても豊かで彼もいい大学に進学でき、有名な現地銀行に就職していた。美人で性格のいい彼女にも恵まれ、その父親からは将来を有望視されていたが、自分の父親の裏稼業に対してずっと背徳感を覚えていた。その後ろめたさを払拭するため、貧困層への低金利融資を行うマイクロレンディングの起業を考えはじめていたころ、イジーの「ジェンコイン」のプレゼンを受ける。他の担当者が冷めた反応の中で、彼は強い興味を持ち、ミーティングのあと、イジーに直接連絡をとって個人出資を申し出る。しかし、彼は、その出資の資金を父親から依頼を受けたあるマネーロンダリングの資金を流用してしまう。自分たちの資金がなくなっていることに気づいた現地のハイチ系ギャングのロナルドは、彼の家に押しかける

ロナルド

マイアミに済む、ハイチ系ギャングの金庫係。写真右側の男性。冷静で戦略的。しかし、他のギャングとの銃撃戦の経験もなんどもあり、修羅場を生き抜いてきた。奥さんと子供二人の家族もおり、責任感も強い。マイアミで生き抜くためにギャングに入っているが、いつ起こるか分からない他ギャングやマフィアとの抗争がなくならない生活に終止符をうとうと考えていたとき、ニックの父親に預けていた資金が、彼の蒸発によって行方が分からなくなったことをきっかけに、「ジェンコイン」に出会う。ジェンコインが、差別や経済格差に苦しむハイチ人を救えると確信した彼は、イジーとニックに合流し、共同創業者となる。

ラスク

マイアミにあるFBI支局、金融犯罪の専門捜査官。写真中央の男性。ニックの父親のマネーロンダリングの裏稼業を突き止める。同僚が、ピンハネしていることを知りながら、ずっと頑なに避けてきたが、休みを取れない仕事のため、妻との関係が悪化してしまい、離婚を迫られる。その問題を解決するため、ニックの父親から、多額のピンハネをもらい、FBIを辞めて、妻とよりを戻そうとする。その資金を追いかける中で、ニック、イジー、ロナルドに出会う。結果的に、ニックが、父親が預かっていた裏金をジェンコインに投資したため、ピンハネをもらえなくなった彼は、執拗に彼らを追い回すようになる。

特徴的なのは、イジーやロナルドなど社会的ハンデを追った人々が、この物語の主人公なんですね。しかし、それが故のシリアス感が常にドラマの中では描かれています。しかし、実際に、ビットコインを使って、麻薬取引をしようとしてシルクロードもドラマの中に出てくるのですが、こういう世界の人々が、常に仮想通貨の市場に関わろうとしてきていることを踏まえると、このドラマを見ておくことは免疫になるので、一見の価値ありだと思います。ぜひ、観てみてください。

ドラマ・スタートアップ (字幕版) @ アマゾンプライム

また、冒頭に紹介した「シリコンバレー」に関する記事はこちらにまとめています。

起業を考えている人は絶対に見た方が良い:アマゾンプライムのHBOドラマ「シリコンバレー」

 

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