トークンエコノミー版Netflixを目指すTATATUのトークンTTUの分析 #1

 

Wannabeというスタートアップが、イーサリウムを使って約600億円のICOを実施し、トークンエコノミー版Netflixを作ろうとしているので、僕の見解をまとめておきます。プロダクト名は、「Tatatu」です。

原文(英語)はこちらです。

A Wannabe Netflix Raised $575 Million on Ethereum – Then Ditched Crypto@CoinDesk

動画コンテンツの著作権管理をブロックチェーン上に移行するという社会的な意義

まず、このプロジェクトの意義自体を理解することが大切です。例えば、現在のNetflix、AmazonPrime、もしくは音楽であればSpotifyやiTunes Musicもそうですが、著作権は全て中央集権的に管理されています。クライアント・サーバーモデルというやつですね。下記の図の左側です。

左がインターネットのクライアント・サーバーモデル、右がブロックチェーンのP2Pモデル

一方、ブロックチェーンで管理するというのは、右側のP2Pネットワークの世界です。これ自体が実現することの意義はとても大きいです。昔は、P2Pテクノロジーは、著作権をコントロールするテクノロジーを持っていなかったので、違法コンテンツだらけでした。そこにブロックチェーンが登場した。改ざん耐性を持っているブロックチェーンは、アップロードされた動画の著作権を公開ネットワークで管理し、AIと組み合わせることで悪意的なユーザーがそのコンテンツを著作権所有者に無断で、コンテンツを配信しても、すぐに検知し、すぐに削除することができます。公開ネットワークで管理されているからこその強みですね。

課題は、これをどう普及させるか?ということです。つまり、プロダクト戦略が重要です。

5Gという追い風を受けることができる点は、好評価

Tatatuのホワイトペーパーを踏まえると、様々な動画コンテンツを揃えるプラットフォームを目指しているようです。

僕は、トークンエコノミーは、はじめインターネットサービスから普及していくと考えています。一般個人がマネタイズする方法がインターネットサービスにはすでに豊富にあるからです。今はそのマネタイズは現金のみなわけですが、これがトークン化するのが、トークンエコノミーの基本です。これが、僕がよくいう「トークンエコノミーはキャピタルゲインが得られるアフィリエイトである」という所以です。この言葉の意味をもっときちんと理解したい方は、こちらのブログを参考にしてください。

これからの副業における不動の人気ワードは「#トークン稼げ」である

そして、カテゴリは、大きくメディア系とEコマース系に別れます。僕はメディア系の方が先に立ち上がると見ています。eコマース系がすぐに立ち上がらない最大の理由は、物流が絡むからですね。詳しく知りたい方はこちらを参考にしてください。

CyberMilesにみるEC市場へのブロックチェーンスタートアップの市場参入戦略について #1

そして、メディア系の今の中心は、間違いなく「動画」になりますね。2020年から、5Gの本格普及が開始するからです。5Gになれば、今の4Gの平均200倍の通信速度が使えるようになるので、動画コンテンツがスマホでかなり快適に楽しめるようになります。4G環境ですと、やはり、WiFiに頼ららないと高品質な視聴環境が手に入らなかったのが、5Gでは完全に不要になります。5Gについて、もっと詳しく知りたい人はこちらにまとめています。

5G時代になれば「家の光回線」はいらなくなる。なぜか?

そういう意味で、Tatatuが動画市場にフォーカスしているのは正しい戦略です。しかし、Netflixを目指すTatatuのプロダクト戦略には「?」マークが浮かびます。

トークンエコノミー版Youtubeよりトークンエコノミー版Netflixの方がベンチャー事業としての立ち上げリスクは高いと考える

なぜか?モデルを比較するとわかるのですが、Youtubeの場合は、個人の動画クリエーターであるYoutuberが自由にコンテンツを投稿できますよね。と同時に、トークンエコノミー版YoutubeのD-liveがやっているように、ピューディーパイなど、超有名Youtuberを連れてくることで、ユーザベースを成長させていく。D-liveについては、こちらにまとめています。

世界No.1 YoutuberのPewDiePie(ピューディーパイ)が仮想通貨版YoutubeのD-Liveと専属契約する業界インパクトの大きさ

しかし、Netflixの場合は、まず初めから自力で「ヒット作」を作る必要がある。すでにNetflixは1億7,000万人の会員を持ち、その後ろをAmazon、Apple、Disneyなどが背中を追いかけている。その点はこちらにまとめています。

ディスニー・プラスは、どこまで自力で収益化をやり切れるか?

そこにWannabeの「Tatatu」は挑まなければならない。例えば、Netflixの大ヒット作品である「ナルコス」というコロンビアの麻薬王の生涯を描いた作品がありますね。1シリーズ10話で、約50億円ほどかけて製作しています。4シリーズあるので、合計200億円ですね。Netfliもほとんど広告宣伝費をかけずにユーザー数を伸ばしているのですが、それは、「質の高いコンテンツ」を作れば、その口コミ効果でユーザーが増えることをわかっているからですね。この辺りは、テスラも同じです。彼らも広告宣伝費を全くかけていない。しかし、世の中のほとんどの人がその存在を知っているし、興味も持っている。なぜ、それが可能になるかについて、興味がある人は、こちらにまとめているので参考にしてください。

テスラのマーケティングには、なぜ、広告費用が不要なのか?-スタートアップ・マーケティングにおける常識①

Tatatuは、ICOで600億円の資金を手に入れたので、システム開発やそれ以外の経費を差し引くと、500億ぐらいは制作費に使えるとみています。すると、1作品3シリーズまで作る想定で、3作品は最低、製作は可能、うまくコストを削れれば、なんとか4作品ぐらいは狙える、という感じですね。しかし、これはD-liveと比較すると、自らのコンテンツ戦略のハードルを引き上げているように思います。Youtubeの動画は、個人でも簡単に作れるレベルでかつ面白いという基準で成り立っているからですね。Netflixは、そのワンランク上の「プロのコンテンツとはこれだ」という世界で勝負しているます。

ですから、これの勝負で、一定レベルのユーザー数まで到達しないと、収益モデルが崩れるので、プロジェクトは破綻することになります。その収益モデルも重要で、それが次のポイントです。

つづく。

トークンエコノミー版Netflixを目指すTATATUのトークンTTUの分析 #2

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