マスター・オブ・スケール – フェイスブックCOO シェリル・サンドバーグのインタビュー#12

ホフマン:マークにとって幸運だったのは、彼が、会社の経営権をしっかりと掌握していたことだ(保有株式で議決権の50%以上を持っていたこと)。よく知られたエピソードとしては、2005年にあった約75億円での買収提案を断ったし、2006年の約1500億円での買収提案も断った。このような彼のスタンスは、彼のチームがOODAループを回す上で効果的だったんだ。

サンドバーグ:彼が株主として議決権握っていたことのお陰で、私たちは長期の視点で物事を考えることができた。当時は、私たちはまだ株式を公開したばかりだった。上場後の収益は、多くの人を落胆させた。たくさんエンジニアはいたけど、収益をあげるためであれば、既存のデスクトップ広告の事業にエンジニアの多くのリソースを割くのが当然だったけど、私たちはそうしなかった。つまり、未来の収益のために目の前の収益を断念することにしたのよ。

ある日、マークと私が、恒例の定例ミーティングをやっているとき、彼が私をみてこういったの。”僕らは、これをやる”と。そして、私はこう言ったわ。”あなたのことは誰も首にできない。そして、あなたが唯一私を首にできる。あなたがやるなら、私もやるわ”と。クビのことは冗談半分の話だけど、冗談としてはかなり重要なこと。実際にそうだから。

ホフマン:このようにお互いにジョークが言い合えて、一緒に考えることができて、一緒にリスクを取ることができるリーダーシップを持ったチームは、組織自体を一体化させることができる。彼らを同じゴールに向かって走らせ、何千人という人を同じ方向性に順応させることができる。継続的に方向の修正とOODAループ、つまり、プランを作っては破壊するという行為は、このような素晴らしいスケールさせる能力をもったリーダーの元では、チームメンバーが方向感覚を失うという状態にもなりにくい。

また、一つはっきりさせておくと、君が、全ての意思決定にコンセンサスを実現する必要はない。多くの場合、社員は、大きな計画の変更には、感情的に反対してくることが多い。重要なことは、君がどうやってその議論を持つかということと、結果的にその後、何が起こるかだ。マーガレット・ヘッフェルナンは、この素晴らしい事例だ。

これこそ、効果的なリーダーシップの真骨頂と言える。君は、この手の騒々しい議論を歓迎すべきだ。しかし、常に君はチーム全員が理解し、同じゴールを目指すように努めなければならない。これが、ある意味、議論とは対立的な関係にあるポイントだ。

スケールさせる世界において、リーダーは、全てのプランを作っては壊すことを常に準備しておかなければならない。それが当たり前のルールなんだ。しかし、一つだけ壊せないものがある。それだけは、常に一定でなくてはならない。それは何か?会社のミッションだ。それは、社員にとっては北極星のような存在だ。Linkedinの場合は、”Connecting People with Opportunities”。Airbnbの場合は、”Belong anywhere”。そして、フェイスブックは、”Connect the world”だ。

サンドバーグ:リーダーシップにおいて大切なことは、メンバーがあなたに情熱的に従うこと。彼らが、あなたのために働く想いがあるなら、彼らは、すべきことをするわ。しかし、それはあなたが望んでいることではない。あなたが望んでいることはミッションに沿って行動して欲しいということ。あなたに合わせて行進するようなことではなく、目的地はあそこだ。できる限りにあそこに早くたどりついてくれと。あなたは、そのミッションをなんども繰り返し伝え、あなたの目的と価値観を常にケアする。だから、ミーティングのはじめにいつも話をする。これがフェイスブックのミッション、これがインスタグラムのミッション、そして、なぜ、WhatsAppが存在するか?など。なんどもそれを繰り返すことで、チームメンバーの心の奥底に浸透していく。自分たちは、どこに向かっているて、なぜ、そこに行こうとしているのかということを。

ホフマン:このミッションの連呼は、超重要だ。全てのスケールさせることに長けたリーダーにこれは共通している。これは僕にとっても学びだったんだけど、僕は、はじめ、自分たちのミッションステートメントや、価値観などを壁にポスターのように貼ったりするのが好きではなかった。ファシストのマーケティング方法のように思えたからなんだよね。でも、その考えは保守的だったってことがわかった。

シリコンバレーでも、実に自由に仕事ができる会社の中にも、これと同じポスターを君は見つけることができるよ。それらの会社は、彼らの社員に、最高の仕事の自由度を与えている。しかし、そこには必ず壁紙にミッションステートメントが書かれている。つまるところ、それは、書かれてはいないことだけど、こういう意味があるんだ。”行き方は任せるから、とにかく、そこにたどり着け”と。

レイド・ホフマンでした。ご静聴ありがとうございました。

僕の所感:

マークのリクルーティング能力は、シリコンバレーでも随一なのだと、このシェリルのエピソードを聞いて実感しました。特に、彼女が、政府系の仕事から、シリコンバレーの高速に成長しているGoogleの仕事環境に適応したその地頭のよさもそうなのですが、彼女が、マークが望んでいる会社運営方法とぴったりの感性を持っていたことですね。これだけ、コアでシンクロしているNo.2を見つけるのは至難の技ですから、その点でマークのリクルーティング能力は圧倒的に高いと思います。

成長するスタートアップは、リクルーティング力がとにかく高いです。その会社のリクルーティング能力は、CEOのリクルーティング能力でほぼ決まります。CEOが連れてこれる以上の人材を下のチームメンバーが連れこれることはほぼゼロです。だから、CEOのリクルーティング能力が突き抜けている必要があるんですね。僕が経営していたOrbは、シリコンバレーのトップクラスのテックスタートアップのチームと遜色ないレベルまで人材水準を持って行っていましたが、そのおかげでOrb DLTという非常に優れたソフトウェアを作ることができました。その意味で、起業家を目指している人は、徹底的にリクルーティング力を鍛えることをオススメします。

そのためには、自分をよく知ることですね。自分が何が得意で何が不得意なのか?だから、今のはこういう人材が必要で、会社がここまで成長したら今度はこういう人材が必要だ。などなど、考えながら、常に候補者を開拓していく。それがスタートアップリクルーティングの世界です。人材紹介会社に頼っている限りは、一流のチームは作れません。

そして、このマークとシェリルのコンビネーションであれば、リブラをやり切れると確信しました。リブラについてはこちらにまとめています。

フェイスブックの「Libra」について – Orb藩札2.0との類似性

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