マスター・オブ・スケール – Google前CEO エリック・シュミットのインタビュー#6

ホフマン:エリックが、いかにこのカオスの中から生まれた成功に呆然したかに注目して欲しい。彼は、その成功を”奇跡”だと言った。この組織の中から生まれてくる奇跡を自分に引き寄せるには、君は、そのアイデアがどこから来るものなのか?について理解しなければならない。それは個人からだけでなく、その個人の周りのネットワークからもやってくる。つまるところ、これは、イノベーションに関するよく知られた通説の真逆を行くものだ。僕らは、おうおうにして、英雄伝的なイノベーションの話をすることが多い。

つまり、誰か一人の天才、それは創業者であり、クリエーターであり、彼が素晴らしいアイデアを持っていて、全員が、そのアイデアを実行する。そして、全員また、彼の別のアイデアを待つ。

しかし、それはイノベーションにとって間違ったストーリーだ。これは、少なくとも二つの話に分解できる。まず第1に、何人かの人が、他の人に比べてアイデア作りを得意としていることはその通りである一方、だいたいいつも世界で、彼も含めて何人かが、彼と同じアイデアを考えていることが多い。そして、その中で、最高のアイデアは、そのうちの89番目の人が手にするかもしれない。そして、君は、そのアイデアがどこからやってくるものなのか、予想ができない。

2番目は、完璧なアイデアを仕上げるということはごく稀であるということだ。たとえば、古代ギリシャ神話で、ゼウスが自分の息からアテネを生み出したようなことはね。いい直感をいいアイデアに変えるためには、君は、たくさんの賢い人々とそれについて話をして、彼らにフィードバックと批判を頼むことだ。だから、そのアイデアを改良するために、会社の中と外の両方にそういうネットワークを持つことが、成功の秘訣だ。

5つのテック企業のCEOを勤めたことがあるマーガレット・ヘッファーナンは、この点について、素晴らしい経験を持っている。その話をしてもらおう。

ヘッファーナン:私たちが、提供しているソフトウェアに、ある特定の問題があって、それをロードバランシング問題(複数のサーバーを同時に動かす際の負荷分散の問題)と呼んでいたわ。それはただただ処理パワーが異常にかかり過ぎていたの。お客さんが増えるほど、この問題が、深刻になる。当然、このことはみんな知っていたわ。

ある金曜日に、マーケティングチームのメンバーが私のところに来て、”当然、私はエンジニアじゃないけど、こういうアイデアがあるの。”というので、CTOのハリーを呼んで、”ハリー、このアイデアどう思う?”と。彼はしばらく考え込んでから、”たぶん、できると思うよ”と。その瞬間は、本当にスリリングな体験だった。なんか、崖っぷちで命を救われたような感じ。しかし、同時に思ったのは、私たちの組織が、タテ割りで、互いの問題を共有するという文化がなかったら、こんなことは起きなかっただろうということ。みんながこの問題を知っていたから解決することができたのよ。

ホフマン:マーガレットは正しい。アイデアは、組織の中での特定の人の独占物じゃない。特に、君が何千人もの創造力のある人材を雇っているならなおさらだ。

リーダーとして、等しく重要であると理解しておくべきことは、君自身が、全てのいいアイデアの大本ではないということだ。僕の友人で、Zyngaの共同創業者のマーク・ピンカスは、この点を辛い想いをして学んだ。Zyngaは、ゲームをソーシャルネットワークと融合させたパイオニアだ。彼は、Zyngaを立ち上げる前は、Tribeという、SNS黎明期のソーシャルネットワークの一つを作っていた。そのときのストーリーを彼に話をしてもらおう。

つづく。

マスター・オブ・スケール – Google前CEO エリック・シュミットのインタビュー#7

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