COSMOSのATOMをインフレ型から供給制限型のトークンエコノミーにするための改良案

最近、PoSでどうにか、供給制限型のトークンエコノミーを作れないか考えていたのですが、COSMOSで、実現できそうな案が出てきたので考えをまとめておきます。

供給制限型トークンエコノミーの重要性

全ては、「経済格差」を無くすためです。それがブロックチェーンのミッションです。今、多くのトークンエコノミーを作り上げようとしている仮想通貨・暗号資産プロジェクトは、インフレモデルで運営されています。インフレは、確実に経済格差を生みます。もともと、ビットコインの着想は、完全P2P型の金融インフラを作り、かつ、そこに流通する通貨ないしは資産も、供給制限をかけることで、中央銀行が無尽蔵にお金を刷ることで金融恐慌を繰り返していることを防ぐために作られたソフトウェアなわけです。

この点は、国家経済システムに変わる、ブロックチェーン上の新たな経済システムが解決すべき3つ目の課題として、こちらのブログに詳しくまとめています。

トークンエコノミーの経済システムと国家経済システムの根本的な4つの違い #2

それからすると、イーサリウムのETHや、COSMOSのATOMやBinanceのBNBなど、他の主要なトークンエコノミーが、インフレモデルのままであり続けると、既存の法定通貨システムの本質的な問題解決にはなっていかないわけですね。これは問題です。

しかし、ビットコイン同様の供給制限モデルで運用できれば、ずいぶんとマシになります。本当は、自然減価モデルが良いのですが、多くの人が、自分の資産が減り続けることに反発してなかなか実現しないでしょう。

参考になるのはバイナンスのBNBの定期バーンモデル

よく知られていますが、バイナンスは、定期的にBNBトークンをバーンしてますね。つい最近も8回目のバーンが実施されました。

URL:https://bit.ly/2XOAsbe

ただ、BNBトークンの場合の現時点での課題は「中央集権制の排除とAIによる自動化」です。僕もOrbを経営している際に、電子藩札(地域通貨)を発行時点では日本円に比べてよりインセンティブを与えるインフレモデルを取りながらも、一定期間流通した後は、自然減価率を適用し、市場でのトランザクションデータを元にAIで自動的に減価償却インフレが起きないよう最適化するモデルを考えていたのですが、その応用ですね。

今、BNBのバーンは、バイナンスのチームがその量とタイミングを決めているし、やり方も手動です。ですから、非中央集権的にAIで自動化するモデルを、COSMOSで実現できるラフなアイデアを考えました。

非中央集権的に適量バーンをATOMで実現するために

まず、ATOMは、COSMOSのバリーデーター達が、ビットコインやイーサリウムと同じマイニングをCOSMOS HUBのブロックチェーンに対して行うことで報酬がもらえます。ただ、供給制限ではないので、ATOMの供給量はずっと右肩上がりです。年率7%から20%の間の数字で、増えて行きます。つまり、インフレモデルです。この間の変動率が、どのような要因で変化するかは、こちらにまとめているので参考にしててください。

COSMOSのトークンATOMのデリゲーションにおけるリワード率の変動要因について #1

バイナンスも今、バイナンスの中央集権型の取引所システムをCOSMOS HUBと接続している非中央集権型のBinance Chainに移行しているわけですが、決定的な違いは、そのブロックチェーンの管理者ですね。バイナンスのBinance Chainのバリデーターはまだ分散化されていません。全て、バイナンスが面倒をみています。

一方、COSMOSの中核チェーンであるCOSMOS HUBは、現時点で100社のバリーデーターが面倒をみています。10年後には300社まで増える計画です。分散型のネットワークを目指していますから、この計画は当然です。

そして、バリデーターによるブロックの更新のたびにATOMが報酬としてもらえます。しかし、バイナンスと違い、ATOMはBNBのように大半をバイナンスが持っているわけではないのですね。その100社のバリデーターと、そして、そこにバイナンスなどの取引所でATOMを買った投資家が、デリゲーターとしてCOSMOSのバリデーターに委託しています。そして、デリゲーターは報酬をもらう。

このデリーゲーターが預ける行為は、ATOMの投機性を減らす上で重要です。投機に流通する量が減るからですね。ですから、その点から、デリーゲーターへの報酬は現状のルールを維持した方が望ましい。となると、バーンすべきは、バリーデーター達が得る報酬が理想になります。しかし、ここは、Binance Chainと違い、100社に分散化されています。中から「ビザンチン将軍」(裏切り者)が出てくるかもしれない。

COSMOSバリデーターにおける自動的なバーンモデルについて

まず、以下のような着想のアルゴリズムを作ります。

ATOMの現在価格と、COSMOS Networkの全体の運用コストを元に、1CPU単位の利益率を換算し、その一部のATOMを定期的に各バリーデーターが自動的にバーンする

ブロックチェーン産業の成長と共にまたCOSMOSのソフトウェアの利用ユーザーが増えるほど、ATOMの価値が上昇していくことは容易に想像がつくことです。そして、COSMOSのコンセンサスアルゴリズムであるTindermintはPoSベースですから、ビットコインのPoWと違い、専用のマイニングマシンの開発競争は不要です。この点が結構重要です。市販されている1台100万円ぐらいのサーバーでマイニングが続けられます。

なので、各バリーデーターは、互いに利益を競い合うインセンティブは、ビットコインのマイニングに比べるとあまりないのですね。お互いがある程度、公平に儲かればいい。他に比べて抜きん出る方法は、デリゲーターからもらうことができるコミッションの手数料をゼロにすることぐらいです。

であるから、価格上昇と共に、各バリーデーターの利益率は単純によくなっていきますから、投機性を下げるためデリゲーターへのインセンティブは維持しつつ、バリーデーター報酬のATOMの一部を、定期的にバーンする共通のアルゴリズムを作り、全バリーデーターがその同じアルゴリズムを使えば、いいわけです。もちろん、そのアルゴリズムでのバーンレートの運用結果は、パブリックブロックチェーンに公開します。できれば使っているマシンのスペックから毎月の電気代もブロックチェーンに公開してもよいぐらいですね。笑

そうすれば、お互いに利益率をある程度踏まえて、そのアルゴリズムをチューニングできます。ですから、逆に、仮にデータ捏造をしていることが発覚した場合、そのバリーデータは、いわゆるスラッシングのペナルティを受け、報酬として得たATOMをバーンとは別に相当失うということになる。

こうなってくると、Polkadotが組み入れを計画している「フィッシャーマン」というバリーデーターの悪意的行為を検知することを本業にするステイクホルダーがいた方がよいかもしれません。

このモデルを採用することで、ATOMの市場流通量が、前期比や前年比で、インフレを起こさないようにAIでコントロールする仕組みがあれば、PoSモデルでも供給制限型のトークンエコノミーを作って行けると考えています。

また、このモデルは、B2Cのブロックチェーンアプリケーションでも応用できると思います。まずは、この業界の様々なプラットフォームやアプリは、供給制限型のトークンエコノミーを作り切ることにフォーカスすべきだと考えています。その方が、この市場に日本円やドルなど、法定通貨の資金が流れ込み易くなり、かつ、この新しい経済システムからインフレをなくすことで経済格差を和らげる効果が得られるので、理想的な成長トレンドに入っていくと考えています。

これが実現できれば、あとの問題は、信用格差の問題に集約されていくので、ブロックチェーン産業は素晴らしい成長段階へと入って行きますね。信用格差の解消は、非中央集権的な評価経済がカギですが、その点はこちらにまとめています。

情報格差の解消 + 信用格差の解消 = 経済格差の解消 → 奉仕経済の普及とは?#1

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