【初心者向け】ビットコインとリブラの比較 #1

ビットコインとリブラの比較について、僕の考え方をまとめました。参考にしてください。

ステーブルコインVSデジタルゴールド

最重要の比較項目はここになると見ています。人によっては、リブラがビットコインのポジションを奪うと考えている人もいると思いますが、僕は全くそうは考えてはいないです。リブラとビットコインでは、役割が全く異なると考えています。

ビットコインは、生まれた当初は、「世界共通通貨」になると主張する人が多かったのですが、当初から僕は全くそうは考えておらず、ブロックチェーン上に作り出す新しい経済システムの「信用ハブ」になると考えています。これは、実は、1972年のニクソン・ショックによって、世界の通貨システムが、金を通貨発行の信用の裏付けとする金本位制から離脱し、国家経済力を信用の裏付けとするマネタリズム、別の言い方をするならば「信用本位制」に移行したことが歴史的に重要だったと考えています。

ニクソン・ショックが、人々の通貨に対する信用の価値観が、180度変わるキッカケを与えたからですね。それまでは、たとえアメリカのドルがダメになったとしても、彼らが連邦準備銀行に保管している金と交換してもらえるから、ドルを保有し続けることは特に心配ないと考えていました。この金本位制のままで2010年のビットコイン誕生を迎えていたら、世の中の多くの人が、今のようにビットコインに価値があるとは考えなかったでしょう。日本円やドルの信用が、裏で金の価格に支えられていたからですね。しかし、ニクソン・ショックによって、その保証はなくなりました。その通貨を信用するかしないかは、国家経済を信用するかしないかというゲームルールに変わったからです。この点は、最近、FRBのバーナンキ議長が大変興味深いコメントをしており、詳しくは、こちらにまとめています。

FRBパウエル議長とトランプ大統領の発言から読み取く基軸通貨ドルの放棄とビットコインの台頭 #1

そして、その国家の信用自体が、2008年のリーマン・ショックによって大きく揺らぎました。国家を盲信することのリスクを多くの人が理解したわけです。そこにビットコインが登場した。ビットコインの信用は国家が発行する通貨に対する「相対的な存在」です。

国家の通貨や資産(株式や債権など)が信用できないから、国家の信用に依存しない通貨を信用する。それがビットコインのもつ信用です。しかし、ビットコインは、通貨としての汎用性よりも、資産としての保全価値の方を人はより重視しています。理由の一つは、「供給制限」があるからです。日本円やドルは、日本経済やアメリカ経済のGDPを毎年増加させるために、通貨の発行量を継続的に増やす、つまり、インフレさせる必要があります。一方、ビットコインにはそれがありません。

2100万以上発行されない。これは単純に考えれば、通貨として日常生活に使うよりも、インフレに対する耐性を持った資産として保有した方がメリットがあります。そして、ビットコインは、作者不明でかつ、P2Pネットワークで完全に自律的に動いているため、政府の管理下におくことが実質、不可能な存在なのですね。ビットコインのマイニングは世界のどこで行うことができるという点が最大の強みです。

一方、リブラは、このようなビットコインの性質は全く持ち合わせていません。マイニングに相当するバリーデーションは、リブラ協会の会員企業して参加できないため、ネットワークが完全にパーミッションレスではなく、パーミッション型です。そうであっても、リブラがパーミッション型からスタートしている理由は、彼らのトークンがステーブルコインだから、言い換えるならば、「決済通貨」を目指しているからですね。基軸通貨のドルと同じように日常決済として使えるところを強みにしようとしている。この場合は、ビットコインの1秒間7件という処理能力では全く追いつかず、最低でも秒間5,000件ぐらいは処理できるソフトウェアが必要。すると、パーミッションレス型では、今の技術では無理なので、パーミション型を選ぶわけです。それと同時に、ビットコインだけでなく、イーサリウムや他のどのプロジェクトもこのような事業展開を行っていない点は、彼らの強みではあります。

この点から、リブラは、ビットコインのように資産価値には、今のところ重きを置いていない。また、リブラは、開始時点では発行高は1,000億円(パートナー企業1社につき10億円の出資で、開始時に100名のパートナー企業を揃える動きを取っているため)ですが、リブラでの報酬受け取りを選択するユーザーが増えると、リブラの発行高がその分、増えていくので、この1,000億円の準備金に相当する資金は発行増が起きる度に増えます。つまり、インフレ型なのですね。

また、信用という視点で言えば、裏付け資産を持っていますから、リブラそのものに対する信用は必要ではなく、管理団体であるリブラ協会が、彼らの団体が登記し、登録している銀行口座に、発行高分の準備金を常に保持しているかが信用の対象になります。ここもビットコインと違う点です。ビットコインの信用の裏付けは、法定通貨に対する相対的な信用である一方、リブラの信用は、法廷通貨の資産によって裏付けられているからです。

この点からも別物であることがわかると思います。

PoW VS PoS

次に、BFTコンセンサスアルゴリズムの違いです。まず、ビットコインは完全にパーミッションレス型ですが、リブラはパーミッション型。その上で、ビットコインは、ネットワークには誰でも参加できるが故に、コンセンサスには純粋な計算力のみを重視するPoW型である一方、リブラは、ネットワーク参加者を限定するため、ステイクの保有高がコンセンサスに影響を与える。前者より後者の方が電気代が安く済むのですが、パーミッションレス型で、初めからPoSを導入する場合、運営母体が、2/3以上のステイクを抑えた状態でないと、容易にネットワークが乗っ取られるリスクがあります。PoSベースのPBFTアルゴリズムを採用しているTindermintの上で動くCOSMOSが、開始時点で、自分たちの試験をパスした100名のバリーデーターに限定しているのもこのためですね。パーミッションレスでPoSを採用すると、Nothing at stake問題も含めて、悪意的な行為がPoWに比べて容易にできてしまいます。

参考までに、イーサリウムが、CasperというPoSベースのPBFTに2021年末に移行予定ですが、イーサリウムの場合、ノードもすでに分散化しているため、PoSモデルに切り替えても、いきなり特定のノードに乗っ取られるリスクは低いです。これはイーサリウムだからこそ実現できるパーミッションレス型のPoSということです。

これらの点を踏まえても、ビットコインとリブラはかなり別物であることがわかると思います。

PoWとPoSの違いを詳しく知りたい人はこちらを参考にしてください。

ノートパソコンでマイニングできる世界を目指すイサーリウムCasperについての分かりやすい話①

つづく。

【初心者向け】ビットコインとリブラの比較 #2

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