【初心者向け】ビットコインとリブラの比較 #2

完全なる非中央集権型ガバナンスVS部分的な非中央集権型ガバナンス

先のPoWとPoSは、最終的にはこの話に帰着してくると思います。ビットコインは、作者も不明ですし、完全に自律的に立ち上がり、世界へと広まって行きました。初期から関わっている人は、完全にボランティアです。紹介動画もボランティアで作られているし、ビットコイン財団もボランティアで作られている。ビットコインの作者であるサトシナカモトが途中から全く開発コミュニティに接触を取らなくなったため、ソフトウェアガバナンスも完全に非中央集権化されています。これだけ、自然発生的に成長したソフトウェアというのは未だかつてなかったと思います。同じOSSのLinuxの場合、作者のリーナストーバルズが、やはりまだ独裁的な位置で活用しているからですね。その意味で、ソフトウェアとしても、Linuxとは決定的に違う、歴史を塗り変えるレベルのイノベーションを成し遂げていると言えます。その点について理解を深めたい方は、こちらにブログを参考にしてください。

トークンエコノミーによるイノベーションのノウハウはウィキペディアにあり

一方、リブラは、部分的な非中央集権権性です。リブラ協会という管理団体が、初期段階ではリブラのリーダーシップをとり、徐々に非中集権生を高めていくことを目指しているとはいえ、リブラプロジェクトがうまくいくほど、リブラ協会の会員メンバーは莫大なリターンが得られるため、その地位を手放したいとは考えなくなる。これは、リブラの経済圏モデルが、対ドルに対してリブラをペッグするという、かつての中国や高度成長期の日本が、急激な経済成長と莫大な利益を生み出せるメカニズムを採用しているからです。

詳しくはこちらにまとめています。

【シリーズ】リブラとは? – リブラ参加企業が得るであろうリターンは数千倍を超える可能性がある

うまく行くなら、リブラ協会で、準備金からリターンを得られる会員ポジションは手放したいとは思わないのは当然です。つまるところ、それ以外の人や会社がこの仕組みに、ビットコインやイーサリウムのように自由に出入りすることができない設計に初めからなっているということです。

多分、これは生涯、変わらないと見ています。なぜなら、初めから会員企業にこのようなビジネスモデルを提供して運営しているからですね。これは、リブラの事業戦略上、この仕組みが必要だからでもあります。ステーブルコインとしてのリブラを武器に、通貨価値が不安定な国家のユーザーを増やし、彼らのトランザクションデータをベースにブロックチェーンの上に非中央集権的な評価経済を作り上げるプランで動いている。となると、バリデーターになる企業は誰でもいいという訳ではなく、そのゴール達成に貢献してくれるパートナーを選定していく。

ですから、仮に、リブラやリブラのBaaSが、彼らが宣言しているように将来的にパーミッションレス型、つまり完全に非中央集権型になったとしても、協会自体のビジネスモデルをすぐに放棄することは、会員企業が受け入れないないでしょうから、部分的な非中央集権制が残るのは必然と言えます。発起人であるフェイスブック自体が、現在のGAFAのように独占的な地位をリブラ協会で発揮することは避けると予測していますが(そうしないと、開発コミュニティにかなり嫌われるから)、会員の選定基準自体が、非中央集権的なものではない以上、そこには部分的な中央集権制が残るということです。

以上の点を踏まえて、一言で言えば、ビットコインは、ブロックチェーン産業全体の経済圏を作るための存在である一方、リブラはあくまでリブラ協会に参加する企業のための経済圏を作るために存在している、という違いがあるということですね。

ですから、この点でも、リブラとビットコインは別物なのですね。

レギュレーション対応コストの比較

これらを踏まえると、当然のことながら、政府への対応コストは、リブラの方が圧倒的に高いです。特に運営母体であるリブラ協会にバリデーター達が会員として参加していますから、そこに規制の網をかければ、政府がコントロールできてしまうからですね。もちろん、スイスにリブラ財団は登記されていますから、スイス政府の規制に影響を受けるわけでが、アメリカ、フランス、ドイツなどの政府が、スイスにその意味での圧力を掛けるのは、当然、ありうることです。ただ、スイスは永世中立国としてのポジショニングがありますから、そのような要望に対してもストレートに飲むことはまずないとは思います。

一方で、ビットコインの場合は、ネットワークも完全P2Pですし、ユーザーも本質的には相対取引をする分には政府も規制しようがないんですね。この点からも、レギュレーションコストが、世界中にある仮想通貨・暗号資産の中でもっとも低い存在です。これだけの非中央集権性があるからこそ、既存の株式や債権に対する代替投資として、Bakktが機関投資家向けにビットコインの現物引き受け可能な先物取引を導入予定であったり、大手の投資会社が、同じく機関投資家向けにETFなどの開発およびSEC承認を求めに動くわけですね。彼らが、そこに動く動機は、間違いなく「国家経済システムが再び、リーマンショックのような金融危機を引き起こした際の代替投資としての先進国における需要」がそこにあるからです。

このような需要は、リブラには期待できません。むしろ、リブラは、ステーブルコインとして通貨の価値が不安定な新興国でもっとも歓迎を受けるでしょう。そして、それが、リブラの戦略でもあります。世界にいるアンバンクユーザー30億人に、彼が身分証明書などがなくとも、安くて便利な金融サービスへのアクセスを可能にする世界を目指しています。

その点を踏まえても、リブラは、僕のポートフォリオ戦略でいうところのBaaSのカテゴリに分類するのが適当と考えています。つまり、この業界の「信用のハブ」としての役割を果たしているビットコインの先にある存在と言えます。僕のポートフォリオ戦略は詳しくはこちらにまとめていますので参考にしてください。

僕の仮想通貨(暗号資産・トークン)投資のポートフォリオ戦略の基本的な考え方についてまとめ #1

皆さんの参考になれば幸いです!

 

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