FRBの利下げ・利上げ判断と米国債短期・長期金利の「逆イールド現象」が仮想通貨市場に与える影響について

今後のビットコインを中心に、仮想通貨・暗号資産・トークン市場に資金流入が加速するかどうかのカギとなる話について、僕の見解をまとめておきます。

今の世界経済は、アメリカの景気を中心に動いている。

まず、このグラフからですね。世界のGDP比較です。アメリカは、第2次世界大戦終了時点が、GDPで最高シェアをマークした後、下降を続けていますが、それでもまだ現代のローマ帝国、世界最大の覇権国家です。青色部分です。

URL: https://bit.ly/2LO2n8L

ですから、世界のマクロ経済のバランスとしては、基本的に「アメリカの景気が悪くなると、世界の景気が悪くなる」というメカニズムが働きます。そして、これはアメリカの国家戦略ともリンクした話です。例えば、中国が、高度成長を実現するために、戦後の日本同様、アメリカのドルに対して中国元をペッグするという通貨政策を取っていることは、このブログでも何度も触れていますね。

貿易を有利に展開するためです。しかし、同時に、中国は、アメリカ政府の米国債もたくさん買っています。この背景にあるのは、過去のアメリカ政府が推進してきた「積極的な消費文化」です。世界中からモノを買って消費する。先進国の仲間入りをするためには、観光や資源以外の産業を持つ必要があり、新興国の場合、人件費が安いので、工業が一番、先進国入りするための産業政策としてターゲットになるのですね。すると、工業で製造する製品をたくさん買ってくれる国と仲良くする必要がある。だから、中国も米国債を買う。お付き合いのようなものです。

そして、トランプ政権は移民廃止を掲げていますが、これは政策としては例外的で、過去のアメリカは移民政策を積極的に行ってきました。先ほどの消費文化の政策とリンクしています。人口が増え続け、消費が増え続ける限りは、先に中国とアメリカの関係で述べたような外交政策が、アメリカの成長を支える原動力になっているからです。アメリカの人口グラフは下記の通りです。

参考までに、実は、ヨーロッパが、ユーロ経済圏を作る動きを活発化させた背景も、この冷戦崩壊後のアメリカ一極主義が、国際政治経済のリスクだと考え、多極化主義を実現するという狙いがありました。日本は、日米同盟がありますから、基本的にアメリカの政治経済とは一体です。

ですから、アメリカの景気が悪くなる、つまり、人がモノを買わなくなる、と世界の景気は途端に悪くなるのです。

過去のアメリカ景気後退の共通点

では、次に気になるのは、アメリカの景気後退が起きるときのパターンですね。僕が取り分けてよく見るのは、FRBの政策金利、米国債の短期金利と長期金利、この3つです。

特に、直近の景気後退期となった1999年のナスダックITバブルの崩壊と、2008年のリーマンショックにはある共通点があります。下のグラフをみてください。

 

参照URL: https://bit.ly/2LXeZdU

米国の長期国債である10年債と、短期国債である2年債の金利、そして、その金利差を比較したグラフです。緑のラインが、2者の金利差を比較したものですね。

このグラフのポイントは、「緑のラインが、0を割る期間がしばらく続く、つまり、長期国債の金利と短期国債の金利が重なった状態が一定期間続くと、その後、金融恐慌が起きる」という法則性について説明したグラフです。0を割る、マイナスになるということは、短期国債の金利が長期国債の金利を上回るということ。この現象は、通称「逆イールド現象」と呼びます。これは、通常の債権の金利メカニズムを踏まえると明らかに異常な状態です。なぜか?

一般的には、短期国債の金利が、長期国債の金利を上回ることはありません。アメリカ政府の債権だとちょっと話のサイズが大きすぎるので、イメージしやすく、トヨタの社債を例にしましょう。同じ債権ですから、メカニズムは同じです。2年後のトヨタと、10年後のトヨタ、どちらが絶対に安泰と言えますか?普通、答えは前者ですよね。10年後のトヨタの未来を想像するのは難しいです。だから、同じ社債を発行する場合でも、トヨタの2年債と10年債であれば、前者の方が金利は安くなる。そして、もう一つ理解して置くと良いのは、金利の変動要因です。債権は、その買い手が多いほど、需要が多い=リターンが得られる債権と評価されていると判断され、金利は下がります。逆に、売り手が多いと金利は上がります。金利が高い方が買い手がつくからですね。

これを踏まえた上で、米国債の金利の話に戻ってくると、短期債権の金利と長期債権の金利が逆転することはまずないのですが、これが起きるときがある。それが、目先の景気が過熱気味になっているときですね。

そして、それを誘発するのが、FRB、米連邦準備銀行の政策金利です。日本でいう日銀の公定歩合ですね。下記は、共同通信社の記事からの抜粋で、リーマンショック以降から現在に至るまでの推移です。

参照URL:https://bit.ly/2Olnphz

少しずつ上がってきている状態です。FRBの政策金利判断の基本的なルールは、「景気が過熱気味だとバブルを抑制するため、金利を引き上げる。逆に景気が後退していると金利を下げる」というものです。景気が過熱気味だと、過剰な消費を抑制するためと、企業が銀行からお金を借りて新規事業に投資することを抑制するため、政策金利を引き上げる。金利が上がると、個人は消費するより銀行に預けておこうとするし、企業は金利が高いとお金を借りずらくなるので新規の事業投資を控える。すると、景気の加熱にブレーキがかかる。という理論です。逆もしかりですね。

だから、上の3つがどのように推移しているからは、アメリカの景気を判断する上でよい参考になるということです。もちろん、景気判断の鉄則は、自分でその国で生活するのが一番というのは格言ですね。ただ、みんながみんなそうできる訳ではないから、このような指標を参考にするのは有効であるということです。

仮想通貨・暗号資産の市場にとって米国の景気後退は「追い風」になる

そして、インターネット産業とよく比較になるブロックチェーン産業ですが、決定的な違いはここです。インターネット産業は、リーマンショックの時は、相当、ダメージを受けました。ブロックチェーンは逆で、それは、ビットコインをはじめとした仮想通貨・暗号資産の多くが、国家経済に依存しないインフラを作って行っているからですね。

ただ、未熟段階ですと、そういう評価は周囲からは得られないわけですが、徐々にその評価を受けつつあると実感しています。例えば、こちらの仮想通貨専門ファンドを運営するグレースケール社からのレポートです。以下は、コインテレグラフの記事からの抜粋です。

“2018年7月以降、全投資家のうち、機関投資家がグレイスケール商品の総需要の84%を締め、最も高い割合となった。また #アルトコイン への投資も急増し、アルトコイン取引は第1四半期が1%だったことに対して、第2四半期の流入の24%を占めた”

仮想通貨資産運用のグレイスケール、過去最高の運用資産2920億円を達成=19年2Qレポート発表@コインテレグラフ

まず、素晴らしいのはファンドサイズが約3,000億円で過去最高、つまり、資金がどんどん流入してきていることですね。と同時に、注目すべきは、上の抜粋にあるよう、

  • 1.機関投資家の資金が入ってきていること
  • 2.アルトコインへの投資配分が24倍に増加していること

1点目は、以前からこのブログで伝えているように、仮想通貨・暗号資産市場の成長にとっては不可欠の要素です。彼らは、分散投資を必ず行います。その目的は、リスクを分散させるためです。では、仮想通貨にリスク分散させる目的とは何か?と言えば、間違いなく「国家経済が金融恐慌になるリスク」へのヘッジということですね。機関投資家がどれだけ重要かは、こちらにもまとめているので参考にしてください。

「ビットコインは今が買い」である理由③:機関投資家の市場参画の開始

その上で、アルトコインへの投資が進んでいることですね。僕のポートフォリオ戦略の基本にあるよう、この市場の成長のカギを握るのはアルトコインです。ビットコインに流れてくる機関投資家の資金を使いながら、新しい経済システムをブロックチェーン上に作って行っている。それがどのようなものなのかは、こちらにまとめているので参考にしてください。

トークンエコノミーの経済システムと国家経済システムの根本的な4つの違い #1

その経済システムそのものの担い手がアルトコインなのです。だから、ここの評価が上がっていくことはとても大切なのですね。グレースケールという仮想通貨専門ファンドでもっとも実績をあげている会社が、アルトコインへの投資を加速させているということは、確実にアルトコインが成長してきているう証拠でもあります。これは、僕のポーフォリオ戦略の基本とも合致している考えです。詳しくはこちらにまとめています。

僕の仮想通貨(暗号資産・トークン)投資のポートフォリオ戦略の基本的な考え方についてまとめ #1

しかし、これでも尚、本質的に追い風になるかどうかは、実はある一つのことが見えていないとわかりません。これは歴史を学べば見えてきます。詳しくはこちらにまとめています。

【シリーズ】リブラとは? – 世界恐慌の一因になったイギリスからアメリカの基軸通貨の移行失敗とLibraの関係性

みなさんの参考になれば幸いです!

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