日銀ネットや全銀ネットをブロックチェーン化しても新たな価値は生まない。なぜか?

日本の中央銀行システムである日銀ネットと、その下で動いている全銀ネットをブロックチェーン化するという話が、海外の中央銀行システムの事例も含めて、メディアで盛り上がることがありますね。しかし、これ自体も全く意味がないことです。その点について、僕の見解をまとめて起きます。

まずは、メリットからお話しましょう。

重厚長大な日銀ネットや全銀ネットのシステムをブロックチェーンというOSSで作れば、開発コストと保守コストはかなり下がる可能性はある。

まず、以下は、このブログにも何度か登場している決済システムのインフラ構造です。


右側が日本の決済システムですが、頂点にある全銀ネットの上で、稼働する、全日本円の取引に関わるシステムが、日銀ネットですね。

かなり古い仕組みで作られているので、開発と保守・運用コストが莫大です。20年から30年に一度、システムの全面改修のプロジェクトが走りますが、これまた20年ぐらいかけて作り直します。100万の雇用産業と言われる受託開発産業がこれを受注します。NTTデータ、富士通、NECなどですね。その中で、一番手間がかかるのは、実は「人材確保」なのですね。20年前の仕様を理解している、その時代の技術を理解している、その時代のプログラミング言語を使えるなどです。今ではまずみんな使わないアセンブラなどの言語が今でも使われている古いシステムです。ですから、プロジェクトが稼働する段階でかなり年配になっているので、単価は高いです。でさらに、大半が、オープンソースではない、オラクルやIBMが売っている組み込み型のソフトウェアなどを多用します。なので、全面改修プロジェクトになると100億円以上のお金をかけることになります。

これをブロックチェーンのようにオープンソースで管理されているソフトウェアに切り替えることで、若いエンジニアがプロジェクトに参加する人材の大半をしめ、ソフトウェアのライセンスフィーがかからなくなれば、開発コストが下がるでしょう。さらに作ったエンジニアの一部に保守をやってもらうので、若い人材を活用することができるためコストは下がるでしょう。一方、サーバーなどのシステム運用コストは使っているマシンと通信回線に依存するので、ここはあまりコストインパクトは狙えないでしょうね。

しかし、先に上げた日本の100万の雇用を支える受託開発産業が、そう簡単には受け入れる話ではないと思います。その年配の人材を食わせるための仕事が必要だからですね。ここがジレンマになります。彼らのブロックチェーンに対する警戒感はかなりのものです。金融機関の警戒感と同じレベルですね。

残念なことに、そのブロックチェーンシステムは日本国債の問題含めた日本経済の負の遺産をそのまま背負うことになる

これが、最大のデメリットですね。これは、日銀のバランスシートを見ればわかります。

参照URL: https://bit.ly/2LZlpcm

日銀は、日本円の発行およびその運用を行なっているわけですが、発行する際に、なんの裏付けもなく発行するということは許されていません。日銀のバランスシートは、日本の株式会社のバランスシートと同じ概念で運用されています。右側に、負債と資本があって、左側に資産がある。右側の大半を締める日本銀行券と日銀当座預金というのは本質的には同じことで、日本銀行券というのは「紙幣+硬貨」のことです。実際に、お店などで目にする日本円のことです。紙幣や硬貨になっていない日本円が、日銀当座預金ということです。

どうやって新しく日本円を発行するかというと、もっとも一般的な方法は、日本政府が新たに発行する「国債」を購入する際に新規発行するんですね。だから、左側の資産に「国債」がのっている。ですから、日本円の信用の裏付けは、日本政府、言い換えれば、日本経済そのものになるわけです。

つまり、日銀からみれば、日本の国債は「資産」として扱うわけですが、この債権を発行している政府から見れば、これは「借金」です。なので、金利も払うし、最終的には完済しなければならない。そして、日本の先進国中のGDPに締める国債の割合はダントツでNo.1というのはよく知られている話ですね。以下は、そのグラフです。

参照URL: https://bit.ly/2XXpbdp

つまり、負の遺産が全てブロックチェーンに載ってきます。僕らにとって、このメリットは何があるのか?うーん、全くありません。笑

だから、僕は、以前から、ブロックチェーンの上に、国家経済システムとは完全に切り離された新しい経済システムを作るべき、これが肝要だとお話しているのですね。

なんども例として話をしていることですが、明治維新と同じです。当時、欧米列強の植民地支配に対抗するには、江戸幕府の体制では全く勝負にならなかった。だから、大政奉還をして、英国の立憲君主制を参考に、天皇を中心とする近代国家システムを作るため、明治維新を行なった。

これが今度は、世界規模で起きているわけです。世界維新です。国家経済システムは、もはや瀕死の病人状態。これをなんとかしないと、僕らの世代もさることながら、その下やまたその下の世代が、「生き地獄」を味わうことになる。そのためには、国家経済の問題点を全て解決した新しい経済システムを作る、これしか救いの道がないということですね。そして、ブロックチェーンはそのために登場した技術ということです。

僕の国家経済システムとブロックチェーン上に作る新しい経済システムの違いについてはこちらにまとめています。

トークンエコノミーの経済システムと国家経済システムの根本的な4つの違い #1

みなさんの参考になれば幸いです!

 

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