アリババが北米市場に本格参入。アマゾンと対決開始。トランプ政権の反応は?

米ビジネスインサイダーの報道によると、中国最大のEコマース企業であるアリババが、北米に参入を開始するとのこと。僕の考えをまとめておきます。

記事は以下の通りです。

  • アメリカのビジネスオーナー向けに、Eコマースサイトを簡単に立ち上げることができるクラウドソリューションと、潜在顧客にターゲティングマーケティング可能なツールを提供予定。
  • 同時に、今年3月に提携を発表したオフィスデポに加えて、アメリカのサプライヤ大手で、トロピカーナ、ウェルチ、そしてグリーンジャイアントなどと取引のあるRobinsion Freshと提携。
  • アリババグループの社長であるマイケル・エヴァンズは、”我々は、全米のスモールビジネスから大手のホールセラーまで、世界中でEコマースを展開できる仕組みを整えていきたい。”とコメントしている。

原文(英語)はこちら

アリババの北米参入戦略としてのD2C戦略は的確と言える

まず、この点ですね。Amazonのようなサイトをアリババは作るわけではなく、「D2C」= Direct to Customer、つまり、メーカーなどがリテーラーを通さず、自社サイトを構えて、直接、消費者にモノやサービスを販売する市場から参入しているということです。

今であれば、メーカーのみならず、個人事業も含めた中小の小売店や、大手のホールセラーまで、アマゾンに商品を登録して売るのが当たり前になってきています。また、アマゾンの検索結果に表示される広告も多用されています。いずれも、莫大なトラフィックを生むアマゾンだから、そこに魅力があるわけですね。

しかし、ここにはトレードオフがあって、ユーザーとの直接的なリレーションは、ほとんど作ることができません。そこは、サイト自体を提供しているアマゾンが抑えています。

そのことを問題視しているリテーラーは多く、すぐにアマゾンの膨大なトラフィックにおける価格競争に巻き込まれてしまい、安値販売を強制されるなどの課題があるわけですね。

そこで、普及してきているのが、D2Cですね。Eコマース事業のノウハウもコモディティ化してきてますから、アマゾンなどに頼らず、自社サイトをもち、そこでEコマースをやって、ユーザーとの直接的なエンゲージメントを構築していく。この方が、過剰な価格競争に巻き込まれず、長期の優良顧客を作っていけるので、事業のサステイナビリティが上がる、ということで注目されています。

D2C市場もほおっておけば、強力な競合が北米から育ってきます。すでにeBayに買収されたMagentoや、NYSEにIPOしたShopifyなど、比較的に社歴のある競合もすでにあります。ですから、ちょうど流行ってきた今頃から事業を本格化させるのは的確と言えます。なぜなら、アマゾンが強くなりすぎることに警戒感をもつ競合は、たくさんいます。先にあげたホールセラーのRonbinson Freshや、ステーショナリー大手で日本のアスクルに近い、OfficeDepoは、皆、アマゾンをライバル視しているプレイヤーです。だから、アリババも営業がしやすいわけですね。

そして、僕は、このアリババを皮切りに、テンセントも含め、中国企業のアメリカを中心とするグローバル展開は加速するとみています。なぜか?

中国IT企業のグローバル展開積極化の背景にある潜在的人口減の問題

そう、最大の理由は、人口減にあると見ています。以下は、中国の人口推移です。

参照リンク:https://bit.ly/2TIS4qN

一人っ子政策を続けた影響で、若い人の数が少ないのですね。上のグラフにあるように、24才以下あたりから、男女ともに急激に下がります。ですから、2040年から2045年ぐらいから、日本と同じ人口減少に転じると予測されています。

最近、中国の高度成長はほぼ終わりつつあり、国内の需要は徐々に見込めないと考える起業家が増えてきています。僕の周りにも多くいます。彼らが、海外を目指すわけです。その先陣が、アリババであり、2年前に、カナダのメッセンジャーSNS大手のKikに50億円出資したテンセントですね。この2社の動きは政府も後押ししていると見ています。国内の高度成長期はほぼ終わりつつあると判断しているためです。内需には以前ほど大きな期待できないということですね。

そうなってくると気になるのがトランプ政権の対応です。

トランプ政権は、この動きにどう出てくるか?

このブログでもすでに取り上げている通り、トランプ政権は、保護貿易主義を展開しており、特に中国に対してはかなり厳しい姿勢をとってきています。

米中貿易戦争が加速させるブロックチェーン産業の発展 #1

故に、アリババのこの行動を米国政府は見逃すのか?という考えが、トランプ大統領を支持している層には必ずあると思います。特に、上の記事で詳しくお話しているように、中国の大手スマホメーカー、ファーウェイへの経済制裁を行いつつ、最終的には、彼の2020年大統領選の票田となる中西部の農業を助けるため、中国に大量の米国産の穀物買い付けを受けさせるという、かなり上手い「アメとムチ」の外交を展開しています。世界時価総額ランキングで同じTop10に入るアマゾンとアリババの競争ヒートアップを全く利用しないとは考えにくいのですね。

ということで、トランプ政権の反応には注目です。

みなさんの参考になれば幸いです!

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