世界の中央銀行がビットコインを買い始めることで起きるパラダイムシフトとは?

米仮想通貨投資会社モルガン・クリーク・デジタル社CEOのAnthony Pompliano氏(以下、ポンプリアーノ氏)が、世界の中銀が、米ドルに対するリスクヘッジのために、いずれ、ビットコインを買いに走るだろうとツイートしており、話題になっているので僕の見解をまとめておきます。

そのツイートとはこれですね。

彼のツイートにもあるように、以前にも、ビットコインと金の相関性について触れた「このブログ」で触れましたが、最近、金の価格も上昇しています。

このブログでも説明しているように、ここ最近の金の値上がりは、米中貿易戦争を中心としたトランプリスクに対する反応です。「有事の金」というやつですね。最近、米中の貿易戦争がひと段落したことで、金相場も下げたのですが、ビットコイン相場も下げている点を踏まえると、やはり、ある程度の投資家は、ビットコインの価値をきちんと理解し始めているということですね。「なぜ、ビットコインを信用できるか?」については、僕のYoutubeにもまとめているので、参考にしてください。今日の話と関わってきます。

その上で、ポンプリアーノ氏が今回の発言をするに至ったキッカケは、このニュースにあったと見ています。

ブルガリア政府のビットコイン保有高が金の保有高を超えた(原文は英語)

実は、ブルガリア政府は、自分たちでビットコインを購入した訳ではなく、犯罪で利用されたり、ハッキングされたビットコインなどを回収して結果、ビットコインを大量に保有することになり、その規模は、20万BTC、ニュースが出た7月21日時点の時価総額で、約2,000億円相当になります。一方、彼らの保有する金は、約40トンで、時価総額で1800億円、つまり、政府の金の保有高をビットコイン保有高が超えた訳です。

ただ、きちんと正しい理解をして欲しいので正確にいうと、このビットコインは、ブルガリアの中央銀行のバランスシートに組み入れられている訳ではありません。以下は、日本銀行のバランスシートです。

参照URL: http://fis.nri.co.jp/ja-JP/publication/kinyu_itf/backnumber/2016/06/201606_3.html

世界の中央銀行は、皆このバランスシートを元に通貨を発行します。上のバランスシートの左側の「資産」の部に、少ないですが「金」をある程度持っています。今回の話は、このバランスシートと関わっています。

ポンプリアーノ氏の発言のポイントは、中央銀行がいずれ、このバランスシートの「資産」の部に、ビットコインを入れるだろうというもの。もし、これが本格化すると、ビットコインは政府がその信用価値を認めたことになりますが、大変なパラダイムシフトになりますね。

今、多くの中央銀行は、大半の場合、この資産の部に入れているのは、自国政府が発行する「国債」か、次に多いのが、「米国債」です。そして、右側の「資本」の部にも、外貨準備としてドルを持ちます。これは、アメリカが、過去行った、ドル外交、覇権戦略の一貫ですね。この点については、「こちらの記事」を読むとわかると思います。

このブログでは、なんども触れていることですが、今の僕らが使っている日本円やドルなどの法定通貨の「信用」というのは、1972年より前は、中央銀行の「金」の保有高が裏付けとなっていました。簡単に言えば、日本円が紙くずになっても、金に変えることができることを中央銀行が保証してくれていたのです。通称、金本位制と呼びます。それが、1972年に起きたニクソン・ショック後、その金本位制は完全終了し、全て中央銀行が、先の日銀のバランスシートにあったように、自国の国債や、米国債を裏付けに通貨を発行するようになりました。

簡単に言えば、自分たちの通貨の信用を、自分たちの国家経済が裏付けるということです。つまり、国家経済の調子がよければ、通貨の信用は上がる、逆に悪ければ、通貨の信用は下がる。ということです。

ところが、1990年以降から、アジア通貨危機、インターネットバブル、リーマンショックなど、度重なる金融恐慌が世界的に発生し、国家経済の調子が世界的に悪い状態がずっと続いています。そこに登場したビットコイン。上のYoutubeで話をしているように、ビットコインの信用は「国家経済を裏付けにしている法定通貨の信用よりベター」という視点で裏付けられています。

そして、もし、世界の多くの中央銀行が、それまで信頼していた米国債や米ドルを、トランプリスクなどの観点から手放し、その穴をビットコインで埋めようとする発想を実行した場合、それは何を意味するか?

自国通貨の信用の裏付けの一部をビットコインに委ねるということですから、ビットコインに十分信用できるだけの資産価値があることを政府が認めたということになるわけですね。

そして、ビットコインのもつ供給制限の価値がそこに付加されることで、中長期では、その中央銀行のバランスシートが改善していき、国債比率を下げていくこともできる。なぜか?中央銀行のバランスシートというのは、左側の資産部にある以上のお金を発行してはいけないルールだからです。ここが今回の話のポイントなのですね。

日本の中央銀行が、20万BTCを保有しているとしましょう。そして、このBTCの価値が、5年後に10倍になったとしましょう。すると、日本銀行は、右側のバランスシート上にある日銀が発行する「日本銀行券」と「日銀当座預金」の量を増やすことができます。資産価値が上昇しているからです。さらに言えば、BTCの保有高とその価格上昇に応じて、左側の日本国債の比率を減らすことができますね。そして、政府は、その発行量の増加を受けて、消費税などの税金でお金を回収し、そのお金を国債の返済に回すことできます。つまり、日本政府側は、国債発行高、つまり、借金の総額を減らしながら、かつ、今までの借金をBTCの価格上昇によって返済していくことができます。

ですから、BTCの保有高とその価格上昇の次第によっては、日本政府は、無借金状態になれる可能性があるということです。僕は、実際、このような行動をとる新興国は出てくると見ています。なぜなら、過去、USドルの覇権主義によって、苦しい財政状況にありながら、米国債を買わされ続けている新興国がたくさんあるからですね。トランプ政権が、現代版モンロー主義を展開していく場合、この行動を新興国がとることは、アメリカとしても受け入れることになるので、今後、十分ありうるシナリオの一つだと考えています。

これが現実化したときは、2013年3月に起きたビットコインの初の急騰を演出した「キプロスの預金封鎖」以上のビットコイン急騰の展開になるでしょう。キプロスの預金封鎖とビットコインの関係性については、「こちらの記事」にまとめています。

そこが、今回の話のポイントでした。皆さんの参考になれば幸いです!

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