僕がなぜMakerDAOのトークン、MKRに投資するか? #1

僕のChain X Fundにポートフォリオに組み入れているDeFi市場を立ち上げたMakerのトークン、MKR、この投資理由についてまとめましたので、検討中の方は参考にしてください。

Makerを分析する中で、僕のポートフォリオ戦略も見直し、新たに、Token Collateralized DeFiを追加しました。それほど重要なレイヤーであることが見えてきたからです。DeFiとは、Distributed Finance(分散型金融)の略です。No.2のレイヤーに配置しました。


なぜ、重要なのか? このレイヤーは、3のレイヤーと補完関係にあり、このレイヤー2が育つことで、3のDEXに上場されている仮想通貨・暗号資産・トークンのボラティリティは下がるため、お互いにポジティブなフィードバックループを作りながら、ブロックチェーン産業全体の発展に貢献していくことにできるようになるからです。詳しくはこちらにまとめています。

僕の仮想通貨(暗号資産・トークン)投資のポートフォリオ戦略の基本的な考え方についてまとめ #1

テクノロジーの評価

Makerのプロダクトは、現在、イーサリウムの上で稼働しているのですが、少し理解するのが大変な人もいると思いますが、一言で言えば「トークンを何でも担保化して、ステーブルコインを借りられるDapps」になります。以下に、わかりやすく仕組みをまとめておきます。

MakerDAOを使ったトークンの担保化とDAIの発行ルール

自分の持っているトークン、例:イーサリウムとしましょう。これを、Makerが提供するウォレットに預け入れます。

URL: https://cdp.makerdao.com/

そして、預けいれたイーサリウムの量に応じてMakerのステーブルコインである「DAI」を発行できます。正確に言えば、借りているということです。

ここで一つポイントなのは、そのDAIの発行量に関するルールです。例えば、現時点で1ETH = $200 とし、10ETHを預けて、いくらの「DAI」が発行できるか、満額は、$2000(約20万円)ですが、担保ですからそれはありません。質屋と同じルールです。特に、仮想通貨はボラティリティが高いので、満額発行はまず許されません。

Maker側が決めているのは、現状、希望するDAIの発行量の150%分に相当するETHを用意してくれというルールです。1.5倍です。20万円分のDAIが欲しい場合は、30万円相当のETHを用意する必要があります。この担保による融資契約のことをMakerDAOでは、CDP(Collateralized Debt Position )と読んでいます。Debt=債権のことです。そして、CDPにロックした担保の仮想通貨には、手前にWの頭文字がつき、イーサリウムであればWETHという扱いになります。W=Wrap(包む)の略です。

そして、発行したDAIは、DAIが上場されている仮想通貨取引所で、現地のローカル法定通貨や他の仮想通貨と交換することができます。例えば、CoinbaseはDAIを扱っているので、USドルに交換できます。それを使って日常の生活費に当てたり、旅費として使うこともできるわけです。また、他の仮想通貨と交換することもできますから、例えば、ETHの価格が更に上がりそうなら、借りたDAIでETHを購入、つまり、ロングポジションをもち、値上がり益を期待するという利用方法もあります。これは株の信用取引と同じです。

ただ、借りたDAIを使い続けるには、手数料を払う必要があります。Maker側は、「安定化手数料」と表現しています。変動もするので金利と言ってもよいです。なぜ、このような表現になるかといえば、これがDAIのステーブル化(=安定化)に影響を与える手数料だからです。詳しくは後ほど説明しますが、この手数料は、Makerのトークンである、MKRでのみ支払いが可能です。MKRは、発行上限がかかっており、2017年11月に発行された1,000,000以上は発行されません。つまり、供給制限型のトークンです。

この手数料は変動します。この変動理由についても後ほど説明します。

トークンの価格変動に対応するためのCDP運用ルール

そして、50%分の余裕があっても、仮想通貨の世界ではそれ以上に下落するリスクが起こりえます。その場合の対策として、Maker側は、仮にその50%の余裕分がETHの価格下落によってなくなってしまった場合、追加のETHを入金することを求めます。「担保を補充しろ」ということです。銀行の融資モデルと同じです。もし、これ以上出せる担保がない場合、借りていたDAIの一部を返却し、担保の時価評価の範囲内の貸出し金に引き戻し、貸出し総額の減額を求めます。こうすれば、この債権契約がダメになることはないわけですね。

しかし、上の2つとも実行不可能になってしまっているユーザーのパターンも当然あり得ます。既存の金融の世界では、これを「不良債権」(=デフォルト)と呼びます。貸し倒れとかともいいますね。この場合は、不良債権処理の手続きに移ります。

CDPの不良債権処理の手続き方法

まず、CDP保持者は、預けていた担保の評価額100%に対してMaker側に13%のペナルティ手数料を支払うことになります。ETHの市場価格が急落した結果、不良債権化し、その時点のETH価格で10万円分のETHを担保として預けていたら、13%に相当する、1.3万円のペナルティ手数料を払います。つまり、これ自体が、ある程度、デフォルトに対する抑制効果を持ちます。

しかし、その手数料は追加で払うという必要性はなく、そもそも欲しいDAIの量に対して150%分の担保を差し出していますから、よほどの価格下落でない限りは、この余裕幅を使って清算手続きが行われる訳です。

担保として提出されていたETHや、また借りたままでまだ未使用のDAIは、「キーパー」と呼ばれる管財人として清算します。ヘッジファンドでもこういうことを生業している連中もいます。ですから、正確には管財人ではなく、これも一つのビジネスになります。

例えば、未使用のDAIは、3%のディスカウントで買い取ることができるので、売れば、3%分の収益にもなります。また、担保化されていたトークンも3%引きで買い取ることができますから、他の取引所で売却すれば利ざやを稼ぐこともできます。ここも市場メカニズムに任せる発想ということですね。

DAIは、「非中央集権型のステーブルコイン」。その仕組みについて

そして、僕が一番注目しているのは、このDAIの価格変動メカニズムですね。完全にペッグしている訳ではなく、絶えず、1DAI = $1に価値が収束するように、ゲールルールが作られています。

https://makerdao.com/en/dai

以下は、CoinmarketCapのDAIのチャートです。$1の前後を推移しているのがわかりますね。


このゲームルールがとても興味深いです。

DAIの価格が$1より上にいっている場合

同じ$1に対して、より多くのDAIが発行できることになるため、CDPの新規発行者や契約額が増加する。すると、DAIの発行量が増える=DAIの供給量が増えるため、インフレによる価値の減少が発生し、DAIの価格が$1に収束することになる。

DAIの価格が$1より下にいっている場合

CDPの契約保持者は、このタイミングで、DAIを返却すると、より少ない量のDAIで返済が可能になるため、積極的に返済に当てようとする。実際にDAIの返却量が増えると、この返却されたDAIをMaker側がBurn(消滅させるということ)することで、市場のDAIの供給量が減るため、価値の上昇につながるデフレが発生し、DAIの価格が$1に収束する。

そして、上の作用を先ほどお話した「安定化手数料」を上下させることで、ある程度、人為的に調整できるようにデザインされています。日銀が、日本円を安定させるために行なっている為替介入やマネーサプライを調整するための公定歩合の調整と同じ役割ということですね。

安定化手数料を低くする

当然、CDPの新規契約者が増加します。すると、DAIの発行量が踏まえますから、価格下落につながります。

安定化手数料を高くする

当然、高い手数料を払いたくない、もしくは払えない人が増えるため、CDPの数が減少し、DAIの発行量が減るため、価格上昇につながります。

そして、この安定化手数料の決定は、MakerのトークンであるMKRをもつ人々が投票によって決定します。この点から、非中央集権的であることがわかると思います。ただし、参考までに、日銀の場合も、公定歩合の決定は、複数の理事による投票制であり、日銀総裁が独断で決められる訳ではありません。その点と比較した場合、誰でも、投票者になれるという点では、既存の中央銀行システムに比べれば、圧倒的に民主的な金融政策を行うことができるシステムとしてデザインされていることがわかります。

ただ、現状、この安定化手数料が、高騰しています。2019年8月時点で、17%です。直前は19.5%でした。最近、Maker側の投票決定で2.5%引き下げられました。これでもCDPを発行する人が増える理由は、僕は単純に、新興市場だからだと思います。圧倒的に需要が多いということです。なので、しばらくはこの高騰状態は続くと見ています。

以上が、MakerDAOのテクノロジーです。

つづく。

僕がなぜMakerDAOのトークン、MKRに投資するか? #2

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