Binance(バイナンス)のVenusはOrbの藩札2.0と全く同じ。中国IT企業の呼応に注目

Binance CEOであるCZが、Libraに対抗するプロジェクトVenusを立ち上げてきましたね。もともと進めていたステーブルコイン事業からピボットを踏んでの展開といえます。僕の見解についてまとめておきます。

Binanceからのプレス(英語)はこちらです。

以前のブログにもまとめていますが、Binanceは、Libraが立ち上がっていく想定を見た場合、ここに参加できないと、かなりニッチプレイヤーに追い込まれるリスクがあります。こちらにまとめています。

バイナンスがリブラに参加しない場合、バイナンスはニッチなプロ向け取引所になってしまうリスクがある

フェイスブックが率いるLibraには、同じシリコンバレー勢のCoinbaseがすでに参画しており、CoinbaseにとってはBinanceは競合ですから、Binanceをメンバーに入れたいとは考えないですよね。

なので、Binance側は、「ならば、自ら対抗馬をしかけよう」と、今回の動きに出たと見ています。これは同時に、CZが、僕がOrbの藩札2.0で進めていたローカルステーブルコインが、この業界にもたらマスアダプション(一般個人への普及)のインパクトを理解したということです。

Venusについて

Libraのようにホワイトペーパーが出ているわけではないので、彼らのプレス内容をベースにしたVenusの特徴は以下の2点になります。

 

  • 各国の企業や政府が、ドルにペッグした「ステーブルコイン」を発行する
  • このステーブルコインは、BinanceがもつブロックチェーンネットワークであるBinanceChain上での稼働を目指す

この点を踏まえると、Orbの藩札2.0と全く同じです。

Orb藩札2.0との比較を踏まえたVenusが「大義名分」で注意すべきLibraの失策

Orbの藩札2.0とは、まず第1ターゲットを日本の国内市場にし、地方格差に苦しむ地銀や地元企業が、Orb DLTを使って、「日本円」にペッグされたステーブルコインとしての地域通貨を発行します。そして、加盟店とユーザーを開拓し、B2B決済も含めてネットワークを構築することで、域内の経済圏に囲い込み状況を作り出し、東京の経済圏に富を奪われない状況を作り出します。これら複数立ち上がることで、それぞれの顧客が、Orb DLT上のパーミッションブロックチェーンのバリデーターとなっていくのです。ここからがミソですが、全てステーブルコインで立ち上がっているので複数の地域通貨が立ちがっている場合、これらは、システム的には実質、Libraのように振る舞うことになります

この意味を理解する上で大事なことは、3点で、1点目は、ステーブルコインであるが故に、戦後の日本がブレトンウッズ体制の固定相場制で受けた恩恵のように、物価の安定を維持しながら高度経済成長が狙えること。2点目は、Libraのように世界共通通貨を押し付けるのではなく、各々の地域通貨が自律的に立ち上がることで、インターネットのように全体としてネットワーク化された状況を作り出すことができること。3点目が、キャッシュレス化を流れを自ら生み出し、この決済ネットワークの上にAliPayやWeChatPayと同様の評価経済の仕組みを整えていくことで、非中央集権的なトラストネットワークを作り上げることです。

つまり、大義名分が完璧にデザインされているのですね。既得権益は反抗できません。あとは、ひたすら海外展開をすればよいだけです。日本でも海外でも通用する事業戦略を設計していました。

Libraは、もっとOrbを研究すべきでしたね。初めから世界共通通貨を発行するプロダクト戦略で進めたために、世界中の国家経済システムの警戒感に煽ってしまいました。

ですから、Venusはこの戦略を採用すべきです。

Tendermintのコンセンサスアルゴリズムを活用することが肝要

2点目はこれですね。Venusは決済市場に参入するので、VISAやMasterのカードシステムに対抗できるぐらいの性能が、Binance Chainに必要になります。ビットコインやイーサリウムのパブリックブロックチェーンでは、全く話になりません。現実的な解は、BinanceChainは、すでにCOSMOS Networkに接続されているので、COSMOSのTendermintのコンセンサスアルゴリズムを採用することです。こいつは、決済市場でも耐えられる性能を持っています。以下が、Tendermintの性能を示したグラフです。

tendermint_throughput_blocksize

COSMOSのATOMについてはこちらにまとめています。

僕がなぜCOSMOS(コスモス)のATOM(アトム)トークンに投資するのか? #1

今後は、AlibabaとTencent、ファーウェイ含むスマホメーカーなど、Venusにどう反応してくるか注目。

Libraの記事でも説明していますが、AlibabaやTencent、ファーウェイが、Libraに対して黙って見ているはずがないのですね。ファーウェイなどは、中国政府に働きかけてLibraに対抗するプロジェクトを立ち上げるべき提案などもしているほどです。ですから、BinanceのVenusには興味を持つはずです。AlibabaのAliPayのトラストスコアや、TencentのWeChat Payのトラストスコアが、ブロックチェーン上で稼働すれば、非中央集権的なトラストネットワークを生み出すこともできます。しかし、このアプローチではまだ一つ大きな問題が残されています。それは、「シンギュラリティの罠」にハマるということ。その点はこちらにまとめています。

JOIさんが指摘する「アルゴリズムが増長する経済格差」 – シンギュラリティの罠とは? #1

僕は、実はこの先が見えたんですね。

Stellarが黙ってみているとは思わない。Jedは何か手を打ってくるだろう。

最後に、新興国に安い金融インフラを提供するソリューションは、すでにStellarが積極的に展開しています。Jedは非常に優秀な起業家ですし、Orbに近い事業戦略だったので、僕はXLMに一時投資していましたが、今は、利確して様子を見ています。Libraの存在もあります。そして、ここにきてVenusも動き出してきている。Stellarは、まだLibraに参加は表明していません。というのも、Stellarは、Orb DLTと同じプロダクトポジショニングですから、Libra BaaSと完全に競合してしまいます。

しかし、Jedは黙って指を加えているような起業家ではないので、何か手を打ってくると見ています。StellarのXLMについては、こちらにまとめています。

僕のSteller(ステラー)、XLMの投資評価についてまとめ

ということで、僕が進めていたOrbのローカルステーブルコインのポテンシャルは、ようやく世界がその本質的価値に気付きはじめましたね。しかし、僕はその先が見えているので、そこに向けて動いています。Orbを売却した理由もそこにあります。

以上、みなさんの参考になれば幸いです!

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