僕がなぜ、ChainLinkのトークンLINKに投資するか?

僕のChainLinkのトークンであるLINKには投資していないのですが、その評価についてまとめましたので参考にしてください。

解決対象の問題定義

現在のイーサリウムなどのBaaSは、中央集権型クラウドであるAWSやGCPとコミュニケーションをすることはできません。しかし、ブロックチェーンのブロックサイズは、ビットコインで1MBと非常に小さいサイズですから、Dappsを開発・運用する場合、アプリの全てのブロックチェーン上に構築することは、現時点のブロックチェーンのテクノロジーでは不可能です。ブロックサイズの増加は、PoWの場合は、マイナーの中央集権化を加速させる原因にもなるため、現実的なアイデアではありません。PoSの場合も、ノード数が増えると、コンセンサスを得る時間が増加しますから、これにブロックサイズを増加させると、さらに処理時間が増加します。ですから、現時点の主力のコンセンサスモデルである、PoWでもPoSでも、Dappsの全ての機能をブロックチェーン上に構築することは現時点では厳しいのです。

ですから、当然のごとく、多くのDappsは、AWSなどの中央集権型クラウドと、BaaSを併用してDappsを運用しています。ハイブリッドということですね。実質、BaaSがサポートできているのは、Dappsのトークンのトランザクションのところのみです。

となると、大事になってくるのは、このCentralized CloudとBaaSのコミュニケーションをサポートしてくれるソフトウェアの存在です。ChainLinkはそこの面倒をみるソフトウェアです。下はその概念図です。

ただし、まだDappsで、既存のCentralized Cloud上で動くプロダクトと実際に接続するレベルまでの巨大なアクティブユーザーベースをもつプレイヤーは出て来ていないですし、BaaSを含めたブロックチェーンの技術自体が、それらDappsの全てのトランザクションを受け入れられるほど技術が進化していないので、問題自体はクリティカルですが、タイムリー性は高くありません

テクノロジー

彼らのテクノロジーを簡単に概念図したものが以下のものです。


例えば、イーサリウム上でDappsを作っている開発者は、このChainLinkのネットワークにある、分散型のオラクルネットワークのコンピューターリソースを使うことで、外部のAWSやGCPもしくは、他の中央集権型システムのやりとりされているデータを取得したり、自分たちのアプリのデータを送ったりすることができます。このトランザクションの処理を行うモデルは、ブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムのモデルと同じで、ChainLinkのオラクルネットワークに参加するノードが、トランザクションごとに合意形成を行うことで、処理されていきます。オラクルネットワークに参加するノードは、このトランザクション処理ごとに報酬をもらうことができます。

ただ、ホワイトペーパーにも明記されているのですが、このオラクルネットワークの運用モデルに大きな課題が残っています。それが、「フリーローダー問題」です。簡単に言えば、このオラクルネットワークのノードは、複数いるのですが、誰かが真面目に処理したデータを他の悪意的なノードがコピーして、報酬を受け取ってしまうということができるのですね。タダ乗り行為ということです。

非常に重要ながらホワイトペーパーには、この解決策が全く記載されていません。

戦略

プロダクト戦略としては、GCPやOracle Cloudとの接続が良い事例ですが、Dapps側の将来的なペインポイントとして、中央集権型クラウドとのデータ連携がやり安い環境を整えて行くことがまず肝要になります。

また、もう一つ間違いなくニーズとして想定されるのが、決済ネットワークとの接続ですね。SWIFTもそうですし、VISA・Masterなどのカードネットワークもそうです。なぜなら、Dappsの肝は、「決済」だからですね。こちらのブログにもまとめていますが、Dapssは、ブロックチェーン技術の制約条件を踏まえても、アセットフォーカスが主流となって立ち上がると見ており、また、現にそうなってきているのですが、この稼いだトークンを最後に日常生活で利用するため、既存の決済ネットワークと接続していく必要があり、そこにこのソフトウェアの価値はあります。

トークンエコノミー

LINKのトークンは、彼らのICOで32億円ほど調達した時に発行したのみなので供給制限モデルです。しかし、彼らのビジネスモデルを踏まえると、イーサリウムのBaaSや、COSMOSのブロックチェーンインターオペラビリティに近いモデルになるため、インフレモデルでないと、トークンが枯渇すると見ています。

チーム

Sergey Nazarov – CEO – Linkedin

ニューヨーク大学出身で、ロシアと東欧出身のテックスタートアップの北米進出を支援する元ベンチャーキャピタリストです。直前が、仮想通貨のエクスチェンジのベンチャーも立ち上げており、そこからこのChainLinkのプロジェクトに行き着いたようです。彼は西海岸にベースを置いています。

Steve Ellis – CTO – Linkedin

ニューヨーク大学のコンピューターサイエンス専攻のエンジニアです。Sergeyとはそれ以来の縁と見ています。大学を卒業してPivotal Labsというアジャイルソフトウェア開発のテックコンサルティングファームでソフトウェアエンジニアをやった後、Sergeyと共に、仮想通貨のエクスチェンジのベンチャーを立ち上げており、同じくこのChainLinkも共同創業しています。2社続いている点から、お互いのコンビネーションはよいと思います。

Linn Crosetto – Director of Engineering – Linkedin

 

彼は、ワシントン大学でコンピュターサイエンス学科を専攻した後、ヒューレットパッカードで10年以上ソフトウェアエンジニアをやっていた人物です。 HP時代の領域もOSのカーネル開発やクラウドコンピュータティングなど、バックエンド領域の深い技術をやっていた人物なので、このプロジェクトには最適だと思います。

Dimitri Roche – Software Engineer – Linkedin

彼は、マイアミ大学でコンピューターサイエンスの修士号を取ったのち、直前は、自らベンチャーを立ち上げてCTOをやっていた人物であり、Pivotal Labにいた時期もありますが、その前は、マイクロソフトのXboxのGame Studioチームでゲーム開発をやっていた人物なので、全体的にみてフルスタックタイプのソフトウェアエンジニアだと思います。

チーム力でいうと、GoogleやOracleなど、このソフトウェアビジネスを展開する上で、必須のパートナー企業と組めているので、事業開発力は高いと思います。技術力は、やろうとしていることを踏まえると分散システムやAIに詳しい人物が欲しいところですが、なかなかしっかりしたチームだと思います。

競合の動向

現時点は、Oracleでしょう。HyperLedgerに彼らが参加してから、OracleCloudや彼らのSaaSプロダクトとブロックチェーンとの接続プロジェクトを積極的に展開しており、HyperledgerにChainLinkに相当する機能を開発してくる可能性があります。ですから、Oracleからすると、ChainLinkは勉強相手ということになりますね。これは、GCPも同じではないかと見ています。日本の大企業CVCがスタートアップ相手によくこういうことをやりますが、シリコンバレーでもこの辺りは普通にあります。しかし、CVC部隊はこういうことはやりません。あくまで投資専門の部隊です。

Oracleの記事はこちらです。

中長期の課題

先に述べた、フリーローダー問題を解決するのが最優先課題です。しかし、同時に、一つ疑問に浮かぶのが、このソフトウェアはミドルウェアに相当するため、ソフトウェアビジネスとしてのバリューポジショニングを持続的に維持できるか?ということですね。OracleCloudやイサーリウム側が一機能としてもつことも技術的には可能だからです。将来的には、BaaSを卒業するDappsが増えていくのでCOSMOSなどももつ必要性が出てくるでしょう。

投資評価に対する現時点での見解

この市場には必須のテクノロジーを作り上げている点から、業界に必要なプレイヤーではあります。今の時価総額が、550億円ほど。特にGoogle Cloudとの提携を発表してからかなり時価総額が上がった後、今、落ちてきている状態です。他のブロックチェーンプロジェクトには競合は一切おらず、1st Mover Advatageも取れています。先にあげた「フリーローダー問題」はまだ残っているのですが、将来的に突破すると評価しています。以上の点から、ある程度のアロケーションをすることにしました。

以上、みなさんの参考になれば幸いです!

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