僕のAlgorandのトークンALGOの投資評価についてのまとめ

Algorandとは?

MITの教授で、コンピューターサイエンスの世界では著名な賞の一つであるチューリング賞を、暗号学の分野で受賞した実績をもつSilvio Micali教授が立ち上げたブロックチェーンスタートアップです。財団の拠点はシンガポールにありますが、人材の大半はMITのあるアメリカのケンブリッジです。完全にまとめられたホワイトペーパーはなく、現時点では、断片的な情報のみなので、ソフトウェアの詳細の情報が手に入るのはまだ先になると思いますが、チーム構成を見ていると、企業向けのネットワークソリューション・コミュニケーション領域にフォーカスしたBaaSを仕掛けてくると見ています。

問題定義としてフォーカスしているのは、PoWによるマイナーの寡占化の問題とファイナリティが得られない問題、として、COSMOSなどがとっているDPoS(Delegated Proof of Stake)も寡占化に近い傾向があるとして、純粋なPoS型のコンセンサスアルゴリズムを目指している点です。その点から言えば、イーサリウムが実装を進めているCaspter(Ethereum 2.0における純粋なPoS型のコンセンサスアルゴリズム)と方向性は同じということですね。

ちなみに、僕は、PoWがファイナリティが得られないことは問題視していません。むしろ価値があるのが、パーミッションレス型のブロックチェーンは、システムの内外の両方に対して改ざん耐性があることです。また、COSMOSのDPoSも全く問題視していません。Blockchain Interoperablityのレイヤーは、もっとも高い信頼性とスケーラビリティと求められるため、COSMOSが採用したDPoSは現実的な解決策であり、COSMOSは、スケーラビリティを落とさず計画的に信頼性の高いバリデーターネットワークの分散化を進めている点(10年でバリデーターを100から300に増やす)を評価しています。

PoWのブロックチェーンにおけるファイナリティの問題に関する僕の見解はこちらにまとめています。

Googleを見たら分かるブロックチェーンにファイナリティを求める時代遅れの考え方

COSMOSについてはこちらにまとめています。

僕がなぜCOSMOS(コスモス)のATOM(アトム)トークンに投資するのか?

イーサリウムのCasperについてはこちらにまとめています。

Ethereum 2.0 コンプリートガイド

イーサリウム2.0やCOSMOSを踏まえた上で、Algorandのコンセンサスアルゴリズムの特徴をまとめると、以下のようになります。

まず、ブロックを更新するためのコンセンサスをとるためのリーダーは、ランダムに選ばれます。そして、その上で、リーダーに対して、投票を行う委員会メンバーも、リーダーが引くくじによってランダムに選出されます。委員会メンバーになるノードは、あらかじめ委員になることを自己宣言しているノードが対象です。委員会メンバーの合意は、リーダーの提示した新たなブロックに対して2/3以上の賛成を必要とします。委員会メンバーの数もランダムですが、2/3以上の合意を得る必要があるため、必ず奇数になります。そして、2/3の合意が得られなかった場合は、以上のプロセスをコンセンサスが得られるまで繰り返します。そして、コンセンサスが得られたら、その情報が他のノードにブロードキャストされ、ネットワーク全体が更新されます。

確かに、全てのプロセスにおいて、ランダムセレクションを採用するため、毎回メンバーがかぶる確率が下がり、悪意的行為は防ぎ易いです。その上で、得られるベネフィットの一つは、フォークの確率を劇的に下げることができる点です。彼らが計算した理論値では、 1/1,000,000,000の確率までフォークリスクを下げることができるとしており、この値は、宇宙が生まれてから現在に至るまで1回フォークが起きるか起きないかの確率とのこと。

また、もう一つの利点は、コンセンサスをとるためのノードを数を減らすことで合意形成を早めることができる点です。しかし、その後、コンセンサスをとったデータを参加ノード全員にアップデートしないと、データの同期が取れないため、次のコンセンサスラウンドに進むことができないと考える人もいると思いますが、この点は、Orb DLTやIOTAでも採用しているダグ構造のデータ構造を利用すれば非同期で進めることはできるので解決可能です。ビットコインのブロックチェーンは、ダグ構造は持っておらず、単一かつ最長のチェーンが正しいという仕組みなので、参加しているマイナー全体に最新情報がアップデートされるまでの時間として例の10分前後という認証時間を必要とするのです。

ですから、ビットコインに比べるとスケーラビリティは上がりますし、ノード数が増えても、コンセンサス用のノードのランダム抽出でかつ数を多くしない様にすれば、ある程度リニアスケーラビリティは維持できると思います。しかし、それでも参加ノード数が増えるほど、たとえダグ構造であってもデータ同期の時差発生の問題はより切実になってくるので、リニアなスケーラビリティのカーブが落ちていく現象は避けることができないだろうと見ています。

ただ、次のトークンエコノミー の話に移る前に、いくつかの資料をみていて知ったことは、現時点では、バリデーターにインセンティブを与える方針がないこと。正直、これはICOをやっているぐらいなので、まずないと思いますが、本当にこの方針を貫くなら、僕は完全に投資対象から外します。ノンインセンティブでP2Pネットワークに秩序がもたらされるなら、そもそも、僕がビットコインの開発者と考えている金子勇氏が2000年ごろに開発したWinnyが悪用されることなどなかったからです。また、インターネット自体が、クライアントサーバーモデルで普及することはなかったでしょう。以下は、このブログによく出てくるクライアント・サーバーモデルとP2Pモデルの比較図です。

左がインターネットのクライアント・サーバーモデル、右がブロックチェーンのP2Pモデル

以前にも話をしていますが、インターネットがP2Pのアーキテクチャではなくクライアント・サーバーモデルで普及することになったのは、当時のインターネットのインフラを作り上げて行ったコンピューターサイエンティスト達が、P2Pでは悪意的なユーザーを実用的な方法で防ぐ手立てが全くなかったので、サーバー側に様々なセキュリティ技術を施して弾く仕組みをとる方が、現実的だと判断したためです。つまり、インセンティブなしで、秩序あるP2Pネットワークを構築できる方法があるなら、そもそもブロックチェーンは登場してこないということです。僕の言い方をすれば、人類全体がそのような奉仕経済の行動原理がしっかりと身についているなら、そもそも経済格差と戦争の温床になる資本主義それ自体が、そもそも文明社会に誕生してこないということです。その愚かさを人類があらかじめ気づいていないから、インターネットは、クライアント・サーバーモデルを採用し、それが、GAFAを生み出す温床となり、その大元になる資本主義が生まれているのです。原因のない結果はない。因果応報ということですね。

トークンエコノミー

実際にトークンエコノミー の設計自体はまだのようです。今出ているホワイトペーパーにも明確にまとめられた記載はありません。ただ、純粋なPoSを志向しているとなると、先のコンセンサスアルゴリズムを踏まえ、あらかじめ自己宣言で、リーダーになること、そして委員会メンバーになることを宣言しているノードは、あらかじめALGOトークンのデポジットが求められると思います。その上で、ラウンドごとにコンセンサスに参加することになったメンバーは、参加すること自体に対する報酬と、コンセンサスが得られた場合の報酬などが得られる設計になると見ています。

また、現時点では、ALGOは供給制限モデルが採用されているので、アセットバリューを狙えるトークンとして設計されています。

戦略

先に述べたよう、チーム構成を見ると、IOTAやVChain同様に、B2B向けのBaaSを展開しつつ、自前で200億円以上のVCも組成しているので、他のBaaS同様、Algorandを使うスタートアップに投資して、エコシステムを作り上げる戦略で動いていると思います。

チーム

B2B向けのITソリューションを作り上げる上では、経験豊富なトップクラスの人材を集めています。

Silvio Micali – Founder – Linkedin

コンピューターサイエンスの世界では、知る人ぞ知る人物です。MITのコンピューターサイエンス学科の教授で、ブロックチェーンの根幹に関わる暗号学が専門です。また、コンピューターサイエンスの世界では、最高峰の賞と言われるチューリング賞の受賞者でもあります。

Steven Kokinos – CEO – Linkedin

Fuzeという企業向けのクラウド型ユニファイドコミュニケーションプラットフォーム(Slackをもっとリッチにしたプロダクトと理解すると良い)の元創業者兼CEOです。直前は会長でした。まだプライベート企業ですが、社員700名、資金調達額500億円で、すでに3社を買収していますから、IPOすればユニコーンは確実と言えるレベルでしょう。Fuzeを完全に出てAlgoにコミットしています。

W. Sean Ford – COO – Linkedin

直前は、LogMeInという、これも企業向けのナレッジシェア+コミュニケーションプラットフォームのSaaS企業のマーケティングのトップであるCMOをやっていた人物です。LogMelnは、現時点で時価総額3500億円のNASDAQ上場企業です。

Yossi Gilad – CTO – Linkedin

イスラエルの第2位の総合大学であるバル=イラン大学で、ネットワーク・セキュリティの分野でPh.Dを取得しており、その後は、MITやIBMでリサーチャーとしてのキャリアを積んでいます。イスラエルは、軍事的需要の面からセキュリティに強いエンジニアが豊富にいるので、その分野ではかなりの実力者だと思います。

Sergey Gorbunov – Head of Cryptography – Linkedin

先に述べたコンセンサスアルゴリズムのオリジナルのアイデアは、彼が考えました。MITのコンピューターサイエンスのPh.Dを取得しており、Silivio博士の研究室に在籍していたのだと思います。現在はカナダのウォータールー大学(ビタリックの出身大学)で准教授をやりながら、Algorandのコンセンサスアルゴリズムを研究開発しているようです。彼はまた、MITをでた後は、2年間、シリコンバレーで、Sleath miningというブロックチェーン系のスタートアップをやっていたので、起業家タイプの人材ですね。

Paul Riegle – VP of Product – Linkedin

直前が、Carbon Blackという、企業向けのクラウドソリューションでエンドポイントのセキュリティサービスを提供しているIT企業のプロダクトディレクターをしていた人物です。Carbon Blackは、NASDAQに上場済みで現時点で時価総額2,000億円のIT企業ですね。

Pablo Azar – Chief Economist – Linkedin

MITで、コンピューターサイエンスと経済学のPh.Dを同時に取得した天才肌の経済学者ですね。ALGOのトークンエコノミーの設計は彼がリードすると見ています。

Keli Callaghan – Head of Marketing – Linkedin

直前は、Avid Techologiesというアーティストやエンタメ企業向けに、フルスペックの集録・集音機器を提供するIT企業のカスタマーエンゲージメントとフィードマーケティングのシニアディレクターをやっていた人物です。Avidは、NASDAQに上場済みで、現時点の時価総額は300億程度です。

David Garcia – Founder and Managing Partner at Algo Capital – Linkedin

直前は、仮想通貨ファンドのマネージングディレクターだった人物ですね。かつ、AlgorandのUnion Square Venturesなどをリードとする65億円強の資金調達もクロージングも彼がリードしたようです(ちなみに調達手法は、トークン転換権がついた株式)。Algorandのテクノロジーを使ったベンチャーへの出資を彼がリードしている様です。

チームメンバーの多くは、MITのあるマサチューセッツ州ボストンに拠点を構えるIT企業の出身で構成されています。気になる点としては、開発人材が、暗号学やセキュリティ系によりすぎており、分散システムやP2Pネットワークを専門にする人材があまりいないようなので、本格的にBaaSをやる段階では、それらの人材も必要になってくるでしょう。

事業の進捗

2019年8月27日、Algo VC Fundが、新たに200億円のVCファンドを立ち上げました。NEOのVCアームであるNGC Venturesや、TechCrunch 創業者のArringtonが作ったXRP Capitalなども含めた11名の投資家で組成されます。Coindeskの記事(英語)はこちらです。

ただ、BaaS自体がリリースできていないので、僕のアルトの投資戦略を踏まえると、まだシード段階のベンチャーになります。僕の投資戦略はこちらにまとめています。

アルトコイン投資戦略のポイントについてのまとめ

競合の動向

既存のメジャーなBaaSは全て競合になります。その上で、純粋なPoSを志向していますから、そのカテゴリで先行しているイーサリウムが最大の競合ですね。イーサリウムを超えるモメンタムを作り出すのは、技術力だけでなく、マーケティングや事業開発力も相当ハイレベルなものが求められるので、これはかなりのチャレンジになります。

長期の課題

まずは、BaaSとしてのポジショニングです。BaaSはプレイヤーも多く、レッドオーシャン市場ですから、後発組である彼らが力技で覆せるほど、甘くありません。しかも、ICOという武器が生み出されたことで、それまでのアメリカのIT企業が武器にしてきた基軸通貨ドルをベースにしたアングロ・サクソン型の資本主義がストレートに競争優位になっていない世界がブロックチェーン産業の一つの特徴です。だから、ビットコイン、イーサリウム、COSMOSなど、特定カテゴリの先発組が、1st Mover Advantageを得るという現象がこの業界では起きているのですね。その点を踏まえると、チームメンバー構成を見ると、北米市場で顧客ベースを作ることにフォーカスしてくると見ているので、まずは、そこをクリアするのが最優先の課題でしょう。

現時点での投資評価

以上の点を踏まえると、ALGOは、イーサリウムのように大化けする可能性は低いとは思いますが、北米のB2B系IT企業のトップクラスの経営陣をチームに招聘しているので、ある程度のレベルまでは育つとみています。その点を踏まえると今の時価総額は、割安ですから買いですが、勉強目的で投資するという感じになります。

最後に、ALGOトークンは、僕がメインで使っている世界最大の仮想通貨取引所のBinanceで購入することができます。Binanceのアカウント解説方法と使い方の基本ポイントはこちらにまとめています。参考にしてください。

【初心者向け】Binance(バイナンス)の会員登録の方法まとめ

以上、みなさんの参考になれば幸いです!

注記:最終的な投資判断は自己責任になります。

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