仮想通貨取引所は、世界に最大2つ程度に集約された方が個人投資家とスタートアップも恩恵を被る。なぜか?

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これは、以前から考えていることで、正直、Binanceのコピープレイヤーが市場に大量に溢れていることは、個人投資家にとっては、何の特にもならない話なので、その点について、みなさんの理解を深めてもらえればと思います。

仮想通貨のボラティリティの問題

仮想通貨のボラティリティが、異常なほど高いことはみなさんもよく知っているし、体験していることだと思います。しかし、その原因について理解している人は。ほとんどいないと思います。なぜなら、それが通貨であれ、株式であれ、ボラティリティの原因は、常に同じで「流動性」にあるからです。今の仮想通貨のボラティリティが高いのは、この流動性が低いからですね。流動性が低い市場とは、簡単に言えば、売り手と買い手が少ない市場です。

そういう市場では、少し大き目の買い注文が入っただけで価格が高騰し、それに釣られて入ってくる追随の買い注文で、価格がすぐに暴騰してしまいますし、逆もそうで、少し大きい売り注文が出ただけで、暴落だとと慌てて投げ売りしてくる投資家が増えるから、価格が短期間で恐ろしいほど下がってしまう。仮想通貨市場で世界最大の流動性のもつビットコインですら、過去1年の動きは、$4,000から$12,500と以下の通りで、±300%ぐらいあります

これとは逆に、たとえば、今、世界最大の時価総額を誇るアマゾンの株式のチャートをみて見ると、ビットコインに比べてボラティリティが低いのがわかります。1年間の値動きは、$1400から$2000です。±30%程度です

更に、日本円やドルなど、安定的な通貨市場はボラティリティが本当に低いです。以下の1年チャートを見れば一目瞭然です。±10%程度です。

この背景にあるのは、投機的な資金の割合が非常に低いためです。投機的資金の影響力が低いと言ってもよいです。たとえば、日本円ドル市場は、国際銀行間送金システムのSWIFTに繋がっているインターバンクマーケットといって、日本とアメリカの銀行同士が仕切る1箇所の市場が取引の90%以上を締めており、日常的な為替送金から、貿易取引に関わる決済金のやりとりなどを行なっている、つまり実需の取引が90%以上を締めているため、多少の投機資金が入ってきてもビクともしません。

ところが、今の仮想通貨市場は、同じビットコインでも、世界中にある100社以上が、バラバラにビットコインを上場させて売買しています。以下は、Coin Market Capのビットコインの取引所別の売買ボリュームです。現在、Coin Market Capには、250以上の取引所が登録されています。

URL: https://coinmarketcap.com/rankings/exchanges/

正直、このような取引所の乱立状態は、この業界の発展にとって「百害あって一利なし」です。ひたすら売買が至る所に分散してしまうため、余計にボラティリティが上がってしまい、個人投資家にとっては難易度の高い市場のままになってしまいます。このような市場で、一番儲かるのは、富裕層です。余剰資金を大量に持っているため、多少の値下がりで投げ売りをする羽目に陥ることもなく、しかも、対面のOTC取引で買うため、市場に対する影響も与えず、値上がりをじっくり待つことができます。OTC取引については、「こちらの記事」に詳しくまとめています。

しかし、資金のない個人は、OTC市場は相手にしてくれません。仲介するブローカーにとって全く儲からないからですね。つまり、今のような取引所が乱立している仮想通貨市場で、特をしているのは富裕層であり、トレーダーを除く一般の個人投資家はほとんど恩恵が得られていないということです。

一つの取引所に全ての銘柄が揃っていること方が、圧倒的に楽でありセキュリティレベルも高い

また、これは容易に想像がつくことだと思いますが、ある銘柄はある取引所には上場されているけど、別の銘柄は別の取引所に上場されているため、複数の取引所にアカウントを持たなければならない。これはかなり不便になるため、管理コストが上がり、それがセキュリティリスクを引き上げます。一つのアカウント情報を厳重に管理する方が、複数のアカウント情報を同時に厳重管理するより簡単だからです。僕は、今、日本で一つ。海外で、二つの取引所を使っていますが、これもかなり不便です。

一つの取引所に全銘柄が揃っており、このシステムが、完全に非中央集権的に動いている状態がもっとも理想と言えるわけです。

ブロックチェーンスタートアップも取引所が少ない方がお得でかつ楽

当たり前のことですが、ただでさえ事業がしっかりと立ち上がるまではジェットコースター状態のテックスタートアップが、自分たちの発行するトークンが、凄まじいボラティティの中で乱高下している中で、経営するのは心理的に嫌なものです。この問題が、少数の非中央集権的な取引所を生み出すことでボラティリティ問題が解決できれば、かなり助かりますね。

その上、取引所が少ないことによるもう1つのメリットは、テックスタートアップ側のIRコスト(インベスターリレーションのコスト)が下がることです。ICOやIEO、STOによって、テックスタートアップが、クラウドファンディングができる素地が整ってきていることは、起業家が、複数のVCを相手にしながら、彼らに様々な優先権付きの株式条件の交渉や書類手続きをしながら資金を得ていくに比べるとはるかに負荷が低くくなっており、素晴らしいイノーべションですが、取引所が乱立している状態、つまり、流動性が分散している状態では、事業の収益化を計る上で十分な資金を得るために、複数の取引所にIEOするなどを検討しなければならないのが現状のため、正直、新たなIRコストを生んでしまっています。これでは本質的な解決とは言えません。

しかし、少数の完全に非中央集権化された取引所の一つに上場すればOKということであれば、この問題は解決できます。

少数の完全に非中央集権化された取引所の誕生は、ブロックチェーン産業からGAFA以上のスタートアップが育つ土台になる

なぜか?世界中の資金が集まるからです。なぜ、アメリカのテック企業の時価総額が、世界で最大なのか? きちんと理解している人は少ないと思います。理由は二つで、一つは、ドルという世界の基軸通貨で売買されているから、もう一つは、アメリカの経済が、世界GDPでNo.1だからです。世界でもっとも集金能力に優れたドル経済の総本山であるアメリカのNASDAQやNYSEに上場し、アメリカを本社に経営しているから、この時価総額を実現できるのです。以下は、世界の株式時価総額ランキングです。

参照リンク:https://bit.ly/2ri0xl3

この点を踏まえれば、ビットコインがデジタルゴールドとなって、ブロックチェーン産業の中核的な役割を果たすアルトコイン銘柄に資金が流れ、産業全体が発展していくメカニズムを踏まえれば、今のようにその中に、250社を超える仮想通貨取引所が乱立している状態が、いかに不健全なものであるかが見えてくると思います。強力なDEXが少数ある方が、この産業から、GAFAを超えるスタートアップを育てる強力なドライバーになるのです。

以下は、僕のポートフォリオ戦略からの抜粋で、ブロックチェーン産業の発展の基礎的な話を図解したものです。

僕のポートフォリオ戦略については詳しく知りたい人は、「こちらの記事」を参照してください。

僕は、その取引所は、Binanceがもっともふさわしいと考えている

僕は、バイナンスのトークンであるBNB以外の仮想通貨取引所のトークンには一切投資していないです。それは、世界最大の取引所の一つでありながら、「国境」を捨てている仮想通貨取引所であり、経営能力からみても、DEXに対する取組みの質の高さから言っても、250以上ある取引所の中でもっとも優れているからですね。僕は、単に儲かるからという理由で、バイナンスのコピーのような事業をやっている取引所のトークンに投資することは絶対にしないです。産業発展に寄与しない投資はしないからです。

その上で、Binanceが、このレベルの取引所に成長できるかどうかの鍵は、彼らが「裏方」に回ることだと考えています。各国規制とまともにやり合わないことですね。その点については、「こちらの記事」にまとめています。

バイナンスによっての強力なライバルの1社であるCoinbaseが残念なことは、従来型の株式ファイナンスで会社を育てていることです。つまり、GAFAと変わらないのですね。Coinbaseが従来型の企業と同じ経営路線を取っているということは、結果的に、彼らが取引所の運営母体として、完全に非中央集権化できないことを宣言しているに等しく、そのような世界最大の取引所になってしまっては、ブロックチェーン技術の哲学を世の中に完全に反映していくことができないと考えているからです。

僕のBinanceのBNBトークンに対する評価は、「こちらの記事」にまとめています。

以上、みなさんの参考になれば幸いです!

 

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