Augur(オーガー)のトークンREPの投資分析・評価について

今日は、Augur(オーガー)のトークンREPのファンダメンタル分析についてお話しします。

こちらの内容はYouTubeにもまとめています。日本語字幕付きです。合わせて参考にしてください。

早速、はじめていきましょう。

まず、僕のポートフォリオ戦略における、REPの該当カテゴリは3つです。

基本は1.のB2Cアプリですが、DeFi市場と深く関連しているプロダクトなので、3のToken Collateralized DeFi、そして、4のToken to Token DEXも該当します。僕のポートフォリオ戦略について詳しく理解したい方は、僕の「ポートフォリオ戦略」に関するブログを参考にしてください。

分析視点は、いつもの6つの視点、つまり、ペインポイント分析、プロダクト分析、チーム分析、チームの実行力、トークンエコノミー 分析、そして、ハイプサイクル分析です。詳しくみてきましょう。

ペインポイント分析

一つ目、ペインポイント分析です。

ここは2つあります。まず、一つ目です。

保険システムをニッチニーズや社会的な重要ニーズに対応するため、いかに民主化するか?

これは、既存の保険市場を見るとよくわかると思います。

例えば、損保市場を参考にしましょう。

損保市場でメジャーな市場といえば、自動車保険、家財保険(火災や地震含む)、そして、物流ですね。

しかし、世の中ではこれ以外にもニーズの高い保険市場があります。例えば、自然環境を破壊してしまった場合の被害補償、もしくは、ベビーシッターが子供に対して事故を起こしてしまったとき、または衣食住の不可欠領域としての農業。不作時にどうするかなどですね。

これらの多くは、保険会社は商品化しないか、もしくは政府が保険精度を運用しているケースが多いです。なぜか?

儲からないからです。単純です。大してニーズが見込めないものや、リスク計算の難易度が高いものは、保険会社はビジネスにならないのでニーズとして無視します。これは、非道い話ですね。

ブロックチェーンは、ポスト資本主義を追求する技術なので、このようなニーズに対応できる保険システムを生み出すことも非常に重要なことです。

二つ目です。

保険商品におけるソーシャルマイノリティや障害者に対して不公平性の根絶です。

この問題を理解するには、アメリカなどでよく取り上げられるいわゆる「レッド・ゾーン」問題を理解する必要があります。

貧困層などが多く住む地域では、犯罪率や殺人率が高いため、生命保険にそもそも入れないや、入れたとしても、保険料金が、富裕層や中間層の住む地域に比べて異常に高いというものです。

完全に、経済格差による負のスパイラルが起きているのが分かりますか? 貧困層の方が、生命保険の保険料を金持ちより高く払わなければならない。ありえないことですが、統計的なデータしか考慮しない保険会社はこのようなことを当たり前のように行っています。これでは、いつまで経っても経済格差は解消しないですよね。

 

プロダクト分析

では、これらの理解を元に、Augurのプロダクトを見ていきましょう。まず、詳細の分析に入る前に、Augurのおさらいです。

2014年から立ち上がっているイーサリウム上で展開しているICOプロジェクトの中では、最も古い部類に入ります。

2018年にV1をローンチし、その後、2020年8月にイーサリウムのメインネット上に、V2をローンチ。V2の特徴は、0xProtocolのテクノロジーを採用し、オフチェーンでもディール予想の売買ができるようになったことで、利用コストが安くなった点。そして、それまでのメイン通貨をETHからDAIに切り替えたことです。

Augurのトークンは2種類あります。V1で使えたREPと、V2で使えるREP V2です。このトークンは、後ほど説明しますが予想ディールの作成に必要になります。

そして、NXMのプロダクト概要です。

予想サイトですから、このように、「次の米大統領にトランプが当選するか?」や「2021年のスーパーボウルでは、セブンティスクサーズが優勝できるか?」などの予想ディールに対して、YesかNoでベットしていき、勝敗を争います。現時点では、スポーツと政治のカテゴリが最も人気が高いのですが、使い方によっては、保険商品(ヘッジ商品)として扱うこともできるのが特徴です。

実際のAugurのプロダクトモデルを、2020年の大統領選を事例に理解を深めましょう。

あなたは、Augurユーザーで、「2020年の米大統領選で、バイデン候補が勝つ」という予想ディールを作ったとします。

まず、一定のREPを購入し、このREPをステイキングすることで、ディールが作成できるようになります。

そして、あなたの作ったディールに、他のAugurユーザーが、Yes・Noで、DAIを使って賭けていきます。これで、オッズが変化していきます。

実際に、バイデンが時期米大統領に確定します。すると、まず、予想を外した投資家がかけた資金は、プール資金として残っており、これと元本のかけた資金が、公平に予想を当てた勝者に分配されます。

そして、この予想ディールを作ったあなたは、このディールの予想売買で発生したDAIの収入の一部をリベニューシェアとしてAugur側から受け取ることができます。これが、予想ディールを作るモティベーションになるわけですね。

次に競合と比較したバリューカーブ・プロポジション分析に移ります。

まず、保険商品の関節競合であるネクサスミューチュアル。そして、同じように予想ディールによるヘッジ金融商品を扱うことができるStythetixとFTXを加えています。

まず、理解して欲しいことは、「ユーザーが簡単に保険商品として扱いこなせる」という視点で評価すると、ネクサスミューチュアルの方が圧倒的に上ということです。保険料を払えば誰でも使える保険商品のレベルまでデザインされているからです。

一方、Augurのモデルの場合、使うユーザー側が、予想ディールまで置き換えないと、保険商品としては使えません。ちょっと難易度が高いわけです。とはいえ、予想サイトだけではあまり大きなプレイヤーになることはないでしょう。

その点を踏まえた場合、ネクサスミューチュアの市場参入戦略はとても参考になると考えています。

NXMがまず参入した市場は、仮想通貨取引所のハッキング保険です。業界ニーズが完全に顕在化している市場ですから、いいところに目をつけていますね。対象は、DEXやレンディングプラットフォームも入ります。

ここで一つ注目してほしいのは、このAAVEの保険プロジェクトですね。まだ、Coverと呼べる保険商品を買うことができません。なぜか?

AAVEのハッキングリスクを補償できるだけの最低プール資金が集まっていないからです。この点も、プロダクト仕様としてわかりやすいですね。リスクをカバーするには、一定の資金が必要だから、友人など誘って集めてきてよ、ということです。

この点をアナロジーに考えると、REPが同様のヘッジ金融商品を扱うとしたら、Binance ETFが出している、トークンのUp&Down予想の市場があります。

例えば、DEXの0xのトークンZRXのUp/Downトークンです。これは、0xがハッキングされたときには、0x Downトークンにかけておけばヘッジにはなるわけですね。Augurはこの手の工夫が必要だと見ています。

 

チーム分析

次に、チーム分析です。

まず、共同創業者は三人いたのですが、二人抜けて、今は、著名仮想通貨ファンド、パンテラ・キャピタルの共同投資責任者であるJoeyだけがまだ関わっています。

そして、テックリードのAlexは、直前は、Riot Gamesのソフトウェアエンジニアでした。

シニアプロダクトデザイナーのMattは、独立デザイナーとして長年経験を積んできた人物で、Sheffiled Hallam Univesityでグラフィックデザインの学士を取った人物です。Augurは、UX&UIデザインが、かなりスケールさせるポイントになると見ているので、僕は、彼がキーマンと見ています。

そして、オペレーションリードのピーターは、元Google、Facebook, Instaguramでテック人材の採用担当をやっていた人物なので、テックスタートアップの経営経験を持っているわけではないです。

Augurは立ち上げ期より、イーサリウムのビタリックがアドバイザリーとして入っていることでよく知られています。ただ、彼も、B2Cアプリ領域は、そこまで得意な人材ではない点は考慮してチーム分析をしています。

これに加えて、5-10名のメンバーがいます。サイズはそれないrにコンパクトですが、創業者が途中抜けて、戦力ダウンした過去があり、また保険の専門家もいないので、保険市場をどこまで撮りに行けるかは少し不透明なチームと言えます。

チームの実行力の分析

次に、チームの実行力です。

DeFi Palseのデリバティブ市場のデータです。

保険市場との比較で行くと、Nexus MutualとAugurにロックアップされているアセット規模の比較では、10倍の開きがあります。Nexus Mutualの方が後発組です。また、予想ディールサイトとしては、Sythetixも先ほど紹介したBinance ETFのような同様のヘッジ商品を扱うことができるのですが、こことは、100倍近く差がついています。Sythetixの方が後発組です。

これらの点を踏まえると、あまり高い実行力があるとは評価しづらいです。

トークン・エコノミー分析

次にトークン・エコノミーです。

該当するのは、Dapps、DEXとCollateralized DeFi の3つですね。

最重要のネットワーク効果の分析をみていきましょう。

仮想通貨に関心のあるユーザーで、予想ディールでREPを稼ぎたいユーザーがまずターゲットになるでしょう。

これによって、予想ディールの豊富さが増していきます。すると、この予想ディールに参加したいユーザーが増えていきます。これでサイトは活性化するため、顧客体験は改善されていきます。これが、ディールの成長エンジンです。

これをテコに、REPの価格上昇のエンジンでは、ディールが増えるほどトランザクション数は伸びますから、ディール作成者のレベニューシェアが伸びるため、REPのステイキング需要も伸びます。すると、REPの供給不足状態が市場に発生し、REPの価格を押し上げていきます。これで、また、REPを利用して予想ディールを作るユーザーが増えることにつながっていきます。

しかし、出発点の予想ディール作成のところがそれなりにコツが入り、かつ、保険商品への適用も難易度がそれなりにあるため、あまり強力なネットワーク効果が見込めるレベルのシンプルさまで到達できていないというのが現状評価です。

そして、もう一つ重要なことが、DAOのガバナンスですね。

DAOに一定の取り組みがあることはわかっているのですが、ネクサス・ミューチュアルほどは、しっかりと運用されていないというのが評価です。

 

ハイプサイクル分析

最後にハイプサイクル分析です。

いつものガートナー社のハイプサイクル分析をもとに説明します。

該当するのは、ブロックチェーンの保険市場への適用とDAOですね。後者は非常にポテンシャルが高いのですが、課題は前者です。

すでにバブルピークを超えて一旦、バブル崩壊後の停滞期に入っている可能性があるため、DEXやLendingに比べると、強力なモメンタムが得られにくい状態にあると見ています。

 

投資に関する最終的な総合評価

そして、最終的な総合評価は以下の通りです。

まず、ペインポイントは4.5です。DEXやレンディング市場を支える重要パーツの一つと見ています。その点から、DEXやレンディングよりは少しペインポイントレベルが下がると見ており、4.5です。

そして、プロダクトは、予想サイトしてはきちんとできています。ただ、応用範囲の保険適用などが進まないと、プロダクトとしてのの破壊的なポテンシャルが大きくならず、そこでまだ壁を突破できいないので、3.5です。

チームレベルは、なかなかよい人材を得ています。しかし、創業メンバーが抜けて戦力ダウンした過去の経緯もあり、4.0と評価しています。

実行力は、予想サイトとしての立ち上がりは確認できますが、保険商品を扱っているネクサスミューチュアルや、ヘッジ商品も作れるSynthetixと比べると、実績がけっこう劣るため、4.0です。

トークンエコノミー 4.0にした背景は、きちんとネットワーク効果は設計されているのですが、強力な拡張力を得るにはユーザー側の利用ハードルが高いこと、そして、DAOがネクサスミューチュアルやSynthetixと比べると劣るためです。

ハイプサイクルは、DAOは高いポテンシャルがあるのですが、保険市場は、バブルがピークアウトしており、モメンタム形成に少し時間がかかると見ていることから、3.5にしました。

合計点は、23.5です。

僕の投資の最低基準は、25.0以上なので、投資推薦は厳しいです。

以上、みなさんの参考になれば幸いです。

注記:最終的な投資判断は自己責任です。

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