トランプ発言を受けて:FRBが基軸通貨ドルにマイナス金利を導入すると、世界経済はどうなるか?

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また、トランプ大統領が、すごい発言をしていますね。

基軸通貨のドルにマイナス金利を適用するというのは、ものすごいことです。仮に実行された場合の影響について、頭の中のシュミレーションをまとめました。

欧州中央銀行と日銀のマイナス金利導入で起きたこと

マイナス金利の導入は、デンマークが2012年7月から導入したのが始まりで、その後、ユーロ経済全体に普及し、2014年6月に欧州中央銀行も導入、遅れること約2年後の2016年1月にマイナス金利の導入に踏切ります。

おさらいもかねて、マイナス金利の狙いをいうと、中央銀行が設定している短期金利をマイナスにするのが、メインの話です。これによって、銀行は、市場で「金貸し」を必死になってやらないと儲からない状態になります。なぜか?世界各国の中央銀行とその下にひもづく銀行の間で、設定されているのが公定歩合という中央銀行が設定している金利で、各銀行は、ユーザーから預かったお金を、公定歩合を使って運用することが法律で許されています。これができるのは銀行のみです。別名、「信用創造」ともいうのですが、無からお金を作り出せます。しかし、これがマイナスになってしまうと話は違います。中央銀行にお金を預けると公定歩合がマイナスなので、逆にお金を払わないと行けなくなります。

だったら、金貸した方がいいということで、お金を貸すことに積極的になります。当然、公定歩合がマイナスなので、今までもよりも低い金利になります。だから、借りる側はお得です。企業も個人も銀行からこのときにお金を借りて、投資に回そうとする。一方、預ける側。日本はまだそこまでの状況には来ていないのですが、デンマークなどでは、さらに高いマイナス金利率が導入されているため、個人預金にも影響が出て、場合によっては、預金すると手数料を取られます。すると、預金者は預けるより使った方がマシと考えて、消費や投資に回します。だから、いずれも景気刺激策を見込んでいるわけです。

この話を踏まえた上で、過去、欧州と日本でマイナス金利が導入された結果の共通項を話します。

①不動産市場と社債市場が活発になる

短期金利のマイナスの結果、借りる側がお得になるので、不動産投資が活発化したり、社債発行が活発化します。実際に、日本でも、マイナス金利導入後、約1年後に、国土交通省が発表した統計によれば、2016年に全国で着工された住宅のうち、賃貸住宅を示す「貸家」は、41万8543戸に上り、1年前より10.5%増加しました。銀行の不動産ローンが安い→不動産投資をしよう→買った上は住むのではなく、他人に貸そう→貸家が増える→競争が激しくなり家賃相場が低下(ないしは、日本ならではの敷金・礼金なし、1ヶ月フリーレントの物件が増加)という現象が起きています。これは、他のマイナス金利が導入された国でもだいたい同じ傾向があります。

②つられて長期国債の金利も低下する

これが、いわば副作用で、長期国債の金利も引っ張られて下落するのですね。日本のケースでいえば、日本の10年国債の金利が導入から約一年後に、0.04%まで低下し、その更に1年ごの2017年後半には、なんとマイナス0.3%まで低下しました。国債がマイナス金利になるということは、国債買ったら損するということです。日本でこの場合影響を受けたのは、年金運用などを長期運用を手がけている保険会社などで、積立型の年金保険商品を売っており、この運用先の大半が日本の長期国債で運用されているため、商品販売停止になる商品も出てぐらいです。

しかし、今度は、「基軸通貨ドル」です。今までのユーロと日本円とはわけが違うわけですね。

「ドル外交」が崩壊するリスク

短期的には、アメリカ経済の景気刺激に対して、先の述べた不動産市場の活況や社債市場の活況という成果が得られると思いますが、問題は、日本のケースでも起きている副作用としての「長期国債の金利低下、場合によってはマイナス化」というやつです。

アメリカは、世界中の国に、長年、米国債を買ってもらっています。その代わりに、その国の工業製品を大量に買います。中国はその典型ですね。そのために、移民で継続的に人口を増やします。アメリカの移民戦略については、「こちらの記事」にまとめています。場合によっては、日本のように軍事同盟を結んで、有事の保護を提供する代わりに米国債を買ってもらうケースもあります。

しかし、こいつがマイナス金利になったら、流石に買わないでしょう。。。というか、確実に揉めるでしょう。アメリカの外交の基本戦略が根底から崩れることになります。まあ、保護貿易政策を推進しているトランプ政権としては、「知ったことか!」というのが答えになると思います。笑

しかし、もう1つ大きな潜在リスクを生み出す可能性があります。

「逆イールド現象の加速→米国リセッションの早期化」のリスク

このブログでは何度か触れている話ですが、次の仮想通貨やブロックチェーン市場の本格的な成長段階は、僕は、2008年リーマン・ショック以来の米国のリセッションと共に始まると考えており、それまでは仕込み時だと考えています。そして、米国リセッションの予兆現象としてよく話題に上がるのが、米国債の長短金利の逆転現象である「逆イールド現象」です。こいつが発生し、継続すると、米国経済は過去、9回のうち、8回リセッションに入っています。2019年8月15日にこれが発生しました。詳しくは、「こちらの記事」を参照してください。

2019年月12日現在、米国の短期2年国債の金利は1.67%、長期10年国債の金利は、1.72%。その差、0.05%で長期の方がわずかに高い状態です。

URL: https://www.bloomberg.co.jp/markets/rates-bonds/government-bonds/us

一方、マイナス金利を導入している日本は、どうか?先に述べたように国債金利もマイナスになっています。そして、重要なことは、日本国債の2年ものと10年ものの金利は、すでに「逆イールド」になっているのですね。

URL: https://www.bloomberg.co.jp/markets/rates-bonds/government-bonds/japan

なので、FRBがマイナス金利を導入し、日本同様、この逆イールド状態が発生した場合、これは、場合によっては、米国リセッションの早期化にもつながるリスクがあります。2020年の再選を目指すトランプ氏にとっては、彼の性格も踏まえると、「再選さえすればいい」という考えが強いと思うので、残す時間を考えると、短期的なメリットを取りに行くために、FRBにこのような要求するのだと思いますが、その後、かなり厳しい状態に追い込まれるリスクがあります。

「風が吹けば桶屋が儲かる理論」で言えば、仮想通貨市場にとっては、確実に追い風になると見ています。それは、米国リセッションが起きても、銀行に預けて手数料取られるぐらいなら投資に回すという観点からもです。

みなさんの参考になれば幸いです!

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